| 旧作品救済計画その1 |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
今回は、ちょっと新しいコンテンツ不足のため、旧作品(昨年以前のホームページで公開)を掲載してみようと。
現在は、ホームページもイラストオンリーのサイトになってますが、以前は色んな事をしてました。(笑)
その一つがオリジナル小説とオリジナルワールド。
小説に関しては、全くの素人なので幼稚な表現が目立つ作品となっております。(爆)
まぁ〜キャラクターを考えながら色んな世界を構築するってのが自分の妄想癖なので作っていたんですが、今見ると恥ずかしい部分が90%以上有り、コンテンツ増やしには役不足ですが、載っけるものがない(笑)
まぁ〜暇な方だけ覗いてみてくださいな。
尚、初めて書いた長編が「■幽幻戦国絵巻〜せぶん」でその後に「志音」になります。
短編は暇つぶしネタ。w
ガイアや志音は世界が繋がったイメージの物語で、未だ完結していませんが機会があったら続きを書きたいと思っています。
そのうち、これらのイラスト作品も掲載予定ですので、イラストを見ながら世界を感じて貰えればと思います。
現在は、ホームページもイラストオンリーのサイトになってますが、以前は色んな事をしてました。(笑)
その一つがオリジナル小説とオリジナルワールド。
小説に関しては、全くの素人なので幼稚な表現が目立つ作品となっております。(爆)
まぁ〜キャラクターを考えながら色んな世界を構築するってのが自分の妄想癖なので作っていたんですが、今見ると恥ずかしい部分が90%以上有り、コンテンツ増やしには役不足ですが、載っけるものがない(笑)
まぁ〜暇な方だけ覗いてみてくださいな。
尚、初めて書いた長編が「■幽幻戦国絵巻〜せぶん」でその後に「志音」になります。
短編は暇つぶしネタ。w
ガイアや志音は世界が繋がったイメージの物語で、未だ完結していませんが機会があったら続きを書きたいと思っています。
そのうち、これらのイラスト作品も掲載予定ですので、イラストを見ながら世界を感じて貰えればと思います。
| ■Eternal of Symphony 〜ガイア |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
Eternal of Symphony 〜ガイア〜 ■ストーリー解説
Close.↑
![]() ■シュラ・エンマール【火の属性】 エンマール王・リーロンの娘 ![]() ■エンシェ・ルーン【水の属性】 水迷宮・魔笛レアルーンの奏者 ![]() ■ウィンディ・ラクール【風の属性】 ラングランス公国の剣士 ![]() ■ダイム・イーフリート【金の属性】 錬金十祭司族・族長クロムに 造られた獣魔 ![]() ■リーフゴーレム【木の属性】 ラクルースの森の守護獣 ![]() ■シャイロン【光の属性】 天空の大陸・ラクレシアの聖獣 ![]() ■ガイアの伝説【神々の戦い】 最終戦争〜光と闇の戦い ![]() ■ガイアエンマール王・リーロン 青炎の竜騎士【火の属性】 ![]() ■エンドメア王・ルシファーレン 暗黒の騎士【闇の属性】 |
■遙か古の時代、まだ混沌が世界を分かつ以前、人々は神と魔物、龍や麒麟、一角獣など神話世界の一員だった遠い昔・・・。 永きに渡って連綿と続いた”均衡”と言う名の細い糸で結ばれた平和に、やがて終焉が訪れる。 この時代、世界はリソースと呼ばれる”理力”によって導かれ育まれて来た文明が出現していた。 水、火、風、金、木、光、闇、7つの理力によって作られたこの世界に満ちるリソースを自らの肉体に取り込み、その力を使い、或る者は戦いに勝利し、或る者は知識を高めそして或る者は平和を導く力としていた。 器となる自らの肉体と精神を鍛えより多くのリソースを得ようと人々は努力を続けていた。 そんな力を基本とするこの世界にもやがて道具を使う事によって、より強いリソースを自由に使え暮らしは豊かになり高い文明も育まれてきたが、その代償と言うべきか戦いも又その激しさを増し人々は戦いと平和を繰り返していた。 そんな世界に闇のリソースを使い部族の繁栄を全世界に広めようとする国家が生まれた。 彼らは戦いにおいて絶大なる力”闇”の凄まじさに心を奪われ、あらゆる文明あらゆる道具をその闇の力へと注ぎ込み戦力の増強のみをむさぼっていた。 やがて世界は闇のリソースを得た絶大な軍団と水、火、風、金、木、光、6つのリソースからなる連合軍とに二分され戦いは激しさと荒廃を増すばかりである。 そんな闇の軍団長アン・デットは5人の錬導師たちに自らのリソースを究極までに高めるため、一つの水晶体、究極の宝玉【魔眼】が造られる。 やがてその魔眼は、戦い敵を倒しリソースを得る事で更なる強大な力をもたらす闇の軍団の力となり連合軍はその絶大な力に押され、もはや滅亡の一途を辿る運命しか残されていなかった。 最後の戦いが近づき、世界が闇に包まれようとしたその時、数え切れないほどのリソースを吸い続けてきた魔眼に異変が起きた。 暴走を始めた魔眼は、敵味方、生死に関わらず周囲のリソースを奪い、主であるはずの闇の軍団長、アン・デットさえその餌食とした。 だがその勢いも衰えはじめ力を失ったかと思ったその瞬間、溜め込んでいた強大なリソース全てを吐き出し始めた。 あまりにも大きく巨大なその悪しき闇のリソースに全ての大地は揺らぎはじめ大気は悲鳴を上げ、空間さえも引き裂こうとしていた。 その場にいた全ての者、恐怖に身を隠していた者、生きている全ての者にその力は絶望的なこの世の終焉を伝えていた。 魔眼から吐き出されたその力は、天空に強大な暗黒の闇を作り全てを飲み込もうとその大きさを増しはじめ、力無き者は一瞬にして飲み込まれ闇へと消えていく。> 膨大な力を持ったその魔眼は、大地や生きる者だけではなく空間さえもその体内に飲み込もうと闇の触手を伸ばし全世界を飲み込み始めた。 だがあまりにも強大で異様な力にも限界が訪れたのか、それとも時空を超えて離散したのかその力は急速に衰え、いつしか元の水晶体へと戻っていた。 静寂が戻ったその世界、強いリソースを持つ者達が立ちつくすその世界は以前の物とは違っていた。 月の無いこの星に、まるで兄弟星の様に天空に浮かんで見えるもう一つの星。 だがその星もやがてその姿を薄め別の空間へと消えていった。 戦いは終わり、世界に又悠久の平和が訪れようとしていたが、魔眼が作り出した暗黒の闇に飲み込まれた人々生き物そして闇の王国・ガイラースが有ったその大地は巨大な海に変わっていた。 戦いの傷跡として・・・・・。 こうしてこの世は、リソースの加護の元、平和を築くガイアの世界とリソースを持たない道具を使う人間界アースと呼ばれる二つの世界が生まれた。 魔眼が作り出した暗黒の闇の後には、時空を繋ぐ空間が口を開け今も近づく物を餌食としている。 やがて強き結界を作り出せる水をリソースにもつ種族、アクアリース族がその空間を封じ込める結界・水迷宮を作り代々守り続けている。 魔眼は、多くの賢者、勇者の手により破壊を試みたが空間さえ歪ませたほどの力を生んだ宝玉は、すでに人間の手で破壊できる存在ではなくなっていた。 やがて世界より選ばれた、火のリソースを持つ3人の賢者の手により、未来永劫、封印されるべくアグニゾート山の火口深く灼熱の溶岩と火の結界によって厳重にその存在を隠された。 そして時は流れ、平和が続くガイアの世界にリソースを元とする文明が栄え、王国が生まれ平和を愛するその王国の国王・初代エンマール王の元、ガイアの世界は悠久の平和を手にしていた。 一方、暗黒の闇に飲み込まれ生まれた星・アースの世界では、リソースの力を持たぬ道具を使った文明が生まれ未だに戦いとひとときの平和を繰り返し、繁栄を続けている。 時折、暗黒に飲み込まれたガイアの住人がアースの世界に現れるが、リソースが極度に薄れたこの世界ではもはや道具を自由に操る人間たちに抗う術もなく、駆逐されるだけだった。 やがてそんなガイアの世界を人々は伝説の中の”魔物”と呼び忌み嫌う存在として記憶に封じ込めていった。 真聖暦5793年。 ガイアを統治する49代エンマール王・リーロンに一報が届けられた。 49代エンマールの王座を賭け、何かと敵対していた、エンドメア率いる闇属性の軍団が封印されていた魔眼を盗み、その力と共にガイア界から姿を消したという知らせであった。 それに呼応するかの様に、水迷宮の封印の神殿・ピュアレースでも暗黒の時空路が天空に浮かぶ銀河のごとく光の時空地図とも言うべき姿に変貌していた。 魔眼がその闇の力を発動した為その動きを知らせるようにピュアレースの時空路が光の粒となって現れた事が賢者たちによって解明された。 それと共に魔眼の力が発動する度に、ピュアレースの時空地図がその大きさを増しその力が水迷宮の結界の力を凌駕した時、この世界がガイアとアースに二分された以上の異変が起こる事が推測された。 時空を渡る事で引き起こされる歴史への介入は時空の歪みを増大させるだけではなく宇宙その物の構造さえ変えかねない重大な事態でも有った。 さらに魔眼の力は、ガイアのリソース自体にも影響をもたらし繁栄を続けてきたガイア世界には天変地異を伴った影響が出始めている。 それに対処すべく世界中からリソースに優れた者達が招集され、ガイアの世界を守るべく結界による防衛が図られた。 だがその対策も一時しのぎに過ぎず、一刻も早く魔眼を探し出し再び封印する以外に残された道は残っていない。 しかし討伐隊を出そうにもリソースの優れた戦士さえ、ガイアの結界を守る為、動員されている今となっては多くの人材を割くわけには行かなかった。 そんな中、エンマール王・リーロンの娘シュラ・エンマール他、5つのリソース属性の部族より3人の戦士と3匹の魔獣が選ばれた。 エンマール王・リーロンの娘、火の属性を持つシュラ・エンマール。 水迷宮・魔笛レアルーンの奏者、水の属性を持つエンシェ・ルーン。 ラングランス公国の剣士・風の属性を持つウインディ・ラクール。 錬金十祭司族・族長クロムに造られた金の属性獣魔、ダイム・イーフリート。 ラクルースの森の守護獣・木の属性を持つリーフゴーレム。 天空の大陸・ラクレシアの聖獣、光の属性を持つシャイロン。 こうしてガイアより選ばれた6人の戦士と獣魔たちは、レアルーンの奏者、エンシェ・ルーンの導きによりエンドメアが持つ魔眼を探して無数に広がる時空を旅し闇の軍団と戦う事となった。 |
Close.↑
| 『SEVEN〜The Dark〜』 |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
シナリオ『SEVEN〜The Dark〜』
■200X年、日本は世界随一の技術立国として世界の経済、新技術の分野においてその名声と膨大な資金を元に世界のあらゆる分野にその力を発揮していた。
資源の無い小さな島国である日本は、最新の技術と高い生産力で国全体を維持するしか方法が無かった。
それ故に技術者としての国民性が大きな資本となり、この国を支え続けていたのである。
多くの日本人が世界の隅々までその高い技術を惜しみなく発揮し、世界が資本主義へと統一されていく中、重要な国家に成ろうとしていた。
だがそんな怏々たる日本に多大なる被害をもたらす天災が訪れた。
この年の夏は、日本の各地で異常とも思える気象の変動がまるで何かの前触れのように列島を包んでいた。
夏も過ぎ、異常気象も治まったかの様な9月、以前から何度も囁かれては訪れなかった関東を中心とする大地震。
誰もが忘れかけていたこの日、突然にそれは訪れた。
9月9日5時03分、地面を這う振動がその唸り声と共に大地を揺るがし大都市東京を中心とする関東一円は小刻みに揺らいでは静寂を繰り返していた。
何度目かの小さな揺れで人々は冷静さを取り戻しつつあったその時、それを打ち砕くように過去最大規模な直下型地震が大都市を走る活断層のうねりと共に関東一円を揺るがした。
都市は至る所で悲鳴を上げ、高層ビルが建ち並ぶこの世界有数の大都市は一瞬でその機能と豊かさを破壊尽くされた。
人的被害もさることながら、世界の中心とでも言うべき、日本の首都・東京はその機能の全てを失った。
やがて関東一円に静寂がもどりはじめる。
動けるものは安らげる場所を求め、傷ついたものは誰彼とも無く助けを求め、自らの生存本能だけを頼りに生き抜こうとしていた。
だが、そんな人々をあざ笑うかのように建物の崩壊した瓦礫から一つ、二つと炎が広がり始め、その炎は、業火となり巨大な熱波は竜巻を起こし見る見るうちに大都市を呑み込んでいく。
かろうじて生きている人々、何処へともなく逃げ惑う人々にも容赦なくその炎は襲い続けた。
あまりの被害の大きさ故、周辺の消防隊や救助部隊の力さえ何の手助けにも成らなかった。
政治経済、全ての機能を集中させていたこの日本では、今、未曾有宇の大災害へと変わりつつある。
確かに地震の被害は大きいが、それ以上にこの国にとって東京を中心とする関東の機能が麻痺すると言うことは、日本全国のライフラインを失ったことに等しいほどそれは重要だった。
地震や火災で失った人命は何にも変えられないが、思ったほど壊滅的ではなかった、それ以上に首都機能を失うと言うことは、政治経済だけではなく、寸断された交通網は全国の流通を麻痺させ金融だけに止まらず、世界に誇る全ての財産・優位性が崩壊するという一面もさらけ出した。
それでも関東の被害を知った周辺諸国、特に米国政府は人道支援を急務と考え国連と共にこの国日本へと大規模な支援部隊を送り出し、同盟国以外でもそれは同じだった。
その時、日本各地の国民は失意の底に有ったが各地に残る報道と情報網から世界の救いの手が我々をこの大災害から助け出してくれると心から信じていた。
膨大な支援がこの国にもたらされ、関東の機能の一部も復興し始めた頃、世界の情勢は別の方向へと傾いていた。
もし、このまま日本を完全復興させたとしても、かつての技術大国・日本は世界にとって必要なのか?
既にかつての大国としての価値は完全に失われている。
世界に点在する最先端を誇ったかつての日本企業も母国とのラインを失い、今では他国の援助なしでは存続さえ危ぶまれる。
当然、他国の資本がその技術と共に財産の全てを呑み込み始めているだろう。
日本の地方都市さえ、海外の援助なしでは生きていくすべさえ無に等しい。
そう考えた世界の資本は、人道的支援から日本が未だに持ち続ける潜在的財産の吸収と搾取へと傾いていた。
それに気づいた新たな日本政府には、かつての日本の様な力は既に無く、無抵抗に等しい。
災害以前からこの国は、バブルと言われる突発的な好景気に呑み込まれ莫大な赤字を内包する綱渡り的な国営をしていた。
そんな国家に災害は、あらゆるものを奪ったのである。
名ばかりの”日本”であり、世界の援助なしでは一日として生きてはいけない弱小国と一変した。
震災後、時は十年を超えていた。
かつての日本の面影はなく、この国を支配しているのは各国の資本家たちであり、政治さえも世界の意向を無視しては立ちゆかない。
闇の世界、裏の世界でもそれは同じだった。
莫大な資金を武器に世界を我がもの顔でその配下に置いていた日本の裏社会も世界マフィアにその全てを奪われ呑み込まれていった。
有数な治安大国と言われた日本は既に無く、各地で治安の悪化、暴力と苦渋を与えられ続ける日本の国民は、只堪え忍ぶしかなかった。
そんな時代の中、古来より伝えられてきた日本特有の力《霊力》が裏社会だけでは無く、各国の軍隊特に闇の世界で高く評価され実際に武器として使われ始めた。
高い霊力者ほど、その影響力は強く武器としての霊能者『ジャッパー』が高額で取引されている。
勿論、自らその力を誇示し多くの報酬を得る者も現れ、その多くは暗殺者として日本のみ成らず世界で動いていた。
そんな日本の関東の一部、かつて東京都庁が君臨していた瓦礫を中心に他国の裏社会さえ手を出す事が出来ない地域が存在する。
「ジャンク」と呼ばれるその地域は震災後、多くの避難民が地下鉄を根城に一つの集落をなしてきた。
国衛の為とはいえ、その広大な地下には災害時の緊急物資もあり、自衛隊が温存していた重火器も至る所に隠されていた。
その物資を元に彼らは諸外国からの干渉を拒み続け、自治さえ行う一つの国家を形成していた。
必要なものは全て力で救援物資の名の下に送り込まれた裏物資を奪い海外に残る日本人資本家達からの援助も与えられ、次第にかつて東京と呼ばれていた地域をほぼ全域その支配下に置いていた。
地方は「統制地域」と呼ばれ、そこから迫害を受けた人々も次第に集まりその中には能力者も数多く「ジャンク」と呼ばれるこの小国家は、闇の世界で宝庫として知れ渡っていた。
だが、そんな時代、世界に散らばっていた能力者を集め闇社会を牛耳ろうとする一団が台頭していた。
世界の軍隊さえその裏では彼らに従わざる終えないほどの影響力を有し、その矛先をついに日本とりわけ「ジャンク」へと向けてきた。
視察と称し部隊を送りいわゆる「能力者狩り」が行われ始めた。
「ジャンク」には元々小さな武闘派集団が存在し、その力を持ってこの地域を納めていたが、闇社会の介入を気に、団結を余儀なくされいていた。
しかし膨大な資金と軍事力を持つ裏社会国家「ゼイス」の力は、能力者を多く抱える「ジャンク」で有っても苦戦を強いられ、次第にその勢力を失いつつあった。
元々、「ジャンク」は保護を望む者は無条件で受け入れ小さな抗争はあっても互いの存在を認め合い助け合う事を第一に成り立っていたところがある。
決して他国の干渉を無為に拒んでいるのではなく、その中に含まれる悪意を嫌って独自に形成された地域なのである。
だがここに至っては只単に「ジャンク」だけの問題ではなく、このまま「ゼイス」が世界を牛耳れば、紛争は絶え間なく世界はかつて戦国の時代さながらに混沌とした秩序のない世界に成ってしまう。
それを感じ取った能力者は世界に数多く目覚め始めている。
「ジャンク」の戦いは、いわばかつての平和を望む人々と、闇社会との戦いへと否応なしに向かって世界を巻き込み始めていく。
今や「ジャンク」は、人々の光の部分であり、能力者にとっての救いの場として存在し続けている。
SEVEN〜The Darkメインキャラクタ
■「ゼイス」Zeiss古来から暗殺を生業とする闇の組織。
元来は暗殺業を主に行っていたギルド的存在だったが最新の環境シュミレーション用コンピュータを使い始めた事により政治経済だけではなく、あらゆる分野に進出し始め現在は裏の政府機関を吸収し世界規模の闇政府となった。
「ゼイス」の名称もその資金力で独自開発した自立型コンピュータZeissからとったもの。
少数の幹部はいるが中心的な人物は存在しない、Zeissのシミュレートによって全ての判断を行っている。
能力者に関しても、シミュレートによって導き出された「人類のあり方」によって戦いの一手段として全ては決定される。
「人類のあり方」とは、すなわち戦い続ける事。文明の発展も人類の存在意義も全てが戦いを基本としていると導き出された。
勿論、人類の破滅的行為は決してしないがその観念を基本に世界の改革を行おうとしている。
■Xsize(エクサイズ)
「ゼイス」ではその技能と能力から通常、A〜Rまでが一般の暗殺者のランクだがそれ以上のナンバーを持つ者は能力者が大半を占めている。
その中でもXナンバーを持つXsizeの5人は特別部隊として編成された。
Xナンバーは、他の部隊、特に共同任務をさせられないほどの危険人物と言う意味でもあり何処の部署にも当てはまらないという意味合いも含められている。
当然、彼らの行動は幹部からの命令ではなく、Zeiss端末からの命令で任務が決まる。
あらゆる部署にその特権は行使され「ゼイス」内に於いてもその存在を最重要機密とされている。
今現在の任務は、日本、特に「ジャンク」の能力者の実態であり戦闘はなるべく放棄するよう命令されているがその判断も全て彼ら独自に行っている。
■この世界の日本では、戦国絵巻「せぶん」で歴史がかなり変わってしまった日本が舞台です。
それでも世界の情勢やその後の日本が歩む歴史はさほど変化はありません。
只、「せぶん」での戦いを境に日本では、霊力を持つ者が非常に増え、少なからず誰でもがその能力を潜在するように成っています。
それでもその力を武器として使う事を嫌い歴史的にその存在は、あからさまにされないで現在の様な時代を迎えた世界なのです。
勿論、日本人だからその力を持っているのではなく、誰もが持っている力を一番使えるように成っているのがこの世界の日本人という事です。
そして全てを失った日本が立ち直り、世界へ貢献する術として霊力が重要視されているそれがこの「SEVEN」の物語です。
そのため、能力者を俗名もしくはその能力を表す一文字の漢字で表現される事が多いですし万能な能力者と言うのは皆無に等しくそれぞれに固有の力を持ちます。
現実の世界のように科学と相容れない存在ではなく不確かながらその存在と能力は認識され研究されている世界でも有ります。
超能力とは違って、人が本来持つ精神の波長というか固有の脳波振動の種類でそれぞれ違った力を有するというのが基本に成っています。
Close.↑
資源の無い小さな島国である日本は、最新の技術と高い生産力で国全体を維持するしか方法が無かった。
それ故に技術者としての国民性が大きな資本となり、この国を支え続けていたのである。
多くの日本人が世界の隅々までその高い技術を惜しみなく発揮し、世界が資本主義へと統一されていく中、重要な国家に成ろうとしていた。
だがそんな怏々たる日本に多大なる被害をもたらす天災が訪れた。
この年の夏は、日本の各地で異常とも思える気象の変動がまるで何かの前触れのように列島を包んでいた。
夏も過ぎ、異常気象も治まったかの様な9月、以前から何度も囁かれては訪れなかった関東を中心とする大地震。
誰もが忘れかけていたこの日、突然にそれは訪れた。
9月9日5時03分、地面を這う振動がその唸り声と共に大地を揺るがし大都市東京を中心とする関東一円は小刻みに揺らいでは静寂を繰り返していた。
何度目かの小さな揺れで人々は冷静さを取り戻しつつあったその時、それを打ち砕くように過去最大規模な直下型地震が大都市を走る活断層のうねりと共に関東一円を揺るがした。
都市は至る所で悲鳴を上げ、高層ビルが建ち並ぶこの世界有数の大都市は一瞬でその機能と豊かさを破壊尽くされた。
人的被害もさることながら、世界の中心とでも言うべき、日本の首都・東京はその機能の全てを失った。
やがて関東一円に静寂がもどりはじめる。
動けるものは安らげる場所を求め、傷ついたものは誰彼とも無く助けを求め、自らの生存本能だけを頼りに生き抜こうとしていた。
だが、そんな人々をあざ笑うかのように建物の崩壊した瓦礫から一つ、二つと炎が広がり始め、その炎は、業火となり巨大な熱波は竜巻を起こし見る見るうちに大都市を呑み込んでいく。
かろうじて生きている人々、何処へともなく逃げ惑う人々にも容赦なくその炎は襲い続けた。
あまりの被害の大きさ故、周辺の消防隊や救助部隊の力さえ何の手助けにも成らなかった。
政治経済、全ての機能を集中させていたこの日本では、今、未曾有宇の大災害へと変わりつつある。
確かに地震の被害は大きいが、それ以上にこの国にとって東京を中心とする関東の機能が麻痺すると言うことは、日本全国のライフラインを失ったことに等しいほどそれは重要だった。
地震や火災で失った人命は何にも変えられないが、思ったほど壊滅的ではなかった、それ以上に首都機能を失うと言うことは、政治経済だけではなく、寸断された交通網は全国の流通を麻痺させ金融だけに止まらず、世界に誇る全ての財産・優位性が崩壊するという一面もさらけ出した。
それでも関東の被害を知った周辺諸国、特に米国政府は人道支援を急務と考え国連と共にこの国日本へと大規模な支援部隊を送り出し、同盟国以外でもそれは同じだった。
その時、日本各地の国民は失意の底に有ったが各地に残る報道と情報網から世界の救いの手が我々をこの大災害から助け出してくれると心から信じていた。
膨大な支援がこの国にもたらされ、関東の機能の一部も復興し始めた頃、世界の情勢は別の方向へと傾いていた。
もし、このまま日本を完全復興させたとしても、かつての技術大国・日本は世界にとって必要なのか?
既にかつての大国としての価値は完全に失われている。
世界に点在する最先端を誇ったかつての日本企業も母国とのラインを失い、今では他国の援助なしでは存続さえ危ぶまれる。
当然、他国の資本がその技術と共に財産の全てを呑み込み始めているだろう。
日本の地方都市さえ、海外の援助なしでは生きていくすべさえ無に等しい。
そう考えた世界の資本は、人道的支援から日本が未だに持ち続ける潜在的財産の吸収と搾取へと傾いていた。
それに気づいた新たな日本政府には、かつての日本の様な力は既に無く、無抵抗に等しい。
災害以前からこの国は、バブルと言われる突発的な好景気に呑み込まれ莫大な赤字を内包する綱渡り的な国営をしていた。
そんな国家に災害は、あらゆるものを奪ったのである。
名ばかりの”日本”であり、世界の援助なしでは一日として生きてはいけない弱小国と一変した。
震災後、時は十年を超えていた。
かつての日本の面影はなく、この国を支配しているのは各国の資本家たちであり、政治さえも世界の意向を無視しては立ちゆかない。
闇の世界、裏の世界でもそれは同じだった。
莫大な資金を武器に世界を我がもの顔でその配下に置いていた日本の裏社会も世界マフィアにその全てを奪われ呑み込まれていった。
有数な治安大国と言われた日本は既に無く、各地で治安の悪化、暴力と苦渋を与えられ続ける日本の国民は、只堪え忍ぶしかなかった。
そんな時代の中、古来より伝えられてきた日本特有の力《霊力》が裏社会だけでは無く、各国の軍隊特に闇の世界で高く評価され実際に武器として使われ始めた。
高い霊力者ほど、その影響力は強く武器としての霊能者『ジャッパー』が高額で取引されている。
勿論、自らその力を誇示し多くの報酬を得る者も現れ、その多くは暗殺者として日本のみ成らず世界で動いていた。
そんな日本の関東の一部、かつて東京都庁が君臨していた瓦礫を中心に他国の裏社会さえ手を出す事が出来ない地域が存在する。
「ジャンク」と呼ばれるその地域は震災後、多くの避難民が地下鉄を根城に一つの集落をなしてきた。
国衛の為とはいえ、その広大な地下には災害時の緊急物資もあり、自衛隊が温存していた重火器も至る所に隠されていた。
その物資を元に彼らは諸外国からの干渉を拒み続け、自治さえ行う一つの国家を形成していた。
必要なものは全て力で救援物資の名の下に送り込まれた裏物資を奪い海外に残る日本人資本家達からの援助も与えられ、次第にかつて東京と呼ばれていた地域をほぼ全域その支配下に置いていた。
地方は「統制地域」と呼ばれ、そこから迫害を受けた人々も次第に集まりその中には能力者も数多く「ジャンク」と呼ばれるこの小国家は、闇の世界で宝庫として知れ渡っていた。
だが、そんな時代、世界に散らばっていた能力者を集め闇社会を牛耳ろうとする一団が台頭していた。
世界の軍隊さえその裏では彼らに従わざる終えないほどの影響力を有し、その矛先をついに日本とりわけ「ジャンク」へと向けてきた。
視察と称し部隊を送りいわゆる「能力者狩り」が行われ始めた。
「ジャンク」には元々小さな武闘派集団が存在し、その力を持ってこの地域を納めていたが、闇社会の介入を気に、団結を余儀なくされいていた。
しかし膨大な資金と軍事力を持つ裏社会国家「ゼイス」の力は、能力者を多く抱える「ジャンク」で有っても苦戦を強いられ、次第にその勢力を失いつつあった。
元々、「ジャンク」は保護を望む者は無条件で受け入れ小さな抗争はあっても互いの存在を認め合い助け合う事を第一に成り立っていたところがある。
決して他国の干渉を無為に拒んでいるのではなく、その中に含まれる悪意を嫌って独自に形成された地域なのである。
だがここに至っては只単に「ジャンク」だけの問題ではなく、このまま「ゼイス」が世界を牛耳れば、紛争は絶え間なく世界はかつて戦国の時代さながらに混沌とした秩序のない世界に成ってしまう。
それを感じ取った能力者は世界に数多く目覚め始めている。
「ジャンク」の戦いは、いわばかつての平和を望む人々と、闇社会との戦いへと否応なしに向かって世界を巻き込み始めていく。
今や「ジャンク」は、人々の光の部分であり、能力者にとっての救いの場として存在し続けている。
SEVEN〜The Darkメインキャラクタ
![]() ■魁【かい】 俗名・青炎の魁 | ● 魁 かい(18才) 八歳で震災に巻き込まれ、孤児となり同じように孤児となった子供達の集団「青い狼」の一員として育ち、後にリーダーとして彼らを率いる。 彼の力はあらゆる物に霊力を注ぎ込み武器とする能力を持つ。 特に金属パイプなどを好んで武器としている。(霊力を注ぎ込むと青白く炎の様に光る)あまり戦いは好まないが仲間の為なら例えどんなに傷ついても立ち上がり絶対に挫けない。 愛用のバイク「スパロー2000」を乗り回しているため、戦闘服はバイクスーツ。 仲間が「ゼイス」の能力者狩りに合いほとんどが殺された為「ゼイス」への復習と仲間の救出を目的に戦いを始める。 |
![]() ■艶【えん】 俗名・瞬殺の艶月使い | ● 葉月 美咲 はつき みさき(21才) 震災時、叔父に助けられ共に「ジャンク」で暮らしていたが、18才の時病で倒れた叔父を助ける為、裏の仕事を続けて来たが20才の時叔父が死に今は賞金稼ぎの様な暮らしをしている。(金属を自在に操る能力を持つ。) 金で作られた折りたたみ式ブーメラン状のアイテム「艶月」を使い裏の仕事仲間では「瞬殺の艶月使い」の通り名で有名である。 気が強い反面、男に優しくされると弱い。気丈な叔父に育てられた為か魁の一途で誰にも屈しない所に惚れて仲間となる。 裏の事に精通している為、魁にとっては良きアドバザーでもあり姐のような存在。 |
![]() ■剛【ごう】 俗名・剛腕の凶王 | ● 樋崎 灯 ひざき ともる(19才) 震災で左腕を失い義手となるが、救助された後大阪の施設に収容されたが迫害を受けて12才で施設を脱走し「ジャンク」の保護を受ける。 その後、メカ工学を得意とする親友にサイバネティックの義手をもらい「ジャンク」の自警団に入る。 義手に霊力を注ぐことで腕に仕込まれた銃身から霊弾を打つことが出来る様に成った。 戦いで、親友と自警団の仲間を失い今は一人で能力者狩り部隊へテロ活動を続けている。 魁とは始め誤解から敵同士になるが戦いの最中、「ゼイス」の能力者の攻撃を受けたのをきっかけで誤解が解け、今は魁達と行動を共にする。 |
![]() ■滅【めつ】 俗名・滅殺の狙撃手 | ● ダナン ルヒテンブライン (27才) 元、ヨーロッパ統合軍の特殊部隊の狙撃手。日本女性の恋人がいたが震災で恋人を失い失意の末、軍を退役後スナイパーとなり世界を渡り歩いていた。 闇社会の標的が日本に集中している事を知り、かつての恋人の面影を抱き日本に渡る。 彼女が能力者であった為、少なからず能力を使えるようになり標的の気を感じる事が出来る。 「ジャンク」に入り、能力者と接するようになると彼の能力も強さを増し今では愛用のライフルで気弾を撃つ事が出来るようになった。 「ジャンク」の人々の心に触れいつしか「ゼイス」との戦いに身を置くように成った。 |
![]() ■智【ち】 俗名・千手の機械姫 | ● 智鶴 ちづる (11才) 生後まもなく震災に遭い、両親を失う。 泣きじゃくる智鶴を「ジャンク」に避難していた老夫婦が育ての親となる。 老夫婦が営む機械屋で育った為、機械に詳しい。(機械に触るだけでその特性が判る)物の持つ記憶を読み取る事が出来る能力を持ち、そこから知識を得て解体修理が出来る。 戦いで負傷した灯の義手を直す為に立ち寄った機械屋が智鶴の店だったのがきっかけで知り合ったが、後に「ゼイス」の攻撃に巻き込まれて老夫婦が殺され独りぼっちとなり魁たちと行動を共にするようになる。 震災後の「ジャンク」では義手や機械の修理が重要視されていた中、彼女の店は「何でもあっという間に直せる千手の機械姫がいる」と有名であった。 |
![]() ■陣【じん】 俗名・鉄扇の龍 | ● 龍 麒 (15才) 5才の頃中国の天津で中国マフィアに拾われた日系アメリカ人。 徹底的に暗殺術などを覚えさせられて育った為、感情を表に出す事を嫌い人と接しない。 中国系の流れを組む扇を武器として太極拳、八極拳などあらゆる拳法を取得している。 元々が日系でもあり少なからず霊力は持っていたが、中国武術を習得する事で、武具や拳などに気を載せて打ち込む事が出来る。 主に女性が得意とする扇を愛具としたのは、幼い時に生き別れた母を思っての事であり優雅さを選んでいたところもある。 魁たちの暗殺を目的に「ジャンク」へ潜入したが、智鶴との出会いで人と接する事の楽しさを知り、魁との戦いに敗れ自然と魁の心の強さと優しさを知り仲間となる。 |
![]() ■雷【らい】 俗名・ビットマスター | ● ジュン 高瀬 (20才) 10才の時、ニューヨークへ両親と旅行中、震災を知り帰る家を失い両親と共にアメリカで暮らす事になった。だが両親を事故で失い孤児となるがプログラマーである両親の影響か彼女も類い希な才能を買われ15才でシリコンバレーのバイオ研究施設のプログラマとして働くようになる。 その施設(「ゼイス」の資本)の研究が『霊力の増幅』で有る事を知り、のめり込むが自らがその力を持つ事「ゼイス」が闇の結社的存在である事を知り脱走の機会を伺いながら日本への研究員として派遣される。 その後、関東の研究施設が魁たちに破壊された時、共に脱出を申し出、仲間となる。 彼女は研究所が完成させたバイオコンピュータと自らの霊力を使い空中に浮遊する電子を自由に操り雷界結界を張り巡らしたり、電撃を発生させたり出来る。 |
![]() ■氷【ひょう】 俗名・氷帝 | ● ガルド (20才) 「ゼイス」のXナンバー部隊 Xsize(エクサイズ)のメンバーであるが一匹狼の所があり、独断専行型だが冷静な判断力も持ち合わせている。 何よりも群れる事を嫌い他人がどうなろうと無関心、冷徹な性格でもある。 子供の頃、自分の能力で自分の家族を死なせてしまった事が原因で孤独を好む。 絶対零度の技を得意とし、「ゼイス」でも『氷帝』として恐れられている存在。 魁との戦いで顔に傷を付けられてから魁を執拗に狙う。 一見、支配欲は無い様に見えるがその実、心の中では「ゼイス」さえも支配し世界をこの手に握る目論みも持つ。 |
![]() ■炎【えん】 俗名・炎の抱擁 | ● シャノン ロワール(25才) 「ゼイス」のXナンバー部隊 Xsize(エクサイズ)のリーダーでもあり灼熱の両腕を持ち3000度の高熱で全てを焼き尽くす。 性格は至って温厚であるが考え方は至ってシンプルであり「自分に役立つ者には愛を刃向かう者には死を」をそのまま行く自由奔放な性格。 損得で「ゼイス」を選び自ら暗殺者と成ったが、「ゼイス」に義理などの感情は持っていない。 口調や振る舞いは至って温厚であり世話好きな為、誰からも好かれるがその裏の怖さを知る者はあまり近づこうとはしない。 「ゼイス」に於いてはかなり上のランクであり幹部候補と成っているが本人にその気はない。 |
![]() ■素【そ】 俗名・流砂の破壊神 | ● メッシュ (15才) 「ゼイス」のXナンバー部隊 Xsize(エクサイズ)のメンバー。 赤ん坊の頃に「ゼイス」に拾われ、能力者で有った為研究施設で育ちあらゆる訓練を受けた。 素性は一切分からず、子供の頃の記憶も研究施設で消されている。 あらゆる物質を通り抜けたり、粒子の結合を自由に操る事が出来る能力を得意とする。 あまりの力に「ゼイス」では一度抹消されかけたが、記憶を制御することで暗殺部隊Xsizeのメンバーとなる。 記憶の操作の為か感情の起伏が激しく、我を忘れて周りの全てを破壊尽くした為、破壊神と呼ばれるようになった。 今は、暴走したメッシュを止められるXsizeのリーダー、シャノンを母のように慕っている。 |
![]() ■輪【りん】 俗名・死の光輪使い | ● ラナン (16才) 「ゼイス」のXナンバー部隊 Xsize(エクサイズ)のメンバー。 彼女もまたメッシュと同じ研究施設で育てられた。記憶は消されていないが施設の所長を実の父のように慕いほめられる事だけを生き甲斐に「ゼイス」の暗殺者となる。 彼女の能力は霊力を光の輪に具現化し高速で飛ばす事が出来る。 霊力の輪は高速で回転し瞬間的にいくつでも作る事が出来る為、それを武器に防御と攻撃を同時に行う事が出来る。 事の善悪をあまり考えず、行動力はあるが独りよがりなところがある為、相手を全滅させてしまう事もある。時には味方さえ傷つけてしまう。 |
![]() ■幽【ゆう】 俗名・静寂の妖獣使い | ● 寿 麻樹ことぶき まき(17才) 「ゼイス」のXナンバー部隊 Xsize(エクサイズ)のメンバー。 元々は「ゼイス」の研究施設で働いていたが、能力者と接する中で自分の能力に目覚めた。 彼女の能力は想像した物(特に魔物)を実体化させる事が出来る霊能力。 暗殺者と言うより、ラナンやメッシュの監視役もかねて配属されたが、元々が報酬第一主義であり、高収入の暗殺者を選んだ変わり者。 性格はほとんど無頓着であり、ファッションなどには全く興味が無く自分だけの研究に没頭する為の資金作りを目当てに働いている。 自らの研究「魔力と魔法と錬金術」の為か、実体化できるのは魔物が主。 |
■「ゼイス」Zeiss古来から暗殺を生業とする闇の組織。
元来は暗殺業を主に行っていたギルド的存在だったが最新の環境シュミレーション用コンピュータを使い始めた事により政治経済だけではなく、あらゆる分野に進出し始め現在は裏の政府機関を吸収し世界規模の闇政府となった。
「ゼイス」の名称もその資金力で独自開発した自立型コンピュータZeissからとったもの。
少数の幹部はいるが中心的な人物は存在しない、Zeissのシミュレートによって全ての判断を行っている。
能力者に関しても、シミュレートによって導き出された「人類のあり方」によって戦いの一手段として全ては決定される。
「人類のあり方」とは、すなわち戦い続ける事。文明の発展も人類の存在意義も全てが戦いを基本としていると導き出された。
勿論、人類の破滅的行為は決してしないがその観念を基本に世界の改革を行おうとしている。
■Xsize(エクサイズ)
「ゼイス」ではその技能と能力から通常、A〜Rまでが一般の暗殺者のランクだがそれ以上のナンバーを持つ者は能力者が大半を占めている。
その中でもXナンバーを持つXsizeの5人は特別部隊として編成された。
Xナンバーは、他の部隊、特に共同任務をさせられないほどの危険人物と言う意味でもあり何処の部署にも当てはまらないという意味合いも含められている。
当然、彼らの行動は幹部からの命令ではなく、Zeiss端末からの命令で任務が決まる。
あらゆる部署にその特権は行使され「ゼイス」内に於いてもその存在を最重要機密とされている。
今現在の任務は、日本、特に「ジャンク」の能力者の実態であり戦闘はなるべく放棄するよう命令されているがその判断も全て彼ら独自に行っている。
■この世界の日本では、戦国絵巻「せぶん」で歴史がかなり変わってしまった日本が舞台です。
それでも世界の情勢やその後の日本が歩む歴史はさほど変化はありません。
只、「せぶん」での戦いを境に日本では、霊力を持つ者が非常に増え、少なからず誰でもがその能力を潜在するように成っています。
それでもその力を武器として使う事を嫌い歴史的にその存在は、あからさまにされないで現在の様な時代を迎えた世界なのです。
勿論、日本人だからその力を持っているのではなく、誰もが持っている力を一番使えるように成っているのがこの世界の日本人という事です。
そして全てを失った日本が立ち直り、世界へ貢献する術として霊力が重要視されているそれがこの「SEVEN」の物語です。
そのため、能力者を俗名もしくはその能力を表す一文字の漢字で表現される事が多いですし万能な能力者と言うのは皆無に等しくそれぞれに固有の力を持ちます。
現実の世界のように科学と相容れない存在ではなく不確かながらその存在と能力は認識され研究されている世界でも有ります。
超能力とは違って、人が本来持つ精神の波長というか固有の脳波振動の種類でそれぞれ違った力を有するというのが基本に成っています。
Close.↑
| ■地球防衛少女隊『アリス』【短編】 |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
■【プロローグ・お馬鹿な奴ら】
プロローグ
20XX年。
地球に向かって巨大な宇宙船が一隻長い航海を続けていた。
その姿はまるで(サナダムシ)もとい!!さなぎの様な形をしていた。
永い永い航海をやっと今!終えようとしている。
遙か彼方の故郷の星を離れ、先行の同族の元へと向かっていた。
「ギー!司令官ドン様!只今地球圏1万キロに到着致しました。」
「おー!そうか!やっと着いたか。永い旅だったなぁ〜皆のもの! 我々の使命もやっと実るときが来た!本当にめでたい!」
そう言って司令官は部下に特上の祝い食を乗員達全員に配るよう指令を与えた。
「では!我らが使命、先発の我が同胞との再会と、我らゴッキー帝国地球リゾート計画部隊の前途を祈り!」
『ギー!!!!』
その言葉と共に搭乗員全員の手渡された極上のキュウリをもって自らの使命に対して新たな決意をするのであった。
「そろそろ同胞からの迎えが来ても良さそうな距離だがどうだ?」
司令官ドンが通信担当士に向かって現状報告を求めた。
「ドン様!先ほどから先発隊に向けて通信を試みているのですが一向に返事が無いのです!」
「おかしいなぁ〜この距離ならレーダー圏内入っているはずだが・・何の電波も受信できんのか?」
「は!それが地球より数種類の電波は届いているのですが、内容が全く理解できない情報なのです。」
「先に連絡があったのはいつだったかな?」
「は!2億年ほど前、先発隊が地球到達した時点で連絡が有りました。」
「我々がコールドスリープ中には連絡は無かったのか?」
「は!記録によると、1億9000年前と1億8000年前に2度連絡が入っております。」
「そうか!読み上げてくれ。」
「ギー!」
『我らゴッキー帝国地球調査部隊より。地球環境は我ら同族に最適と判断。しかし地球には巨大な生物がおり只今コンタクトを試みておりますが、相手は知能程度に問題が有りこれ以上、この種族との交渉は無理かと判断。その後の調査により我らと同族の遺伝子を持つ生物を発見し、これとコンタクトを試みましたが、まだ知能的に未開発と判断し、予定の計画 全域侵略計画、作戦名【手当たり次第】を発動。以後、我ら調査隊は、同族部隊の繁殖を試み、地球規模での侵略を開始します。以上。ゴッキー帝国地球方面調査隊・隊長、ゴマキより。』
「音声と共に一部画像も送られて来ましたが、ノイズが激しく解析不能となっています。」
「2回目の通信内容ですが・・・」
『我らゴッキー帝国地球調査部隊第2期編成隊より。我々同族による地球全域による侵略計画。作戦名【手当たり次第】は尚も継続中。ほとんどの地域で同族の繁殖に成功。尚、繁殖作戦中に若干、遺伝子情報の変更を余儀なくされ只今作業中。しかし作戦には何ら影響は無いものと繁殖部隊より報告あり。繁殖部隊の作戦成功率は98%、後一世代後には作戦完了予定。以後は、本隊到着後に惑星改造計画を発動するべく部隊は待機する。以上。ゴッキー帝国地球方面調査隊・第2期編成隊・フンコロガシより。』
「以上の様な内容であり、以後は報告は記録されておりません。」
「そうか!どうやら作戦は完了し、我ら本隊の到着を待ってリゾート計画を発動すべく、調査隊は待機しているようだな。」
その時、超距離スキャンレーダーによる探査を終えた、調査部主任テントウが司令室へと入ってきた。
「ギー!ドン様!たった今長距離スキャンの結果がでましたのでご報告に参りました。」
「おー!そうか!では報告を聞こう。」
「ギー!生体反応スキャンの結果、我が同族部隊のものと思われる存在が地球全域より確認されました。
しかし異種族の存在も多数確認。鉱物を主とした文明が存在するものと思われます。ただし個体数においては我ら同族が優位かと判明致しました。」
「おー!やはりそうか!どうやら繁殖作戦は成功したようだな。」
「しかし司令官殿!異種族が気にかかるのですが・・・・」
「なに〜案ずることはない!恐らくは、報告にあった低能な巨大生物を奴隷と化し文明の発展に使用したのだろう。」
「さすが!司令官殿!私もその様な事では無いかと推測しておりました。」
「はははは〜!これで我々の使命も簡単に終わりそうだな。」
「ギー!!!!」
司令官ドンのその笑いによって、船内は歓喜に包まれていた。
あまりにも粗末な彼らの行動にあきれ果てる解説者であった・・・・・・
「うん?今誰か何か言ったか?」
「いえ。私には・・・・空耳でしょう。」
「そうだな。空耳だな。はははははは〜」
地球防衛少女隊『アリス』プロローグ【お馬鹿な奴ら】 おわり。
Close.↑
20XX年。
地球に向かって巨大な宇宙船が一隻長い航海を続けていた。
その姿はまるで(サナダムシ)もとい!!さなぎの様な形をしていた。
永い永い航海をやっと今!終えようとしている。
遙か彼方の故郷の星を離れ、先行の同族の元へと向かっていた。
「ギー!司令官ドン様!只今地球圏1万キロに到着致しました。」
「おー!そうか!やっと着いたか。永い旅だったなぁ〜皆のもの! 我々の使命もやっと実るときが来た!本当にめでたい!」
そう言って司令官は部下に特上の祝い食を乗員達全員に配るよう指令を与えた。
「では!我らが使命、先発の我が同胞との再会と、我らゴッキー帝国地球リゾート計画部隊の前途を祈り!」
『ギー!!!!』
その言葉と共に搭乗員全員の手渡された極上のキュウリをもって自らの使命に対して新たな決意をするのであった。
「そろそろ同胞からの迎えが来ても良さそうな距離だがどうだ?」
司令官ドンが通信担当士に向かって現状報告を求めた。
「ドン様!先ほどから先発隊に向けて通信を試みているのですが一向に返事が無いのです!」
「おかしいなぁ〜この距離ならレーダー圏内入っているはずだが・・何の電波も受信できんのか?」
「は!それが地球より数種類の電波は届いているのですが、内容が全く理解できない情報なのです。」
「先に連絡があったのはいつだったかな?」
「は!2億年ほど前、先発隊が地球到達した時点で連絡が有りました。」
「我々がコールドスリープ中には連絡は無かったのか?」
「は!記録によると、1億9000年前と1億8000年前に2度連絡が入っております。」
「そうか!読み上げてくれ。」
「ギー!」
『我らゴッキー帝国地球調査部隊より。地球環境は我ら同族に最適と判断。しかし地球には巨大な生物がおり只今コンタクトを試みておりますが、相手は知能程度に問題が有りこれ以上、この種族との交渉は無理かと判断。その後の調査により我らと同族の遺伝子を持つ生物を発見し、これとコンタクトを試みましたが、まだ知能的に未開発と判断し、予定の計画 全域侵略計画、作戦名【手当たり次第】を発動。以後、我ら調査隊は、同族部隊の繁殖を試み、地球規模での侵略を開始します。以上。ゴッキー帝国地球方面調査隊・隊長、ゴマキより。』
「音声と共に一部画像も送られて来ましたが、ノイズが激しく解析不能となっています。」
「2回目の通信内容ですが・・・」
『我らゴッキー帝国地球調査部隊第2期編成隊より。我々同族による地球全域による侵略計画。作戦名【手当たり次第】は尚も継続中。ほとんどの地域で同族の繁殖に成功。尚、繁殖作戦中に若干、遺伝子情報の変更を余儀なくされ只今作業中。しかし作戦には何ら影響は無いものと繁殖部隊より報告あり。繁殖部隊の作戦成功率は98%、後一世代後には作戦完了予定。以後は、本隊到着後に惑星改造計画を発動するべく部隊は待機する。以上。ゴッキー帝国地球方面調査隊・第2期編成隊・フンコロガシより。』
「以上の様な内容であり、以後は報告は記録されておりません。」
「そうか!どうやら作戦は完了し、我ら本隊の到着を待ってリゾート計画を発動すべく、調査隊は待機しているようだな。」
その時、超距離スキャンレーダーによる探査を終えた、調査部主任テントウが司令室へと入ってきた。
「ギー!ドン様!たった今長距離スキャンの結果がでましたのでご報告に参りました。」
「おー!そうか!では報告を聞こう。」
「ギー!生体反応スキャンの結果、我が同族部隊のものと思われる存在が地球全域より確認されました。
しかし異種族の存在も多数確認。鉱物を主とした文明が存在するものと思われます。ただし個体数においては我ら同族が優位かと判明致しました。」
「おー!やはりそうか!どうやら繁殖作戦は成功したようだな。」
「しかし司令官殿!異種族が気にかかるのですが・・・・」
「なに〜案ずることはない!恐らくは、報告にあった低能な巨大生物を奴隷と化し文明の発展に使用したのだろう。」
「さすが!司令官殿!私もその様な事では無いかと推測しておりました。」
「はははは〜!これで我々の使命も簡単に終わりそうだな。」
「ギー!!!!」
司令官ドンのその笑いによって、船内は歓喜に包まれていた。
あまりにも粗末な彼らの行動にあきれ果てる解説者であった・・・・・・
「うん?今誰か何か言ったか?」
「いえ。私には・・・・空耳でしょう。」
「そうだな。空耳だな。はははははは〜」
地球防衛少女隊『アリス』プロローグ【お馬鹿な奴ら】 おわり。
Close.↑
| ■『志音(SHION)』【小説】 |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
第二章「生存〜それぞれの刻」
ユリカ編 Next02.....
ユリカ編 Next02.....
明治二十六年、七月。
日本は幕末からの混乱を経て新しい日本の国作りがようやく一息着こうとしていたが、その反面、外国との技術の差を縮めようと政治、軍事力、貿易などあらゆる面で必死になっていた。
特に軍事面での整備は著しく、海外との外交も盛んに行われ、軍国主義の台頭さえ見え始めるそんな時代でも有った。
そんな中、ここ函館でも近隣諸国、特にロシアとの外交並びに大日本帝国北辺の障壁となす中心的な存在として函館の港は重要な拠点でもある。
維新以来、北海道は新たな新天地として、諸国から開拓民が続々押し寄せ森に覆われた北の大地に新たな主要都市を築く礎として多くの人々が集まって来ていた。
だが、一方でこの土地に古くから住み着いていた人々、アイヌ民族を迫害するという弊害も起きている。
自然と暮らし大地からの恵みを大切に守り共に暮らす、そんな暮らしを国策と言う大義名分の中で一般庶民から奪う行為だったのかも知らない。
古来、彼らアイヌの人々達が語り継いできた《神の住む土地》そう言った神聖な場所さえも土足で踏みにじる行為が繰り広げられていた。
ただ、そんな人々の中にも自然を慈しみ共に暮らす人々を理解しようとする人間も居ないわけでも無い。
龍崎志乃助陸軍函館支部・騎兵隊少尉もそんな一人で有ったが、軍人であるが故の制約からか言動の自由を奪われた存在でもある。
だが今はそんな鬱積した気持ちを和ますひとときを少尉は楽しんでいた。
「ユリカさん。」
「少尉さん!お帰りなさい。今日は随分と早いのですね。」
「えぇ、部隊から転属命令が出まして、一時的に休暇を貰ったものですから。」
「まぁ、転属命令ですか?」
「はい。陸軍本部に配属が決まりました。」
「陸軍本部、それでは昇進ですか?それはおめでとうございます。」
「ありがとう。でも一つだけ気がかりな事が有ります。」
「なんですか?」
「あなたの事です。ユリカさん。」
「私?確かに少尉さんが居なくなるのは寂しいですが、少尉さんのお陰でこうして暮らしていける様になりお仕事まで頂いてなんとお礼を言ったらいいか。」
「いえ。それはユリカさんの人柄ですよ。私は大した事はしていませんよ。」
「そんな事は有りませんよ。記憶を無くし知らない土地で暮らせるのも全て龍崎少尉様のお陰です。」
「そう言っていただければ私はうれしいです。」
そう言いながら二人は和やかな会話の時を過ごしていた。
ユリカは五稜郭で少尉に助けられ、その後少尉のつてで、看護婦となっていた。
元々はユリカの記憶を取り戻す為、函館市内の病院へ赴いた際に、ユリカが転んで怪我をしていた子供を治療した事から、元々知り合いでも有った院長の病院で見習いとして働く事になったのである。
ユリカが記憶を失いながらもその処置が優れていた事も一つのきっかけでも有ったが、それを知った病院の院長が記憶を失う以前、看護に従事していたのでは無いかと言う診断もあり、同じような環境に居れば記憶を取り戻せるきっかけになるだろうとの判断でもあった。
「それにしてもたった三月で病院の勤務に慣れてしまうとは、やはり以前どこかの病院で働いて居たのでは無いかと院長も言っておられましたよ。」
「それが・・・記憶が無いのに体が覚えているようで、何となく出来てしまうんですよ。とっても複雑な気分ですが、でもこうやって体を動かしているとなんだかうれしいんです。」
「ユリカさんにはそうやって体を動かしているのが有っているんでしょうね。なんだか輝いて見えます。」
「少尉さんたら!お上手ですね。いつもそうやって女性を口説くんですか?」
「そっそんな・・・・・」
「冗談ですよ!少尉さん!」
「ひどいなぁ〜」
「はははははっ!」
ユリカと少尉はまるで恋人同士のようにお互いを気遣いながらも楽しいひとときを過ごしていた。
「話は変わりますが、あれから何か思い出した事は無いんですか?」
「えぇ・・・・」
「あっ!すいません!私はただ何か思い出せば、ユリカさんの記憶を取り戻す手がかりを見つけられるかと思っただけです。気を悪くしないで下さい。」
「はい。分かって居ます。少尉さんが私のために色々と調べて下さっている事は。私も思い出そうとはしているんですが、思い出そうとすればするほど深い靄が頭の中にかかったようになるんです。」
「そうですか・・・でも!そう焦ることは無いですよ。先生も言って居られました。記憶喪失と言うのは無理に思い出そうとするより焦らずに気持ちを落ち着かせる事が一番だと。それに何かが引き金になって突然思い出すと言うことも有るらしいですから。」
「そうですよね・・・・・でも私は今そんなにめげては居ませんよ。だって!こうして少尉さんが気にかけて来て下さるんですもの。」
「あの〜一つお願いが有るんですが・・・・・・」
「なんですか?少尉さん。」
「その少尉と言うのを辞めて貰えませんか?あっ!別に嫌だって言う訳じゃ無いですが、名前で呼んで貰えないかと・・・・」
龍崎少尉は少し照れた様にユリカの目を反らした。
「あっ!ごめんなさい。昇進するんですから、もう少尉さんじゃ無いんですよね。」
「いえ・・・・そう言う事じゃ無くて・・・・・なんと言えば良いか・・・・・」
「ではなんて呼びましょう?龍崎さん?それとも志乃助さん?」
「あっ!どちらでも・・・・・・・」
少尉は顔を真っ赤にしてうつむいていたが、ユリカにはそんな照れた顔をする少尉が可愛いと思った。
「そうだ!ユリカさん!私が陸軍本部へ転属するまで、しばらく休暇を貰ったんで田舎へ帰ろうかと 思っているんです。もし良かったらユリカさんも一緒に気晴らしに行ってみませんか?」
「でもお仕事が有りますから。」
「実は院長から了解は貰っているんです。色んな環境で過ごすのも記憶の手がかりをつかむ良い方法では無いかと。」
「少尉さん!随分手回しが良いんですね。」
そう言うとユリカは少尉をからかうように微笑んだ。
「すっすいません!余計なお世話だったかも知れませんね。」
「いいえ。喜んでご一緒させて頂きます。志乃助さん。」
「えっ?今なんて?」
「はははっ、忘れました。」
「ユリカさん。」
うち解け合い笑い合う二人はいつしかお互いに何かを感じ始めている事に気が付いていた。
ユリカ編 Next03.....
Close.↑
日本は幕末からの混乱を経て新しい日本の国作りがようやく一息着こうとしていたが、その反面、外国との技術の差を縮めようと政治、軍事力、貿易などあらゆる面で必死になっていた。
特に軍事面での整備は著しく、海外との外交も盛んに行われ、軍国主義の台頭さえ見え始めるそんな時代でも有った。
そんな中、ここ函館でも近隣諸国、特にロシアとの外交並びに大日本帝国北辺の障壁となす中心的な存在として函館の港は重要な拠点でもある。
維新以来、北海道は新たな新天地として、諸国から開拓民が続々押し寄せ森に覆われた北の大地に新たな主要都市を築く礎として多くの人々が集まって来ていた。
だが、一方でこの土地に古くから住み着いていた人々、アイヌ民族を迫害するという弊害も起きている。
自然と暮らし大地からの恵みを大切に守り共に暮らす、そんな暮らしを国策と言う大義名分の中で一般庶民から奪う行為だったのかも知らない。
古来、彼らアイヌの人々達が語り継いできた《神の住む土地》そう言った神聖な場所さえも土足で踏みにじる行為が繰り広げられていた。
ただ、そんな人々の中にも自然を慈しみ共に暮らす人々を理解しようとする人間も居ないわけでも無い。
龍崎志乃助陸軍函館支部・騎兵隊少尉もそんな一人で有ったが、軍人であるが故の制約からか言動の自由を奪われた存在でもある。
だが今はそんな鬱積した気持ちを和ますひとときを少尉は楽しんでいた。
「ユリカさん。」
「少尉さん!お帰りなさい。今日は随分と早いのですね。」
「えぇ、部隊から転属命令が出まして、一時的に休暇を貰ったものですから。」
「まぁ、転属命令ですか?」
「はい。陸軍本部に配属が決まりました。」
「陸軍本部、それでは昇進ですか?それはおめでとうございます。」
「ありがとう。でも一つだけ気がかりな事が有ります。」
「なんですか?」
「あなたの事です。ユリカさん。」
「私?確かに少尉さんが居なくなるのは寂しいですが、少尉さんのお陰でこうして暮らしていける様になりお仕事まで頂いてなんとお礼を言ったらいいか。」
「いえ。それはユリカさんの人柄ですよ。私は大した事はしていませんよ。」
「そんな事は有りませんよ。記憶を無くし知らない土地で暮らせるのも全て龍崎少尉様のお陰です。」
「そう言っていただければ私はうれしいです。」
そう言いながら二人は和やかな会話の時を過ごしていた。
ユリカは五稜郭で少尉に助けられ、その後少尉のつてで、看護婦となっていた。
元々はユリカの記憶を取り戻す為、函館市内の病院へ赴いた際に、ユリカが転んで怪我をしていた子供を治療した事から、元々知り合いでも有った院長の病院で見習いとして働く事になったのである。
ユリカが記憶を失いながらもその処置が優れていた事も一つのきっかけでも有ったが、それを知った病院の院長が記憶を失う以前、看護に従事していたのでは無いかと言う診断もあり、同じような環境に居れば記憶を取り戻せるきっかけになるだろうとの判断でもあった。
「それにしてもたった三月で病院の勤務に慣れてしまうとは、やはり以前どこかの病院で働いて居たのでは無いかと院長も言っておられましたよ。」
「それが・・・記憶が無いのに体が覚えているようで、何となく出来てしまうんですよ。とっても複雑な気分ですが、でもこうやって体を動かしているとなんだかうれしいんです。」
「ユリカさんにはそうやって体を動かしているのが有っているんでしょうね。なんだか輝いて見えます。」
「少尉さんたら!お上手ですね。いつもそうやって女性を口説くんですか?」
「そっそんな・・・・・」
「冗談ですよ!少尉さん!」
「ひどいなぁ〜」
「はははははっ!」
ユリカと少尉はまるで恋人同士のようにお互いを気遣いながらも楽しいひとときを過ごしていた。
「話は変わりますが、あれから何か思い出した事は無いんですか?」
「えぇ・・・・」
「あっ!すいません!私はただ何か思い出せば、ユリカさんの記憶を取り戻す手がかりを見つけられるかと思っただけです。気を悪くしないで下さい。」
「はい。分かって居ます。少尉さんが私のために色々と調べて下さっている事は。私も思い出そうとはしているんですが、思い出そうとすればするほど深い靄が頭の中にかかったようになるんです。」
「そうですか・・・でも!そう焦ることは無いですよ。先生も言って居られました。記憶喪失と言うのは無理に思い出そうとするより焦らずに気持ちを落ち着かせる事が一番だと。それに何かが引き金になって突然思い出すと言うことも有るらしいですから。」
「そうですよね・・・・・でも私は今そんなにめげては居ませんよ。だって!こうして少尉さんが気にかけて来て下さるんですもの。」
「あの〜一つお願いが有るんですが・・・・・・」
「なんですか?少尉さん。」
「その少尉と言うのを辞めて貰えませんか?あっ!別に嫌だって言う訳じゃ無いですが、名前で呼んで貰えないかと・・・・」
龍崎少尉は少し照れた様にユリカの目を反らした。
「あっ!ごめんなさい。昇進するんですから、もう少尉さんじゃ無いんですよね。」
「いえ・・・・そう言う事じゃ無くて・・・・・なんと言えば良いか・・・・・」
「ではなんて呼びましょう?龍崎さん?それとも志乃助さん?」
「あっ!どちらでも・・・・・・・」
少尉は顔を真っ赤にしてうつむいていたが、ユリカにはそんな照れた顔をする少尉が可愛いと思った。
「そうだ!ユリカさん!私が陸軍本部へ転属するまで、しばらく休暇を貰ったんで田舎へ帰ろうかと 思っているんです。もし良かったらユリカさんも一緒に気晴らしに行ってみませんか?」
「でもお仕事が有りますから。」
「実は院長から了解は貰っているんです。色んな環境で過ごすのも記憶の手がかりをつかむ良い方法では無いかと。」
「少尉さん!随分手回しが良いんですね。」
そう言うとユリカは少尉をからかうように微笑んだ。
「すっすいません!余計なお世話だったかも知れませんね。」
「いいえ。喜んでご一緒させて頂きます。志乃助さん。」
「えっ?今なんて?」
「はははっ、忘れました。」
「ユリカさん。」
うち解け合い笑い合う二人はいつしかお互いに何かを感じ始めている事に気が付いていた。
ユリカ編 Next03.....
Close.↑
| ■『志音(SHION)』【小説】 |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
第二章「生存〜それぞれの刻」
ユリカ編 Next01.....
ユリカ編 Next01.....
もうここは4月だと言うのに、まるで冬に戻った様な寒さと舞い散る雪の中、兵舎を巡回する警備兵は寒さを堪えながら任務を続けている。
「何で4月だって言うのに雪なんて降るんだよ。うぅ〜寒い〜早く交代の時間にならないかな。」
警備兵は一人でこの寒空の中を巡回する任務にあまりの寒さでぼやき始めた。
「そういやぁ〜あいつら今頃、街で飲んだくれているんだろうなぁ〜俺も一杯ひっかけたいよ。」
同じ兵舎務めの同僚の話を思い出し益々ぼやきが増してきていた。
そこへ馬に乗った一人の男が兵舎へと近づいてくる。
「何だよ?こんな時間に・・・」
不思議そうに暗闇の中をこちらに向かってくる馬上の男の顔を見た警備兵は慌てて男に向かって敬礼をしていた。
「龍崎少尉殿!このような夜更けにご苦労様であります!」
「そう言う君こそ、この寒空、難儀だな。」
「いえ!任務でありますから。」
「まぁこんな日くらい酒でも飲ませてやりたいがそうもいかんな。」
「お心使い心より感謝いたします。それにしても少尉殿こそこの夜更けにどうなさったので有りますか?」
「いや、明日部隊長に提出する報告書を部屋に忘れたんでな。それに季節はずれの雪の中をこうして馬で散歩もたまには良いかなと思ってな。」
「風流で有りますな。」
「風流かぁ、本当は馬鹿なことだと思っているんじゃないのか?」
「いいえ!決してそんな事は思ってはおりません!少尉は我々の憧れでも有りますから。」
「そうか。それなら良いが。では入るぞ。」
「はっ!」
警備兵の敬礼を受け少尉は兵舎の中へと入っていった。
「やっぱり格好いいよな。俺も少尉の様に騎兵隊に入ればよかったかな?」
夜の兵舎はぽつんと一つ、ガス灯が点り少尉が乗る馬の蹄の音だけが周囲に木霊していた。
兵舎と言ってもここには大部隊は駐屯していない。兵器庫が何棟か並んでおり小さな兵舎が一つ有るだけだった。
やがて報告書を取りに来ていた少尉は報告書と一冊の本を片手に門の方へ戻ってくる。
「ご用はお済みですか?少尉殿。」
「あぁ、済んだよ。では私は宿舎に帰るが明日、私は部隊長の所へ行かねばならんから留守を頼んだぞ。」
「はっ!ではお気をつけて!」
「ありがとう。君も風邪をひかんようにな。」
「ありがとうございます。」
敬礼をする警備兵を後に少尉はゆっくりと雪の中を歩き始めた。
「それにしても良く降るな。この分じゃかなり積もりそうだ。まぁ真っ白な五稜郭も風流か。」
馬の白い息が夜の雪明かりに浮かびまるで絵から飛び出してきた様な馬上の少尉だった。
静まりかえった五稜郭を進む少尉の前方に突然、柔らかい光が白い雪を照らして降りてくる。
「なんだ?あの光は?」
不思議そうに見つめていたがおもむろにその光が舞い降りた所へ馬を進める少尉の目に光に包まれ倒れている人影が見えてきた。
「誰だ?」
その人影は少尉の呼びかけに答える気配はない。
側に寄って馬を下りた少尉は、その人影へと進んでいく。するとそこには見たこともない服を着た少女が倒れている。
「おい!大丈夫か?」
駆け寄りその少女を抱きかかえる少尉は、少女が息をしているのを確認すると頬を軽く叩き声をかけるが気絶しているのか目を開ける気配が無い。
「おい!大丈夫か?どうしたんだ?」
何度か呼びかけていると気を失っていた少女はゆっくりと目を開け何かを呟いている。
「レイ・・・・兄さん・・・・」
そう呟くと少女はまたぐったりと少尉の腕の中で気を失ってしまった。
「このままにして置く訳にもいかん。ひとまず宿舎へ連れて行くか。」
少尉は少女を馬に乗せ自分が寝泊まりしている宿舎へと馬を走らせた。
宿舎へ戻ってきた少尉は人を呼んだが誰の返事もない。
「そうか。明日は久しぶりの休みだから皆、出払っているのか。」
少尉は仕方なしに少女を自分の部屋へと連れて行き自分の布団に寝かせると消してあった
ストーブに薪を入れ火を着けた。
「どうやら日本人の様だが、この様な材質の服は見たことがない・・・
それにしてもどうしてあそこに倒れていたんだ?あの光に当たって倒れたのか?」
少女の額に手を当て熱を見るが、熱は無い。
「どうやら気を失っているだけ見たいだな。それに怪我もないしその内目が覚めるかもしれない少し寝かせておくか。」
少尉は毛布を一枚引っ張り出すと、壁に寄りかかり自分も眠りについた。
やがて朝が眩しい日の光が周囲を照らし始めた。
降り続いていた雪はいつのまにか止み、明るい春の日差しが宿舎の窓からこぼれ始めてくる。
「うっ、」
窓からこぼれる朝日で少女は気が付いたらしい。
「ここは・・・?」
その声が聞こえたのか壁により掛かり眠っていた少尉が目覚め少女の元へと体を寄せた。
「おい。気分はどうだ?どこか痛むところは無いか?」
見知らぬ顔の少尉を見て少女は一瞬身をすくめたが、優しそうな顔でのぞき込む少尉に安心感を覚え言葉を続けた。
「ここは?一体私はどうしたんですか?」
「安心しろ。ここは函館歩兵分隊の寄宿舎だ。君は昨晩、五稜郭で倒れていたんだ。たまたま通りがかった私がここまで運んできた。」
「はこだて・・・・ほへいぶんたい?にほん?」
少女には理解できない地名だった。
「そうだ。ここは日本陸軍函館歩兵分隊の寄宿舎、そして俺は五稜郭兵舎に勤務している龍崎志乃助。君の名前は?どこから来た?」
「私の名前は・・・・ユリカ。どこから?・・・・思い出せない・・・・」
「良いんだ。昨晩の光のせいで一時的に記憶をなくしているんだろう。ゆっくりしていればその内思い出すよ。」
「昨晩の光?って?」
「そうか、覚えていないのか・・・
昨日の夜、10時頃だったか空から光の玉が落ちてきて、たまたま目撃した私がその場所へ行くと君が倒れていたんだ。その光が原因で気を失ったんだろう。外傷はないようだが・・どこか痛むところは有るか?」
「光・・・いいえ。どこも痛むところは有りません。ただ頭の中が霧がかかったようで何も思い出せ無いんです。」
「でも自分の名前は覚えていたようだな。」
「名前・・・ユリカ・・・そう呼ばれていた様な気がして・・・」
「そう言えば、昨日私が見つけた時に、レイとかシオンとか口走っていたが・・・・」
「レイ・・・?シオン・・・??・・何故か懐かしいような・・・・」
「無理しなくても良い。しばらく横になっていれば思い出すかも知れない。」
「でも・・・」
「そうだ!私は任務で出かけなければならないから、賄いのときさんに頼んでおくから食事でもとって少し眠った方が良い。私は夕方には戻るからそしたら又話をしよう。」
少尉はそう言って笑顔を見せると、部屋を出ていった。
一人残されたユリカと名乗った少女は、霧がかかった様な記憶の糸を辿るように考えていた。
「私は一体・・・・どうしたんだろう?」
やがて少女の意識は深い霧の中へと沈んでいった。
Next02..........。
Close.↑
「何で4月だって言うのに雪なんて降るんだよ。うぅ〜寒い〜早く交代の時間にならないかな。」
警備兵は一人でこの寒空の中を巡回する任務にあまりの寒さでぼやき始めた。
「そういやぁ〜あいつら今頃、街で飲んだくれているんだろうなぁ〜俺も一杯ひっかけたいよ。」
同じ兵舎務めの同僚の話を思い出し益々ぼやきが増してきていた。
そこへ馬に乗った一人の男が兵舎へと近づいてくる。
「何だよ?こんな時間に・・・」
不思議そうに暗闇の中をこちらに向かってくる馬上の男の顔を見た警備兵は慌てて男に向かって敬礼をしていた。
「龍崎少尉殿!このような夜更けにご苦労様であります!」
「そう言う君こそ、この寒空、難儀だな。」
「いえ!任務でありますから。」
「まぁこんな日くらい酒でも飲ませてやりたいがそうもいかんな。」
「お心使い心より感謝いたします。それにしても少尉殿こそこの夜更けにどうなさったので有りますか?」
「いや、明日部隊長に提出する報告書を部屋に忘れたんでな。それに季節はずれの雪の中をこうして馬で散歩もたまには良いかなと思ってな。」
「風流で有りますな。」
「風流かぁ、本当は馬鹿なことだと思っているんじゃないのか?」
「いいえ!決してそんな事は思ってはおりません!少尉は我々の憧れでも有りますから。」
「そうか。それなら良いが。では入るぞ。」
「はっ!」
警備兵の敬礼を受け少尉は兵舎の中へと入っていった。
「やっぱり格好いいよな。俺も少尉の様に騎兵隊に入ればよかったかな?」
夜の兵舎はぽつんと一つ、ガス灯が点り少尉が乗る馬の蹄の音だけが周囲に木霊していた。
兵舎と言ってもここには大部隊は駐屯していない。兵器庫が何棟か並んでおり小さな兵舎が一つ有るだけだった。
やがて報告書を取りに来ていた少尉は報告書と一冊の本を片手に門の方へ戻ってくる。
「ご用はお済みですか?少尉殿。」
「あぁ、済んだよ。では私は宿舎に帰るが明日、私は部隊長の所へ行かねばならんから留守を頼んだぞ。」
「はっ!ではお気をつけて!」
「ありがとう。君も風邪をひかんようにな。」
「ありがとうございます。」
敬礼をする警備兵を後に少尉はゆっくりと雪の中を歩き始めた。
「それにしても良く降るな。この分じゃかなり積もりそうだ。まぁ真っ白な五稜郭も風流か。」
馬の白い息が夜の雪明かりに浮かびまるで絵から飛び出してきた様な馬上の少尉だった。
静まりかえった五稜郭を進む少尉の前方に突然、柔らかい光が白い雪を照らして降りてくる。
「なんだ?あの光は?」
不思議そうに見つめていたがおもむろにその光が舞い降りた所へ馬を進める少尉の目に光に包まれ倒れている人影が見えてきた。
「誰だ?」
その人影は少尉の呼びかけに答える気配はない。
側に寄って馬を下りた少尉は、その人影へと進んでいく。するとそこには見たこともない服を着た少女が倒れている。
「おい!大丈夫か?」
駆け寄りその少女を抱きかかえる少尉は、少女が息をしているのを確認すると頬を軽く叩き声をかけるが気絶しているのか目を開ける気配が無い。
「おい!大丈夫か?どうしたんだ?」
何度か呼びかけていると気を失っていた少女はゆっくりと目を開け何かを呟いている。
「レイ・・・・兄さん・・・・」
そう呟くと少女はまたぐったりと少尉の腕の中で気を失ってしまった。
「このままにして置く訳にもいかん。ひとまず宿舎へ連れて行くか。」
少尉は少女を馬に乗せ自分が寝泊まりしている宿舎へと馬を走らせた。
宿舎へ戻ってきた少尉は人を呼んだが誰の返事もない。
「そうか。明日は久しぶりの休みだから皆、出払っているのか。」
少尉は仕方なしに少女を自分の部屋へと連れて行き自分の布団に寝かせると消してあった
ストーブに薪を入れ火を着けた。
「どうやら日本人の様だが、この様な材質の服は見たことがない・・・
それにしてもどうしてあそこに倒れていたんだ?あの光に当たって倒れたのか?」
少女の額に手を当て熱を見るが、熱は無い。
「どうやら気を失っているだけ見たいだな。それに怪我もないしその内目が覚めるかもしれない少し寝かせておくか。」
少尉は毛布を一枚引っ張り出すと、壁に寄りかかり自分も眠りについた。
やがて朝が眩しい日の光が周囲を照らし始めた。
降り続いていた雪はいつのまにか止み、明るい春の日差しが宿舎の窓からこぼれ始めてくる。
「うっ、」
窓からこぼれる朝日で少女は気が付いたらしい。
「ここは・・・?」
その声が聞こえたのか壁により掛かり眠っていた少尉が目覚め少女の元へと体を寄せた。
「おい。気分はどうだ?どこか痛むところは無いか?」
見知らぬ顔の少尉を見て少女は一瞬身をすくめたが、優しそうな顔でのぞき込む少尉に安心感を覚え言葉を続けた。
「ここは?一体私はどうしたんですか?」
「安心しろ。ここは函館歩兵分隊の寄宿舎だ。君は昨晩、五稜郭で倒れていたんだ。たまたま通りがかった私がここまで運んできた。」
「はこだて・・・・ほへいぶんたい?にほん?」
少女には理解できない地名だった。
「そうだ。ここは日本陸軍函館歩兵分隊の寄宿舎、そして俺は五稜郭兵舎に勤務している龍崎志乃助。君の名前は?どこから来た?」
「私の名前は・・・・ユリカ。どこから?・・・・思い出せない・・・・」
「良いんだ。昨晩の光のせいで一時的に記憶をなくしているんだろう。ゆっくりしていればその内思い出すよ。」
「昨晩の光?って?」
「そうか、覚えていないのか・・・
昨日の夜、10時頃だったか空から光の玉が落ちてきて、たまたま目撃した私がその場所へ行くと君が倒れていたんだ。その光が原因で気を失ったんだろう。外傷はないようだが・・どこか痛むところは有るか?」
「光・・・いいえ。どこも痛むところは有りません。ただ頭の中が霧がかかったようで何も思い出せ無いんです。」
「でも自分の名前は覚えていたようだな。」
「名前・・・ユリカ・・・そう呼ばれていた様な気がして・・・」
「そう言えば、昨日私が見つけた時に、レイとかシオンとか口走っていたが・・・・」
「レイ・・・?シオン・・・??・・何故か懐かしいような・・・・」
「無理しなくても良い。しばらく横になっていれば思い出すかも知れない。」
「でも・・・」
「そうだ!私は任務で出かけなければならないから、賄いのときさんに頼んでおくから食事でもとって少し眠った方が良い。私は夕方には戻るからそしたら又話をしよう。」
少尉はそう言って笑顔を見せると、部屋を出ていった。
一人残されたユリカと名乗った少女は、霧がかかった様な記憶の糸を辿るように考えていた。
「私は一体・・・・どうしたんだろう?」
やがて少女の意識は深い霧の中へと沈んでいった。
Next02..........。
Close.↑
| ■『志音(SHION)』【小説】 |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
第二章 「生存〜それぞれの刻〜」
シオン編 Next 04....
シオン編 Next 04....
盗賊達はゆっくりと村の中へ入っていく。
「それにしても本当に寂れた村だな。こんなんじゃお宝どころか食いもんだってろくに無いんじゃないの。あぁ〜嫌だ嫌だ、人間落ちぶれたく無いもんだね〜。」
「頭、これからどうするんです?」
「ギッツ!村人を集めろ!言うこと聞かないようなら構わなねぇ〜から叩きのめせ!」
「分かったぜ!お頭、任せてくれ!」
「おーーーーい!おめえら!よーく聞け!ここにいるギル様がおめぇらに話がある!すぐに一人残らずここに出てきな!すぐに出て来ない場合は俺様が見つけだして叩き切る!わかったか!?」
大きな声で叫ぶギッツに従うかのように6人の怪しげな連中を見つけ、恐る恐る村人達が集まってくる。
「オー!結構居るじゃねぇか!どこに隠れていやがったんだ!」
その時、村の長が彼らの前に歩み寄ってきた。
「旅のお方達、わしらになんの用か分からんがご覧の通りこの村は年寄りばかり、物騒な真似をせんでも食料と水位なら出来る限り用意させる、だから村人に危害を加えんで貰いたい。」
「ほ〜う〜物分かりの良い爺さんだ!だがなハイそうですかと素直に聞くような俺達じゃ無いんだ。悪いがな。」
「ではどうしろと?」
「だから言ってるじゃねぇか、全員ここに集まれってな!話はそれからだ!ジジイィ!」
村の長はとりあえず村人達に集まるようにそれぞれ指示を与え、やがて百人ほどの村人全員が怯えた表情で出てきた。
「おばちゃん、どうしたの?何でみんな集まってるの?」
ざわついた村の騒ぎにリンは不思議そうにキナに問いかける。
「リンちゃん、あんたはどこか連中に見つからないように隠れておいで。」
「うん、良いけど・・・」
「良いかい、私が呼ぶまで絶対に出てきたら駄目だよ。分かったね。」
キナはそう言うとリンを家の中に隠し扉を閉じた。
「これで村の人間は全部じゃ、わしが代表で話を聞こう。」
「ほう〜、本当にジジイィとババアァばかりだな。まさか若い娘とか隠して俺達が居なくなるのを期待してる訳じゃねえよな?もしそんな事を考えているんなら辞めておいた方が良いぜ。」
「そっそんな事は無い。これで村人全部じゃ。」
「本当か〜?まぁ良いや。どうせ後で分かることだからな。それじゃ本題に入ろうか。見ての通り俺達は砂漠を越えて来たんで腹も空いてるし体も洗いたいそれに疲れているんでな、休めるところがほしい・・・あっと!酒もだ。」
「そのくらいならすぐにでも用意させよう。おい!・・・・」
「おっと!重要な事忘れてたぜ!この村にある金目の物全部ここに集めな!」
「金目の物と言われても・・・・・」
「良いから素直に出せば良いんだよ!」
ギルは困った顔をしている村の長を足蹴にし剣を取り出し村長の喉元にあてた。
「早くしないと一人ずつ殺していくぞ。あんな風にな・・・」
その言葉を合図に、ギッツは無造作に鎖鎌を抜いて村人めがけ投げつけた!
《シュッ!》
「ぎゃぁー!」
無造作に投げつけた鎌に斬りつけられた村人の一人が悲鳴と共に倒れ込んだ。
「何を!何をするんだ!」
「だから言われた通りにしろよ。じゃないと・・・・」
「わっ!分かった!何でも言うことを聞く!だからこれ以上村の衆に手を出さんでくれ!」
「始めっからそう言う素直な態度で居れば殺されなかったものを、あんたのせいだぜ!」
悔しさに身を震わせている村の長をギッツは不適な笑いを浮かべ見下ろしていた。
長の指示で村人達は村にある限りの食料と酒、それに金目の物を集め始める。
「これであんた等がほしい物は全部集めた。泊まる所も提供しよう。だから・・・・」
「だからなんだ?すぐに出ていってくれ?てか。ハハハハハァこれは笑える。」
「こっこれ以上何が望みなんじゃ?儂等にはもう差し出す物なんて・・・・」
長のその言葉を待っていたかの様に、ギッツはぎらついた目を輝かせる。
「あるじゃねえか。俺達は何にもない砂漠を渡って来て少々退屈してるんだ。だからよ!遊ばせてくれねぇか?」
「あっ遊ぶと言ってもこの村には・・・・・」
ギッツの目を見て村長は理解した。
『儂等の・・・・』
「そうだよ!わかりが早いじゃねぇか!はははは!」
「くっ狂ってる・・・・」
ギッツは恐怖で震えている長をあざ笑うかの様に見つめていたが、おもむろに村人に向かって叫び始めた。
「いいか!これから20数える!おめぇらはその間好きに逃げな!それとだ!俺達は6人しか居ない!俺達6人を全員倒したらおめぇらの勝ちだ!分かったか!さぁー!逃げな!!」
何がどうなっているのか状況が掴めない村人達はその場に呆然と立ちすくんでいた。
「皆の衆!逃げるんじゃ!こヤツらは儂等を皆殺しする気じゃ!早く逃げろ!」
突然の長の叫びに、何が始まったのか理解した村人達は一斉にその場を走り出した!
「逃げろ!逃げろ!ハハハハハッ!」
「お前ら!準備は良いか!?」
「へへへへへッ!これは面白いや!久しぶりに狩りができるぜ!」
「俺は酒でも飲んでるから、お前ら楽しんできな!」
「あたいはご免だよ。それより水浴びでもして綺麗にしてくるよ。」
「あぁ、好きにしな。」
「ギッツ!どっちが多く狩るか賭けようぜ!」
「おぉ!良いぜ!」
まるで人殺しを楽しむかの様に六人は各々の目標を定め奇声を上げながら走り出した!
その奇声を合図に村は一瞬で地獄絵図の様な修羅場と化して行く。
一人、又一人と抵抗する事も出来ず、鈍い骨が砕ける音、悲鳴ととも飛び散る血しぶき・・・血走った眼孔を輝かせ、まるで小動物をいたぶって楽しむかのように剣を振り回す野盗・・・・刃物を持ち出し、必死に抵抗しようと試みるが村人達には無駄なあがきでしか無かった・・・村中から聞こえる悲痛な叫びに、隠れていたリンは恐怖を覚えそっと窓の外を覗き見た・・・
その時!
「なんだ〜?!ガキがこんな所に隠れていたじゃねぇか〜」
「・・・・・・?!」
突然扉を蹴破り現れたベアハッグにリンは恐怖で悲鳴さえ上げることが出来ずただ震えている。
『シオン・・・・爺ちゃん・・・・助けて・・・・』
シオン達を乗せたポロルは出しうる限りの力で荷台を引っ張り走り続けていた。
「もう少しだ!がんばれ!そうだ!後少し!!」
村の入り口までやっと辿り着いたポロルは力尽きたのか、その場に倒れ込んだ!
「爺さん!俺は先に行く!」
そう言うとシオンは取る物も取らず、荷台を飛び出した。
丸腰で飛び出したシオンを制止ガオウがガゼルの武器を手渡す。
「これを使え!丸腰じゃ戦えんだろ。それにお前一人じゃ死にに行くような物だ!俺がヤツらを倒す!」
「すまない・・・」
シオンとガオウは、村へと入って行くとそこには静けさを取り戻し物音一つ聞こえない・・・
「なに?!」
「これはひどい・・・」
二人がそこで見た物は、無惨にも殺され、道に折り重なるように倒れている村人達だった。
「何故だ?!何故こんな事が出来る・・・・・・」
「ヤツらには他人の命なんて関係ないのさ。」
「だからって!無抵抗な村人を・・・・・」
その光景を見たシオンは我を忘れて叫び狂っていた。
「出て来い!!人殺し共!!」
シオンの叫びが聞こえたのか、長の家からギッツとザハーンがゆっくりと出てきた。
「なんだ〜てめぇ〜!?」
「お前が盗賊か!?お前達が村のみんなを殺したのか!?答えろ!!」
「うるせぇなぁ〜ぎゃぁぎゃぁと、だったらどうするって言うんだよ。」
「俺がみんなの仇を討つ!!」
「なに言ってんだ!お前〜?お前一人で俺達を倒すって言うのか?あまりのショックで気でも狂ったか?ギャハハハハ〜これは面白い。笑えるよ!てめぇ。なぁ〜ザハーン!」
「あぁ、面白すぎて反吐がでりゃ〜!!」
「そう言えるかな?ギッツ!ザハーン!」
シオンの後からガオウが剣を握って現れた。
「オッ!おめぇは・・・ガオウ!!なっ!何でここに・・・・」
ガオウを見たギッツとザハーンの顔色が一瞬で変わった。
「かしらー!!大変だー!ガオウが・・・ガオウの野郎が・・・」
「何騒いでいやがるんだ。せっかくの酒が不味くなるじゃねぇか・・・」
酒瓶を片手に現れたギルは、ガオウの姿を見つけると、ニタァ〜と不適な笑いを浮かべた。
「これはこれはガオウ、こんな所まで俺達を追いかけてきたのか?しつこいね〜そんなんじゃ女にもてないぜ。」
「戯言はそれだけか、ギル!!」
「おー怖!そんな怖い顔するなよな。長いつき合いじゃねぇか。」
「あぁ、腐れ縁もここまでの様だな。ギル。」
「さぁ〜それはどうかな?おい!ベアハッグ!そのガキ連れてきな!」
「あぁ」
そう言ってベアハッグは、家の中から小さな子供を連れて出てきた。
「リン!」
「シオン!!!」
「なんだ〜お前達知り合いか。このガキが言っていたシオンって言うのはお前の事か。」
「リンを放せ!」
「お前馬鹿か?ハイそうですかって、人質放す奴がどこの世界に居るんだよ。」
「卑怯だぞ!ギル!」
「良いんだぜ〜。このガキと一緒に俺をぶった斬ってもよ。」
「ギル、貴様・・・・・」
「やっぱりなぁ〜剣闘士一の戦士と言ってもガキが居たんじゃ手も足も出せないってか。」
「なんてやつだ・・・・・」
「儂が変わりに人質になる、だからその子を放してくれ。」
後を追ってきたウナル爺さんが怒りに我を忘れているシオンを制止ギルの前に出てきた。
「ジジイィは引っ込んでろ!人質って奴はな無抵抗でかわいげのあるガキだから価値があるんだよてめぇみたいな老いぼれは利用価値なんざねぇーのさ!」
「爺ちゃん!みんなが・・・」
「リン・・・・・」
「そうだ!爺さんにチャンスをやろう。爺さんとそうだなぁ・・・ギッツ!一対一で戦え。もし爺さんが勝ったらこのガキを返してやるよ。」
「ギル!貴様!」
「おや〜せっかく俺が正々堂々とガキを取り戻せるチャンスをやろうと言うのに〜俺の優しい心が分かって貰えないのかなぁ〜残念だなぁ〜」
「分かった。儂が戦おう。リンは儂の大事な孫娘じゃ、命に代えても・・・」
「無理だ!爺さん!爺さんがかなう相手じゃない。」
「俺にやらせてくれ!俺が爺さんの代わりに戦う!」
「シオンとか言ったな。俺は爺さんとギッツの戦いが見たいんだよ。引っ込んでな!」
「しかし・・・・」
「良いんじゃ、どうせこのままじゃ儂等にはどうする事も出来ん!一歩の望みが有るのなら儂は戦う。」
ウナルは持ってきた剣を引き抜き構えて見せた。
「ほう〜爺さん!中々どうして!堂に入ってるじゃねぇか。がんばれよ!ギッツ!」
「へへへへっ!多少でも歯ごたえが無いと面白くないもんな。」
ウナルとギッツはお互いの間を計るように距離を取り始めた。
『あの鎖鎌では一瞬が勝負じゃ。どうあがいても体力ではかなわん・・・・』
「どうやら爺さん、かなりの腕の様だな・・・・」
「分かるのか?ガオウ。」
「あぁ、構えを見ればそれなりの力量は分かる。だがギッツの鎖鎌の攻撃を除けられても爺さんの体力で倒せるかどうか・・・・・」
「爺さん・・・・・」
ギッツの鎖鎌の鉄球は今ウナルを狙い円を描いて回りだした。
「へへへっ、俺の鉄球をそんな細い剣で払いのけられるのか?来いよ!かかって来いよ!」
「・・・・・・・」
「どうやら怖くて動けないようだな。ジジイィ!じゃ!こっちから行くぜ!」
《ヒュン!》
ギッツの鉄球がまるで生き物のようにウナルをめがけ飛んでいく!
《キーン!》
ウナルは微動だにせず鉄球をはじき返した。
「ほう〜やるじゃねぇーか。」
《ヒュン!ヒュン!》
まるで伸び縮みでもするかのようにギッツの鉄球はウナルをめがけ二度三度と飛んでいく!
「駄目だ!このままじゃ爺さんの体力が持たない・・・・」
ガオウがそう思った瞬間!ウナルはその場にしゃがみ込み一気にギッツの足下をめがけ飛び込んでいった!
「なに?!」
ウナルが放つ切っ先がギッツの足を捉えたかと思ったその時、ギッツの体は宙を飛んでいた。
「へへへ!甘いんだよ!ジジイィ!死ねー!」
渾身の力で切り込んでいたウナルの背中をめがけ、ギッツの鎌が振り下ろされる!
《グサッ!》
「うっ・・・!」
背中に鋭い痛みを感じウナルはその場に倒れた。
「爺さん!!」
「おじいちゃん!」
「なんだ〜もっと強えぇ〜のかと思ったら以外と弱いでやんの!」
あまりにも拍子抜けしたのか、ギッツは止めを刺さずその場を去ろうとしていたその一瞬!
《グサッ!》
ウナルが背を向けたギッツの足に剣を突き刺していた。
「てめ〜!」
ギッツはウナルの剣を引き抜き放り投げると、ウナルの腹をめがけ鎌を突き刺した!
背中と腹に深い傷を負ったウナルは血へどを吐きその場に崩れた。
「爺さん!!」
駆け寄るシオンはウナルの体を抱き寄せ何とか血を止めようとするが深い傷からは止めどなく赤い血が流れていく・・・・
「爺さん!しっかりしてくれ!今薬で・・・・」
「良いんじゃ、シオン・・・もう・・・・」
「駄目だ!死ぬな!死んじゃ駄目だ!」
「シオン・・・すまぬがリンの事・・・」
「あぁ!俺が絶対に助ける!だからまた三人で暮らそう・・・」
「そうじゃな・・・・また三人で・・・・」
ウナルはそう言い残し力尽きて動かなくなってしまった。
「爺さん・・・・・・」
「爺ちゃん!死んじゃやだよー!じいぃちゃ〜ん!!!」
「あらら〜残念だったな〜面白い勝負だと思ったのに。」
「貴様〜!許さない・・・・」
「おいおい!これは勝負だぜ。負けたのは爺さんが弱いからじゃねぇか。俺を恨むのは筋違いってもんだろ。」
「痛てて〜どうすんだよ!又傷が増えちゃったじゃねぇか!」
「またシュメルに縫って貰えよ。」
「やだよ〜!お頭〜。またねえさんに革ひもで縫われたくねぇよ!」
「なんだって?!」
「ありゃ!ねぇさん聞いていたのか。」
洗ったばかりの髪を拭いながらシュメルが出てきた。
「せっかく水浴びしてゆったり気分で居たのに何の騒ぎだい?あら〜ガオウが居るじゃないのこんな所まで追いかけて来るとは物好きだね。」
「おめぇ〜今まで水浴びをしていたのか?」
「良いじゃないのさ!女はね、清潔が一番なんだよ!それにしてもガオウが居るのに何であんた達生きてんの?」
「そりゃ〜ねーよ!ねぇさん!」
「なんでもな〜このガキが居るとガオウは俺達に手も出せないらしいぜ。」
「へぇ〜ガイラース1の剣闘士とも有ろうものが、小娘一人で何も出来ないんだ〜こりゃ傑作!」
シュメルのその言葉に盗賊達は笑いが止まらないと言いたげにガオウを挑発していた。
『このままじゃどうする事も出来ない・・・どうする?』
『あの子さえ何とかヤツらから放せれば、俺が飛び込んで一撃を加えられる。』
『そうだ!俺に考えがある。俺の合図でいつでも飛び込めるようにしてくれ。』
「なにコソコソ二人で話しているんだ?このガキを見捨てて俺を斬る気になったか?」
「・・・・・・」
ガオウは剣に手をかけ身構えるだけで、ギルの挑発に乗ろうとはしなかった。
『トレーサー!ポッドの測定用レーザーを出力最大にして指定の座標にセット!』
《了解。測定用レーザーを最大出力で前方の座標に照射準備。・・・・完了。いつでも発射出来ます。》
『照射!!』
その合図と共にポッドからリンを捕まえているベアハッグめがけレーザーが発射された!
〈ピカッ!〉
「うっ!」
ベアハッグは突然右腕に痛みを感じ思わず、リンを捕まえていた手を放した!
「いまだ!」
そのシオンの合図を待っていたかの様に、ガオウがベアハッグめがけ飛び込んでいった!
《ズバッ!》
一瞬の攻撃でガオウはベアハッグの腕を切り飛ばし、返す剣でギッツの胴体を真っ二つにしていた。
「いまだ!リン!走れ!!」
「シオン!!」
あまりにも素早いガオウの動きでギル達は何が起こったのか分からなかった。
「ギル!」
「てめぇ!」
《カキーン!》
ギルはすんでの所でガオウが放つ剣を受け止めた。
リンは無我夢中でシオンが待つその場所を目指し必死に走っている。
「シュメル!そのガキを逃がすな!!」
「あぁ!分かってるよ!このガキ!!」
必死に走るリンをめがけシュメルは鋭い鞭を放つ。
《シュッ!》
「うっ!」
リンは『もう少し頑張れば優しいシオンの元に・・・』そう思った瞬間、彼女の体を鋭い痛みが走りその場に崩れた。
「リン!!」
「しまった!鞭の棘が・・・・」
あまりにも小さなリンの体はシュメルが放った鞭の先に付いている金属の棘に胸を刺され深い傷を負ってしまったのである。
「リーーーーーン!!」
駆け寄るシオンはリンの体を抱き寄せ胸の傷を必死に押さえ血の流れを止めようとしたが押さえても押さえても止めどなく流れる血をどうする事も出来なかった・・・・
「リン・・・・」
「シオン・・・良かった・・・約束通り帰ってきてくれたんだね・・・」
「あぁ、俺はずっとリンの側に居るよ。もう絶対に離れたりしない・・」
「約束だよ・・・シオン・・」
「あぁ、約束だ。」
「あれ?シオン!?どこに行っちゃったの?・・・」
「リン・・・ここに居るよ。」
「シオン・・・なんだか眠くなっちゃった・・・」
「リン!駄目だ!眠っちゃ・・・しっかりしてくれよ。リンが元気になってくれないと俺はひとりで寂しいよ。」
「そうだね・・・・シオンは私が居ないと・・・・なんにも・・・・・・・・・・・」
「リン!目を開けろ!リン!リン!おい!リン・・・・・」
にじむ涙を必死にこらえ、シオンはリンに呼びかけるが、もうすでにリンは動こうとはしなかった・・
段々と冷たくなっていくリンの体・・・・
「何でだよ!何でリンが死ななきゃならないんだ!!リンが何をしたって言うんだ!!
この村の人たちだって誰にでも優しく一生懸命生きていたじゃないか・・・なのに・・・なんで・・」
シオンはリンの体をウナルの元へ運び寝かせると、側に転がっていたウナルの剣を握りしめ立ち上がった。
「貴様らー!!絶対に許さない!たとえこの命に代えても貴様らを殺す!!」
シオンは剣を構えると、一気にシュメルをめがけ切り込んだ!
「あんたみたいな青二才にわたしが殺られるかぁ!」
シュメルは鞭を振り上げシオンめがけ放った!
だがシオンはその鞭の攻撃さえ除けようともせず、まっしぐらにシュメルめがけ剣を突き刺した!
《ザクッ!》
肉を突き刺す鈍い音をさせシュメルが倒れた・・・・
「姉御!!貴様〜!」
シュメルが倒れたのを見ていたドムルが巨大な鉄球をシオンめがけ投げつけた。
「危ない!シオン!」
その時!ワームの毒にやられ荷台で寝ていたはずのガゼルがドムルの鉄球を払いのけた。
「貴様の相手は俺だ!!」
「ガゼルかぁ!相手に不足なねぇー!」
「おっと!お前の相手は俺さまがしてやるよ!!」
そう言ってザハーンが鋭い爪をかざしてシオンめがけ斬りかかってくる。
《シュパッ!》
「うっ!」
鋭い爪がシオンの胸元をかすめた。
倒れかかったシオンだったが、怒りで痛みなど感じる事はなかった。
鋭い爪をきらめかせ次の攻撃を仕掛けようとするザハーンを気にも止めようとせず一気にザハーンの喉元をめがけ突進する。
ザハーンも切り込んでくるシオンめがけ鋭い爪を突き刺す!
二人の体はぶつかり合いその場で止まった。
シオンの胸を刺すザハーンの爪・・・
だがシオンの放った一撃はザハーンの喉を突き刺していた。
「なっ・・・なんで・・・・」
そう言い残しザハーンの体は崩れていく。
ザハーンとの一瞬の勝負が終わった時、ガオウそしてガゼルの戦いも終わりを告げていた。
「どうやらこれで俺達の旅も終わりだな。」
「あぁ、長い間済まなかったなガオウ。」
「いや、俺にとってもこいつらは仇同然だ。」
ガオウとガゼルはその場に立ちつくすシオンに目を向けた。
「シオン・・・・・」
だが二人には、最愛の友人達を失ったシオンにかける言葉が見つからなかった・・・
「リン・・・・爺さん・・・・」
リンとウナルが横たわる側へ歩み寄るシオンはそうつぶやくと、止めどなく流れる涙を拭おうともせずいつまでもその場を離れようとはしなかった・・・・・
そんなシオンを見守るガオウとガゼル・・・
「ガオウ、一つ聞いても良いか?」
おもむろにシオンが口を開いた。
「なんだ?シオン。」
「このガイラースは、こんな戦いばかりの世界なのか?」
「あぁ、残念だが、ガイラースでは戦いは大昔から終むことはない・・・」
「何故人は戦い続ける・・・」
「導く者が居ないからだろうな。」
「導くもの・・・・・・・」
「あぁ、このガイラースを治め、人々を導く存在・・・・それが現れたら戦う事も無くなるかもしれないが・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「ガオウ、ガゼル、俺に力を貸してくれないか?」
一瞬、シオンの問いに顔を見合わせる二人だったが・・・
「あぁ、お前に助けられたこの命、俺で良ければお前に全てを与えよう。」
「俺も良いぜ。どうせ俺には行く当ては無いからな。でも何をするつもりだ?」
「戦いを終わらせる・・・・・」
「戦いを・・・・?」
「あぁ、罪もない人がこんな風に死んでいくのを俺は黙っていられない・・・」
「・・・・・・・」
「シオン・・・・」
「あぁ、お前なら出来るかもな。」
そう言って三人はガイラースの空を見つめ熱い思いがこみ上げてくるのを感じていた。
その後、三人は村人達の遺体を丁重に葬り、自ら選んだ運命に向かって旅立っていった。
彼らの行き先は誰にも分からない・・・・・・
ただウタリの村から吹く風は、ガイラースに新しい風を感じさせていた。
第二章「生存〜それぞれの刻・シオン編」
fin.
第二章「生存〜それぞれの刻・ユリカ編」へ続く........。
Close.↑
「それにしても本当に寂れた村だな。こんなんじゃお宝どころか食いもんだってろくに無いんじゃないの。あぁ〜嫌だ嫌だ、人間落ちぶれたく無いもんだね〜。」
「頭、これからどうするんです?」
「ギッツ!村人を集めろ!言うこと聞かないようなら構わなねぇ〜から叩きのめせ!」
「分かったぜ!お頭、任せてくれ!」
「おーーーーい!おめえら!よーく聞け!ここにいるギル様がおめぇらに話がある!すぐに一人残らずここに出てきな!すぐに出て来ない場合は俺様が見つけだして叩き切る!わかったか!?」
大きな声で叫ぶギッツに従うかのように6人の怪しげな連中を見つけ、恐る恐る村人達が集まってくる。
「オー!結構居るじゃねぇか!どこに隠れていやがったんだ!」
その時、村の長が彼らの前に歩み寄ってきた。
「旅のお方達、わしらになんの用か分からんがご覧の通りこの村は年寄りばかり、物騒な真似をせんでも食料と水位なら出来る限り用意させる、だから村人に危害を加えんで貰いたい。」
「ほ〜う〜物分かりの良い爺さんだ!だがなハイそうですかと素直に聞くような俺達じゃ無いんだ。悪いがな。」
「ではどうしろと?」
「だから言ってるじゃねぇか、全員ここに集まれってな!話はそれからだ!ジジイィ!」
村の長はとりあえず村人達に集まるようにそれぞれ指示を与え、やがて百人ほどの村人全員が怯えた表情で出てきた。
「おばちゃん、どうしたの?何でみんな集まってるの?」
ざわついた村の騒ぎにリンは不思議そうにキナに問いかける。
「リンちゃん、あんたはどこか連中に見つからないように隠れておいで。」
「うん、良いけど・・・」
「良いかい、私が呼ぶまで絶対に出てきたら駄目だよ。分かったね。」
キナはそう言うとリンを家の中に隠し扉を閉じた。
「これで村の人間は全部じゃ、わしが代表で話を聞こう。」
「ほう〜、本当にジジイィとババアァばかりだな。まさか若い娘とか隠して俺達が居なくなるのを期待してる訳じゃねえよな?もしそんな事を考えているんなら辞めておいた方が良いぜ。」
「そっそんな事は無い。これで村人全部じゃ。」
「本当か〜?まぁ良いや。どうせ後で分かることだからな。それじゃ本題に入ろうか。見ての通り俺達は砂漠を越えて来たんで腹も空いてるし体も洗いたいそれに疲れているんでな、休めるところがほしい・・・あっと!酒もだ。」
「そのくらいならすぐにでも用意させよう。おい!・・・・」
「おっと!重要な事忘れてたぜ!この村にある金目の物全部ここに集めな!」
「金目の物と言われても・・・・・」
「良いから素直に出せば良いんだよ!」
ギルは困った顔をしている村の長を足蹴にし剣を取り出し村長の喉元にあてた。
「早くしないと一人ずつ殺していくぞ。あんな風にな・・・」
その言葉を合図に、ギッツは無造作に鎖鎌を抜いて村人めがけ投げつけた!
《シュッ!》
「ぎゃぁー!」
無造作に投げつけた鎌に斬りつけられた村人の一人が悲鳴と共に倒れ込んだ。
「何を!何をするんだ!」
「だから言われた通りにしろよ。じゃないと・・・・」
「わっ!分かった!何でも言うことを聞く!だからこれ以上村の衆に手を出さんでくれ!」
「始めっからそう言う素直な態度で居れば殺されなかったものを、あんたのせいだぜ!」
悔しさに身を震わせている村の長をギッツは不適な笑いを浮かべ見下ろしていた。
長の指示で村人達は村にある限りの食料と酒、それに金目の物を集め始める。
「これであんた等がほしい物は全部集めた。泊まる所も提供しよう。だから・・・・」
「だからなんだ?すぐに出ていってくれ?てか。ハハハハハァこれは笑える。」
「こっこれ以上何が望みなんじゃ?儂等にはもう差し出す物なんて・・・・」
長のその言葉を待っていたかの様に、ギッツはぎらついた目を輝かせる。
「あるじゃねえか。俺達は何にもない砂漠を渡って来て少々退屈してるんだ。だからよ!遊ばせてくれねぇか?」
「あっ遊ぶと言ってもこの村には・・・・・」
ギッツの目を見て村長は理解した。
『儂等の・・・・』
「そうだよ!わかりが早いじゃねぇか!はははは!」
「くっ狂ってる・・・・」
ギッツは恐怖で震えている長をあざ笑うかの様に見つめていたが、おもむろに村人に向かって叫び始めた。
「いいか!これから20数える!おめぇらはその間好きに逃げな!それとだ!俺達は6人しか居ない!俺達6人を全員倒したらおめぇらの勝ちだ!分かったか!さぁー!逃げな!!」
何がどうなっているのか状況が掴めない村人達はその場に呆然と立ちすくんでいた。
「皆の衆!逃げるんじゃ!こヤツらは儂等を皆殺しする気じゃ!早く逃げろ!」
突然の長の叫びに、何が始まったのか理解した村人達は一斉にその場を走り出した!
「逃げろ!逃げろ!ハハハハハッ!」
「お前ら!準備は良いか!?」
「へへへへへッ!これは面白いや!久しぶりに狩りができるぜ!」
「俺は酒でも飲んでるから、お前ら楽しんできな!」
「あたいはご免だよ。それより水浴びでもして綺麗にしてくるよ。」
「あぁ、好きにしな。」
「ギッツ!どっちが多く狩るか賭けようぜ!」
「おぉ!良いぜ!」
まるで人殺しを楽しむかの様に六人は各々の目標を定め奇声を上げながら走り出した!
その奇声を合図に村は一瞬で地獄絵図の様な修羅場と化して行く。
一人、又一人と抵抗する事も出来ず、鈍い骨が砕ける音、悲鳴ととも飛び散る血しぶき・・・血走った眼孔を輝かせ、まるで小動物をいたぶって楽しむかのように剣を振り回す野盗・・・・刃物を持ち出し、必死に抵抗しようと試みるが村人達には無駄なあがきでしか無かった・・・村中から聞こえる悲痛な叫びに、隠れていたリンは恐怖を覚えそっと窓の外を覗き見た・・・
その時!
「なんだ〜?!ガキがこんな所に隠れていたじゃねぇか〜」
「・・・・・・?!」
突然扉を蹴破り現れたベアハッグにリンは恐怖で悲鳴さえ上げることが出来ずただ震えている。
『シオン・・・・爺ちゃん・・・・助けて・・・・』
シオン達を乗せたポロルは出しうる限りの力で荷台を引っ張り走り続けていた。
「もう少しだ!がんばれ!そうだ!後少し!!」
村の入り口までやっと辿り着いたポロルは力尽きたのか、その場に倒れ込んだ!
「爺さん!俺は先に行く!」
そう言うとシオンは取る物も取らず、荷台を飛び出した。
丸腰で飛び出したシオンを制止ガオウがガゼルの武器を手渡す。
「これを使え!丸腰じゃ戦えんだろ。それにお前一人じゃ死にに行くような物だ!俺がヤツらを倒す!」
「すまない・・・」
シオンとガオウは、村へと入って行くとそこには静けさを取り戻し物音一つ聞こえない・・・
「なに?!」
「これはひどい・・・」
二人がそこで見た物は、無惨にも殺され、道に折り重なるように倒れている村人達だった。
「何故だ?!何故こんな事が出来る・・・・・・」
「ヤツらには他人の命なんて関係ないのさ。」
「だからって!無抵抗な村人を・・・・・」
その光景を見たシオンは我を忘れて叫び狂っていた。
「出て来い!!人殺し共!!」
シオンの叫びが聞こえたのか、長の家からギッツとザハーンがゆっくりと出てきた。
「なんだ〜てめぇ〜!?」
「お前が盗賊か!?お前達が村のみんなを殺したのか!?答えろ!!」
「うるせぇなぁ〜ぎゃぁぎゃぁと、だったらどうするって言うんだよ。」
「俺がみんなの仇を討つ!!」
「なに言ってんだ!お前〜?お前一人で俺達を倒すって言うのか?あまりのショックで気でも狂ったか?ギャハハハハ〜これは面白い。笑えるよ!てめぇ。なぁ〜ザハーン!」
「あぁ、面白すぎて反吐がでりゃ〜!!」
「そう言えるかな?ギッツ!ザハーン!」
シオンの後からガオウが剣を握って現れた。
「オッ!おめぇは・・・ガオウ!!なっ!何でここに・・・・」
ガオウを見たギッツとザハーンの顔色が一瞬で変わった。
「かしらー!!大変だー!ガオウが・・・ガオウの野郎が・・・」
「何騒いでいやがるんだ。せっかくの酒が不味くなるじゃねぇか・・・」
酒瓶を片手に現れたギルは、ガオウの姿を見つけると、ニタァ〜と不適な笑いを浮かべた。
「これはこれはガオウ、こんな所まで俺達を追いかけてきたのか?しつこいね〜そんなんじゃ女にもてないぜ。」
「戯言はそれだけか、ギル!!」
「おー怖!そんな怖い顔するなよな。長いつき合いじゃねぇか。」
「あぁ、腐れ縁もここまでの様だな。ギル。」
「さぁ〜それはどうかな?おい!ベアハッグ!そのガキ連れてきな!」
「あぁ」
そう言ってベアハッグは、家の中から小さな子供を連れて出てきた。
「リン!」
「シオン!!!」
「なんだ〜お前達知り合いか。このガキが言っていたシオンって言うのはお前の事か。」
「リンを放せ!」
「お前馬鹿か?ハイそうですかって、人質放す奴がどこの世界に居るんだよ。」
「卑怯だぞ!ギル!」
「良いんだぜ〜。このガキと一緒に俺をぶった斬ってもよ。」
「ギル、貴様・・・・・」
「やっぱりなぁ〜剣闘士一の戦士と言ってもガキが居たんじゃ手も足も出せないってか。」
「なんてやつだ・・・・・」
「儂が変わりに人質になる、だからその子を放してくれ。」
後を追ってきたウナル爺さんが怒りに我を忘れているシオンを制止ギルの前に出てきた。
「ジジイィは引っ込んでろ!人質って奴はな無抵抗でかわいげのあるガキだから価値があるんだよてめぇみたいな老いぼれは利用価値なんざねぇーのさ!」
「爺ちゃん!みんなが・・・」
「リン・・・・・」
「そうだ!爺さんにチャンスをやろう。爺さんとそうだなぁ・・・ギッツ!一対一で戦え。もし爺さんが勝ったらこのガキを返してやるよ。」
「ギル!貴様!」
「おや〜せっかく俺が正々堂々とガキを取り戻せるチャンスをやろうと言うのに〜俺の優しい心が分かって貰えないのかなぁ〜残念だなぁ〜」
「分かった。儂が戦おう。リンは儂の大事な孫娘じゃ、命に代えても・・・」
「無理だ!爺さん!爺さんがかなう相手じゃない。」
「俺にやらせてくれ!俺が爺さんの代わりに戦う!」
「シオンとか言ったな。俺は爺さんとギッツの戦いが見たいんだよ。引っ込んでな!」
「しかし・・・・」
「良いんじゃ、どうせこのままじゃ儂等にはどうする事も出来ん!一歩の望みが有るのなら儂は戦う。」
ウナルは持ってきた剣を引き抜き構えて見せた。
「ほう〜爺さん!中々どうして!堂に入ってるじゃねぇか。がんばれよ!ギッツ!」
「へへへへっ!多少でも歯ごたえが無いと面白くないもんな。」
ウナルとギッツはお互いの間を計るように距離を取り始めた。
『あの鎖鎌では一瞬が勝負じゃ。どうあがいても体力ではかなわん・・・・』
「どうやら爺さん、かなりの腕の様だな・・・・」
「分かるのか?ガオウ。」
「あぁ、構えを見ればそれなりの力量は分かる。だがギッツの鎖鎌の攻撃を除けられても爺さんの体力で倒せるかどうか・・・・・」
「爺さん・・・・・」
ギッツの鎖鎌の鉄球は今ウナルを狙い円を描いて回りだした。
「へへへっ、俺の鉄球をそんな細い剣で払いのけられるのか?来いよ!かかって来いよ!」
「・・・・・・・」
「どうやら怖くて動けないようだな。ジジイィ!じゃ!こっちから行くぜ!」
《ヒュン!》
ギッツの鉄球がまるで生き物のようにウナルをめがけ飛んでいく!
《キーン!》
ウナルは微動だにせず鉄球をはじき返した。
「ほう〜やるじゃねぇーか。」
《ヒュン!ヒュン!》
まるで伸び縮みでもするかのようにギッツの鉄球はウナルをめがけ二度三度と飛んでいく!
「駄目だ!このままじゃ爺さんの体力が持たない・・・・」
ガオウがそう思った瞬間!ウナルはその場にしゃがみ込み一気にギッツの足下をめがけ飛び込んでいった!
「なに?!」
ウナルが放つ切っ先がギッツの足を捉えたかと思ったその時、ギッツの体は宙を飛んでいた。
「へへへ!甘いんだよ!ジジイィ!死ねー!」
渾身の力で切り込んでいたウナルの背中をめがけ、ギッツの鎌が振り下ろされる!
《グサッ!》
「うっ・・・!」
背中に鋭い痛みを感じウナルはその場に倒れた。
「爺さん!!」
「おじいちゃん!」
「なんだ〜もっと強えぇ〜のかと思ったら以外と弱いでやんの!」
あまりにも拍子抜けしたのか、ギッツは止めを刺さずその場を去ろうとしていたその一瞬!
《グサッ!》
ウナルが背を向けたギッツの足に剣を突き刺していた。
「てめ〜!」
ギッツはウナルの剣を引き抜き放り投げると、ウナルの腹をめがけ鎌を突き刺した!
背中と腹に深い傷を負ったウナルは血へどを吐きその場に崩れた。
「爺さん!!」
駆け寄るシオンはウナルの体を抱き寄せ何とか血を止めようとするが深い傷からは止めどなく赤い血が流れていく・・・・
「爺さん!しっかりしてくれ!今薬で・・・・」
「良いんじゃ、シオン・・・もう・・・・」
「駄目だ!死ぬな!死んじゃ駄目だ!」
「シオン・・・すまぬがリンの事・・・」
「あぁ!俺が絶対に助ける!だからまた三人で暮らそう・・・」
「そうじゃな・・・・また三人で・・・・」
ウナルはそう言い残し力尽きて動かなくなってしまった。
「爺さん・・・・・・」
「爺ちゃん!死んじゃやだよー!じいぃちゃ〜ん!!!」
「あらら〜残念だったな〜面白い勝負だと思ったのに。」
「貴様〜!許さない・・・・」
「おいおい!これは勝負だぜ。負けたのは爺さんが弱いからじゃねぇか。俺を恨むのは筋違いってもんだろ。」
「痛てて〜どうすんだよ!又傷が増えちゃったじゃねぇか!」
「またシュメルに縫って貰えよ。」
「やだよ〜!お頭〜。またねえさんに革ひもで縫われたくねぇよ!」
「なんだって?!」
「ありゃ!ねぇさん聞いていたのか。」
洗ったばかりの髪を拭いながらシュメルが出てきた。
「せっかく水浴びしてゆったり気分で居たのに何の騒ぎだい?あら〜ガオウが居るじゃないのこんな所まで追いかけて来るとは物好きだね。」
「おめぇ〜今まで水浴びをしていたのか?」
「良いじゃないのさ!女はね、清潔が一番なんだよ!それにしてもガオウが居るのに何であんた達生きてんの?」
「そりゃ〜ねーよ!ねぇさん!」
「なんでもな〜このガキが居るとガオウは俺達に手も出せないらしいぜ。」
「へぇ〜ガイラース1の剣闘士とも有ろうものが、小娘一人で何も出来ないんだ〜こりゃ傑作!」
シュメルのその言葉に盗賊達は笑いが止まらないと言いたげにガオウを挑発していた。
『このままじゃどうする事も出来ない・・・どうする?』
『あの子さえ何とかヤツらから放せれば、俺が飛び込んで一撃を加えられる。』
『そうだ!俺に考えがある。俺の合図でいつでも飛び込めるようにしてくれ。』
「なにコソコソ二人で話しているんだ?このガキを見捨てて俺を斬る気になったか?」
「・・・・・・」
ガオウは剣に手をかけ身構えるだけで、ギルの挑発に乗ろうとはしなかった。
『トレーサー!ポッドの測定用レーザーを出力最大にして指定の座標にセット!』
《了解。測定用レーザーを最大出力で前方の座標に照射準備。・・・・完了。いつでも発射出来ます。》
『照射!!』
その合図と共にポッドからリンを捕まえているベアハッグめがけレーザーが発射された!
〈ピカッ!〉
「うっ!」
ベアハッグは突然右腕に痛みを感じ思わず、リンを捕まえていた手を放した!
「いまだ!」
そのシオンの合図を待っていたかの様に、ガオウがベアハッグめがけ飛び込んでいった!
《ズバッ!》
一瞬の攻撃でガオウはベアハッグの腕を切り飛ばし、返す剣でギッツの胴体を真っ二つにしていた。
「いまだ!リン!走れ!!」
「シオン!!」
あまりにも素早いガオウの動きでギル達は何が起こったのか分からなかった。
「ギル!」
「てめぇ!」
《カキーン!》
ギルはすんでの所でガオウが放つ剣を受け止めた。
リンは無我夢中でシオンが待つその場所を目指し必死に走っている。
「シュメル!そのガキを逃がすな!!」
「あぁ!分かってるよ!このガキ!!」
必死に走るリンをめがけシュメルは鋭い鞭を放つ。
《シュッ!》
「うっ!」
リンは『もう少し頑張れば優しいシオンの元に・・・』そう思った瞬間、彼女の体を鋭い痛みが走りその場に崩れた。
「リン!!」
「しまった!鞭の棘が・・・・」
あまりにも小さなリンの体はシュメルが放った鞭の先に付いている金属の棘に胸を刺され深い傷を負ってしまったのである。
「リーーーーーン!!」
駆け寄るシオンはリンの体を抱き寄せ胸の傷を必死に押さえ血の流れを止めようとしたが押さえても押さえても止めどなく流れる血をどうする事も出来なかった・・・・
「リン・・・・」
「シオン・・・良かった・・・約束通り帰ってきてくれたんだね・・・」
「あぁ、俺はずっとリンの側に居るよ。もう絶対に離れたりしない・・」
「約束だよ・・・シオン・・」
「あぁ、約束だ。」
「あれ?シオン!?どこに行っちゃったの?・・・」
「リン・・・ここに居るよ。」
「シオン・・・なんだか眠くなっちゃった・・・」
「リン!駄目だ!眠っちゃ・・・しっかりしてくれよ。リンが元気になってくれないと俺はひとりで寂しいよ。」
「そうだね・・・・シオンは私が居ないと・・・・なんにも・・・・・・・・・・・」
「リン!目を開けろ!リン!リン!おい!リン・・・・・」
にじむ涙を必死にこらえ、シオンはリンに呼びかけるが、もうすでにリンは動こうとはしなかった・・
段々と冷たくなっていくリンの体・・・・
「何でだよ!何でリンが死ななきゃならないんだ!!リンが何をしたって言うんだ!!
この村の人たちだって誰にでも優しく一生懸命生きていたじゃないか・・・なのに・・・なんで・・」
シオンはリンの体をウナルの元へ運び寝かせると、側に転がっていたウナルの剣を握りしめ立ち上がった。
「貴様らー!!絶対に許さない!たとえこの命に代えても貴様らを殺す!!」
シオンは剣を構えると、一気にシュメルをめがけ切り込んだ!
「あんたみたいな青二才にわたしが殺られるかぁ!」
シュメルは鞭を振り上げシオンめがけ放った!
だがシオンはその鞭の攻撃さえ除けようともせず、まっしぐらにシュメルめがけ剣を突き刺した!
《ザクッ!》
肉を突き刺す鈍い音をさせシュメルが倒れた・・・・
「姉御!!貴様〜!」
シュメルが倒れたのを見ていたドムルが巨大な鉄球をシオンめがけ投げつけた。
「危ない!シオン!」
その時!ワームの毒にやられ荷台で寝ていたはずのガゼルがドムルの鉄球を払いのけた。
「貴様の相手は俺だ!!」
「ガゼルかぁ!相手に不足なねぇー!」
「おっと!お前の相手は俺さまがしてやるよ!!」
そう言ってザハーンが鋭い爪をかざしてシオンめがけ斬りかかってくる。
《シュパッ!》
「うっ!」
鋭い爪がシオンの胸元をかすめた。
倒れかかったシオンだったが、怒りで痛みなど感じる事はなかった。
鋭い爪をきらめかせ次の攻撃を仕掛けようとするザハーンを気にも止めようとせず一気にザハーンの喉元をめがけ突進する。
ザハーンも切り込んでくるシオンめがけ鋭い爪を突き刺す!
二人の体はぶつかり合いその場で止まった。
シオンの胸を刺すザハーンの爪・・・
だがシオンの放った一撃はザハーンの喉を突き刺していた。
「なっ・・・なんで・・・・」
そう言い残しザハーンの体は崩れていく。
ザハーンとの一瞬の勝負が終わった時、ガオウそしてガゼルの戦いも終わりを告げていた。
「どうやらこれで俺達の旅も終わりだな。」
「あぁ、長い間済まなかったなガオウ。」
「いや、俺にとってもこいつらは仇同然だ。」
ガオウとガゼルはその場に立ちつくすシオンに目を向けた。
「シオン・・・・・」
だが二人には、最愛の友人達を失ったシオンにかける言葉が見つからなかった・・・
「リン・・・・爺さん・・・・」
リンとウナルが横たわる側へ歩み寄るシオンはそうつぶやくと、止めどなく流れる涙を拭おうともせずいつまでもその場を離れようとはしなかった・・・・・
そんなシオンを見守るガオウとガゼル・・・
「ガオウ、一つ聞いても良いか?」
おもむろにシオンが口を開いた。
「なんだ?シオン。」
「このガイラースは、こんな戦いばかりの世界なのか?」
「あぁ、残念だが、ガイラースでは戦いは大昔から終むことはない・・・」
「何故人は戦い続ける・・・」
「導く者が居ないからだろうな。」
「導くもの・・・・・・・」
「あぁ、このガイラースを治め、人々を導く存在・・・・それが現れたら戦う事も無くなるかもしれないが・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「ガオウ、ガゼル、俺に力を貸してくれないか?」
一瞬、シオンの問いに顔を見合わせる二人だったが・・・
「あぁ、お前に助けられたこの命、俺で良ければお前に全てを与えよう。」
「俺も良いぜ。どうせ俺には行く当ては無いからな。でも何をするつもりだ?」
「戦いを終わらせる・・・・・」
「戦いを・・・・?」
「あぁ、罪もない人がこんな風に死んでいくのを俺は黙っていられない・・・」
「・・・・・・・」
「シオン・・・・」
「あぁ、お前なら出来るかもな。」
そう言って三人はガイラースの空を見つめ熱い思いがこみ上げてくるのを感じていた。
その後、三人は村人達の遺体を丁重に葬り、自ら選んだ運命に向かって旅立っていった。
彼らの行き先は誰にも分からない・・・・・・
ただウタリの村から吹く風は、ガイラースに新しい風を感じさせていた。
第二章「生存〜それぞれの刻・シオン編」
fin.
第二章「生存〜それぞれの刻・ユリカ編」へ続く........。
Close.↑
| ■『志音(SHION)』【小説】 |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
第二章 「生存〜それぞれの刻〜」
シオン編 Next 03.....
シオン編 Next 03.....
「爺さん、帰りは俺が手綱を持つよ。だから爺さんは荷台で一眠りすると良い。」
「それは良いがお前さん、来るとき眠っていたのに帰り道が分かるか?」
「あぁ、大丈夫だよ。安心してくれ。」
シオンはそう言うとトレーサーを取り出し装着した。
「なんじゃ?それは?」
「これかい?これは色んな事を教えてくれる便利な道具だよ。」
「まぁ、よく分からんがそう言ってくれるなら儂は寝かせてもらうが、道に迷ったらいつでも起こせば良い。」
「あぁ、そうするよ。」
ウナルは何となく不安げな顔を見せたが、『シオンにはこれも良い経験に成る』と言いながら荷台にその老体を横たえた。
シオンはポッドから送られてくるガイラースの地図を検索してウタリまでの帰り道を表示させながら送られてくるガイラースのデータに目を通していた。
『ガイラースはまるで一つの巨大な大陸の様に見える・・・・ユーラシア大陸に匹敵する大きさの様だな。だがこんな小さな質量で重力も大気も有ると言うことは何かのエネルギーが関与しているのは確かだが、これと言って特異な物が外界に見あたらないとするとガイラース自身が特異なフィールドを形成していることに成るが・・・・・』
シオンは考えられる限りの仮説を立てて見たがどれも想像の域を出ることは無かった。
二人を乗せた荷台を疲れた様子も無く引っ張り続けるポロルはゆっくりとザウの砂漠を進んでいく。
時折、ゆったりとした時間の中シオンがウトウトと眠気に襲われたが、それでもポロルはまるで帰る道を知っているかのようにゆっくりとだが着実にウタリの村を目指していた。
だがそんな眠気もトレーサーからの報告で吹き飛んだ。
《ポッドからの情報で前方1kmに生命反応を二つ関知しました。データーから人間と判断されます。》
「人間?映像は出せるか?」
《いいえ。現在その生命体は、岩陰に隠れている為直接の確認は出来ません。しかし一体の生命体は体温のデーターからかなり衰弱しているものと思われます。》
シオンは考えあぐねたが荷台で眠っているウナルを起こす事にした。
「爺さん起きてくれ。この先に倒れている人がいる様だが、どうする?」
「なんじゃ?こんな砂漠で倒れている者が居る?どこじゃ?」
「この先少し行った所の岩陰に二人居る。一人はかなり衰弱しているようだ。」
「お前さん、何でそこまで分かるんじゃ?・・・・まぁええ。これも何かの縁じゃ。」
シオンはその言葉に自分もウナルの穏やかで人柄の良い性格に命を助けられた事を思い出していた。
やがてシオンの誘導で二人を乗せた荷台は、トレーサーが示す岩陰へと辿り着いた。
「おーい!誰かいるか!儂等は怪しいものじゃない!困っているなら手を貸すがどうだ!」
ウナルがシオンの指さす岩に向かって大声で叫んだが、こちらを伺って居るのか返事は無かった。
「安心しろ!儂等はこの近くに住むウタリのもんじゃ!」
シオンとウナルの姿を確認したのか、岩陰から人影が姿を現した。
「助かる!旅の途中連れが熱を出して困っていたんだ。出来れば水を分けて貰えないか?」
「水だけで良いのか?良ければ儂等の村まで乗せていってもかまわんよ!」
「それは助かる!それじゃ今そちらへ行く、待っていてくれ。」
そう言うとその男は、岩陰に居たもう一人の男を担ぎ荷台に向かってきた。
シオンはその姿をみて少し驚きを覚えた。
はじめに出てきた男も鍛え抜かれた長身の体をしていたが、気を失い担がれているその男もかなり鍛え上げられた男・・・まるでギリシャ神話に出てくる戦士その者だったのである。
男は荷台にもう一人の男を寝かせると、見慣れない出で立ちをしているシオンを見つめた。
「すまん。俺の名はガオウ。それにこいつはガゼル、ある事情があって二人で旅をして居たんだが砂漠でワームに襲われ、ザクを失いどうやらこいつもワームの毒にやられたようなんだ。」
「ワームの毒?それは大変じゃ。村に行けば薬草も有るが今は持ち合わせておらん。様子から見て一刻も早く毒消しを飲ませんと・・・・・村まではどんなに急いでも4目はかかる。」
「いや、良いんだ・・・・これも運命・・・・」
倒れて寝ていたのかと思ったガゼルがたどたどしくも口を開いた。
「すまん。ガゼル・・・」
「お前が謝る事じゃない・・・それにこれは俺の戦士としての力の無さからきた事・・・・」
ガオウにはそれ以上何もガゼルにかける言葉が無かった・・・・・
そんな彼らを見ていたシオンは、シャトルから持ってきた携帯用医療パックを思い出し荷台を探していた。
「ちょっと良いか?俺が持っている薬の中に役立つものが有るかもしれない。俺に具合を見させてくれないか?」
「あぁ、それは構わないが・・・・」
シオンが取り出した医療パックを見てガオウは少しためらったが、一分の望みをかけてその場をシオンに空け渡し心配そうに見守っていた。
『トレーサー。彼の症状をスキャンして有効な対処法を頼む。』
《了解しました。》
じっとガゼルを見つめて何かをつぶやいているシオンを、ガオウとウナルは不思議そうに見守って居る。
《スキャン結果が出ました。サソリに良く似た毒素が検出されましたのでPH286のアンプルが有効かと思われます。》
『分かった。』
シオンはトレーサーが導き出したそのアンプルをパックから取り出し注射ガンに装填するとガゼルの頸動脈へ当てた。
「うっ・・・」
「心配するな、これは直接体の中に薬を入れる機械だ。」
「シオン、お前さんそんな事まで出来るんじゃな。」
「爺さん、これは俺の居た世界ではそんな不思議な事じゃないよ。道具さえ有れば誰にでも作れる。」
「シオンとか言ったが、お前は爺さんの息子じゃ無いのか?」
「あぁ、俺もあんた達とおなじでこのウナル爺さんに倒れていた所を助けられたんだ。」
「それで爺さんと違って変わった服を着ていたんだな。」
「変わった服・・・・あぁ、確かにこのガイラースじゃ見かけない服だろうな。これは俺が居た世界の服なんだ。」
「それじゃ、あんたはガイラースの人間じゃ無いのか!言い伝えでは聞いていたが本当に別の世界が有るんだな。」
「そう言うことだ。だからあんた達が見たこともないこういった物も持っているんだ。」
「オッ!薬が効いてきたようだな。良かった血の気が戻ってきた。」
薬で毒が中和され血の気を失っていたガゼルの体にうっすらと血の気が戻り、熱も下がって来たようだった。
《体温38℃、脈拍70、毒素は完全に中和されました。》
『分かった。』
「どうやら毒は消えた様だ。直に熱も下がるしもう心配無いぞ。」
「すまん。なんと礼を言ったらいいか・・・・」
「いや、良いんだ。困っているときはお互い様だから。」
「本当にすまん・・・この恩は命に代えても返させてもらう。」
「なに言ってんだ!せっかく助けた命を貰ったって俺はうれしく無いぜ。」
「ははっ・・・・それもそうだ・・・・」
ガゼルは毒が消えて楽になったのかそのまま眠りについた。
四人の男達を乗せ重たくなった荷台だったが、小柄なポロルは依然と気にしないかのように又ゆっくりとした足取りでウタリの村へと向かって行った。
「お前さん達、こんな辺境な土地まで何しに来たんじゃ?訳があるなら無理に話さなくても良いが」
「いや、別に隠すような事でも無い。俺達はある盗賊を追ってここまで来たんだ。」
「盗賊?」
「あぁ、ギルと言う奴が引き連れた6人を追っている。砂漠の北にあるムンカの街を襲ってこちらに逃げていったと聞いたんでな。」
「あんた達はその盗賊となにか訳ありなのか?」
「あぁ、奴らはガゼルの村を襲って村人を皆殺しにした、俺はガゼルとは昔、剣闘士仲間でな俺が剣闘士を抜けてからガゼルの村で世話になっていたんだ。しかし俺達が旅に出て久しぶりに戻ってみたら村は廃墟に成っていた。その後村を襲ったのがギルが頭をする盗賊団だと分かってそれから奴らを捜して旅をしていたんだが、やっと見つけたムンカの街で奴らと戦ったんだが、その戦いの中、ヤツらは手下を置いて姿をくらました。色々調べたら7刻ほど前にザウの砂漠を南に向かったと聞いて後を追ってきたんだ。」
「爺さん!村は大丈夫なのか?」
「心配する事もないさ。村にはこれと言って金目のものはなんもないからの。」
「いや!わからん!ヤツらはただの盗賊じゃない。人の命など何とも思わない連中なんだ。
遊びで村人を殺した事もある。」
「それじゃ・・・・」
「あぁ!急いだ方がいいな。」
その話を聞いてウナルはポロルに鞭を打ち込んで急がせた。
のんびり歩いていたポロルだったが突然の鞭で今まで見たこともない早さで必死に走り始めた。
『サーチ!この先の村をポッドで調べてくれ!』
《了解。》
シオンはデータが送られてくる短い時間が、あまりにも長い時間に思えていた。
『リン無事でいてくれ・・・・・・』
ちょうどその頃、村の入り口に近づく6人の人影がザクに跨り村の様子を伺っていた。
「頭。何かちっぽけな村ですぜ。大した金目の物もないみたいで。」
「わからんぜ。結構こういった小さな村ほど、村の宝って言うものを持ってるもんだ。」
「そういうもんかね。あたしには薄汚い村にしか見えないけど。それよりあたしは体を洗いたいよ、砂漠なんて走るから砂で頭までザラザラしていて気持ち悪いったらありゃしないよ。」
「俺は食い物が有ればそれで良いぜ。」
「ドムルは食い物さえ有ればどこでも良いからな。」
「へへへッ!ベアハッグの言うとおり!」
「うるせーなぁ、ギッツ!頭かち割られたいのか!」
「おー!怖!」
「俺は切り刻めりゃそれで良いぜ!」
「ザハーン!殺るのは良いけどよ。仲間まで襲うのはやめろよな!俺はお前のその爪で死にそうに成ったんだからな!」
「そういやぁ、その頭の傷ザハーンにやられたんだっけな。」
「おう!そうよ!滅茶苦茶痛かったんだからな!」
「だからあたしが縫ってやったじゃないの。」
「よく言うよ!姉御!革ひもで縫われちゃザハーンに切られた傷より痛かったんだぜ!」
「良いじゃん!前より男前に見えて。ハハハハハ」
「そうかな?へへへッ」
「馬鹿かおまえは。」
「ひでーなぁ、お頭。」
「それよりギッツ!村の中を見てこい!」
「へい!」
そう言うと小柄なギッツは素早い身のこなしで村の家々を調べ始めた。
「こんな村、堂々と入って行ったら良いじゃないの?どうせまともに戦える奴なんて居ないんだから。」
「用心に越したことは無いって!」
「あーあぁ、40人も居た盗賊の頭が今じゃ用心深くなっちゃってがっかりだよ。」
「うるせえなぁ、俺だってたった二人の剣闘士にやられるとは思って無かったんだよ!」
「あぁ、確かにあいつ等は強かったな。しかし仕方がないぜ。剣闘士一のガオウが相手じゃ、それにガゼルまで居たんじゃ百人居たって同じだったかもな。」
「絶対にこの借りは倍にして返してやるぜ!」
「どうやってあいつ等をやっつけるのさ?」
「わかんねーよ!だがなどんな手を使っても息の根とめてやる!」
そんな中、村の偵察をおわったのかギッツが戻ってきた。
「おぉ!帰ってきたか。でっ、どうだった?」
「お頭ー、この村は駄目ですぜ。大した金目の物もないし、ばばぁやじじいばかりで。」
「だから言ったじゃないの。こんな村堂々と入って言うこと聞かなきゃ殺っちゃえばいいのよ!」
「仕方ねぇ、食料と水だけでも手に入れるとするか。」
「お頭!だったら遊んで良いか?」
「あぁ、好きにしな。」
「へへへへっ!久しぶりに皆殺しにしてみるかな。」
「ありゃりゃーザハーンの目が血走ってるよ。」
今は六人になった盗賊達はまるでこれから楽しいゲームでも始まるかのような不気味な笑いを浮かべ村へと入って行った。
《データが送られてきました。村の近くにウマの様な物に乗った六人を捉えました。》
「なんだって!」
「どうした?シオン。」
「爺さん!盗賊と思える六人が村に向かってる!」
「どうしたら良いんだぁ!」
「シオン、焦っても仕方がない・・・・みんな無事で居てくれる事だけを祈るしか儂等には・・・」
そうは言っては見たが、ウナルも心の動揺を隠せなかった。
『俺達が行くまで無事でいてくれ・・・・』
シオンは唇をかんで焦る気持ちを我慢しようとしたが、益々膨らんでくる不安が体中を駆けめぐって居た・・・・
Next Page04........
Close.↑
「それは良いがお前さん、来るとき眠っていたのに帰り道が分かるか?」
「あぁ、大丈夫だよ。安心してくれ。」
シオンはそう言うとトレーサーを取り出し装着した。
「なんじゃ?それは?」
「これかい?これは色んな事を教えてくれる便利な道具だよ。」
「まぁ、よく分からんがそう言ってくれるなら儂は寝かせてもらうが、道に迷ったらいつでも起こせば良い。」
「あぁ、そうするよ。」
ウナルは何となく不安げな顔を見せたが、『シオンにはこれも良い経験に成る』と言いながら荷台にその老体を横たえた。
シオンはポッドから送られてくるガイラースの地図を検索してウタリまでの帰り道を表示させながら送られてくるガイラースのデータに目を通していた。
『ガイラースはまるで一つの巨大な大陸の様に見える・・・・ユーラシア大陸に匹敵する大きさの様だな。だがこんな小さな質量で重力も大気も有ると言うことは何かのエネルギーが関与しているのは確かだが、これと言って特異な物が外界に見あたらないとするとガイラース自身が特異なフィールドを形成していることに成るが・・・・・』
シオンは考えられる限りの仮説を立てて見たがどれも想像の域を出ることは無かった。
二人を乗せた荷台を疲れた様子も無く引っ張り続けるポロルはゆっくりとザウの砂漠を進んでいく。
時折、ゆったりとした時間の中シオンがウトウトと眠気に襲われたが、それでもポロルはまるで帰る道を知っているかのようにゆっくりとだが着実にウタリの村を目指していた。
だがそんな眠気もトレーサーからの報告で吹き飛んだ。
《ポッドからの情報で前方1kmに生命反応を二つ関知しました。データーから人間と判断されます。》
「人間?映像は出せるか?」
《いいえ。現在その生命体は、岩陰に隠れている為直接の確認は出来ません。しかし一体の生命体は体温のデーターからかなり衰弱しているものと思われます。》
シオンは考えあぐねたが荷台で眠っているウナルを起こす事にした。
「爺さん起きてくれ。この先に倒れている人がいる様だが、どうする?」
「なんじゃ?こんな砂漠で倒れている者が居る?どこじゃ?」
「この先少し行った所の岩陰に二人居る。一人はかなり衰弱しているようだ。」
「お前さん、何でそこまで分かるんじゃ?・・・・まぁええ。これも何かの縁じゃ。」
シオンはその言葉に自分もウナルの穏やかで人柄の良い性格に命を助けられた事を思い出していた。
やがてシオンの誘導で二人を乗せた荷台は、トレーサーが示す岩陰へと辿り着いた。
「おーい!誰かいるか!儂等は怪しいものじゃない!困っているなら手を貸すがどうだ!」
ウナルがシオンの指さす岩に向かって大声で叫んだが、こちらを伺って居るのか返事は無かった。
「安心しろ!儂等はこの近くに住むウタリのもんじゃ!」
シオンとウナルの姿を確認したのか、岩陰から人影が姿を現した。
「助かる!旅の途中連れが熱を出して困っていたんだ。出来れば水を分けて貰えないか?」
「水だけで良いのか?良ければ儂等の村まで乗せていってもかまわんよ!」
「それは助かる!それじゃ今そちらへ行く、待っていてくれ。」
そう言うとその男は、岩陰に居たもう一人の男を担ぎ荷台に向かってきた。
シオンはその姿をみて少し驚きを覚えた。
はじめに出てきた男も鍛え抜かれた長身の体をしていたが、気を失い担がれているその男もかなり鍛え上げられた男・・・まるでギリシャ神話に出てくる戦士その者だったのである。
男は荷台にもう一人の男を寝かせると、見慣れない出で立ちをしているシオンを見つめた。
「すまん。俺の名はガオウ。それにこいつはガゼル、ある事情があって二人で旅をして居たんだが砂漠でワームに襲われ、ザクを失いどうやらこいつもワームの毒にやられたようなんだ。」
「ワームの毒?それは大変じゃ。村に行けば薬草も有るが今は持ち合わせておらん。様子から見て一刻も早く毒消しを飲ませんと・・・・・村まではどんなに急いでも4目はかかる。」
「いや、良いんだ・・・・これも運命・・・・」
倒れて寝ていたのかと思ったガゼルがたどたどしくも口を開いた。
「すまん。ガゼル・・・」
「お前が謝る事じゃない・・・それにこれは俺の戦士としての力の無さからきた事・・・・」
ガオウにはそれ以上何もガゼルにかける言葉が無かった・・・・・
そんな彼らを見ていたシオンは、シャトルから持ってきた携帯用医療パックを思い出し荷台を探していた。
「ちょっと良いか?俺が持っている薬の中に役立つものが有るかもしれない。俺に具合を見させてくれないか?」
「あぁ、それは構わないが・・・・」
シオンが取り出した医療パックを見てガオウは少しためらったが、一分の望みをかけてその場をシオンに空け渡し心配そうに見守っていた。
『トレーサー。彼の症状をスキャンして有効な対処法を頼む。』
《了解しました。》
じっとガゼルを見つめて何かをつぶやいているシオンを、ガオウとウナルは不思議そうに見守って居る。
《スキャン結果が出ました。サソリに良く似た毒素が検出されましたのでPH286のアンプルが有効かと思われます。》
『分かった。』
シオンはトレーサーが導き出したそのアンプルをパックから取り出し注射ガンに装填するとガゼルの頸動脈へ当てた。
「うっ・・・」
「心配するな、これは直接体の中に薬を入れる機械だ。」
「シオン、お前さんそんな事まで出来るんじゃな。」
「爺さん、これは俺の居た世界ではそんな不思議な事じゃないよ。道具さえ有れば誰にでも作れる。」
「シオンとか言ったが、お前は爺さんの息子じゃ無いのか?」
「あぁ、俺もあんた達とおなじでこのウナル爺さんに倒れていた所を助けられたんだ。」
「それで爺さんと違って変わった服を着ていたんだな。」
「変わった服・・・・あぁ、確かにこのガイラースじゃ見かけない服だろうな。これは俺が居た世界の服なんだ。」
「それじゃ、あんたはガイラースの人間じゃ無いのか!言い伝えでは聞いていたが本当に別の世界が有るんだな。」
「そう言うことだ。だからあんた達が見たこともないこういった物も持っているんだ。」
「オッ!薬が効いてきたようだな。良かった血の気が戻ってきた。」
薬で毒が中和され血の気を失っていたガゼルの体にうっすらと血の気が戻り、熱も下がって来たようだった。
《体温38℃、脈拍70、毒素は完全に中和されました。》
『分かった。』
「どうやら毒は消えた様だ。直に熱も下がるしもう心配無いぞ。」
「すまん。なんと礼を言ったらいいか・・・・」
「いや、良いんだ。困っているときはお互い様だから。」
「本当にすまん・・・この恩は命に代えても返させてもらう。」
「なに言ってんだ!せっかく助けた命を貰ったって俺はうれしく無いぜ。」
「ははっ・・・・それもそうだ・・・・」
ガゼルは毒が消えて楽になったのかそのまま眠りについた。
四人の男達を乗せ重たくなった荷台だったが、小柄なポロルは依然と気にしないかのように又ゆっくりとした足取りでウタリの村へと向かって行った。
「お前さん達、こんな辺境な土地まで何しに来たんじゃ?訳があるなら無理に話さなくても良いが」
「いや、別に隠すような事でも無い。俺達はある盗賊を追ってここまで来たんだ。」
「盗賊?」
「あぁ、ギルと言う奴が引き連れた6人を追っている。砂漠の北にあるムンカの街を襲ってこちらに逃げていったと聞いたんでな。」
「あんた達はその盗賊となにか訳ありなのか?」
「あぁ、奴らはガゼルの村を襲って村人を皆殺しにした、俺はガゼルとは昔、剣闘士仲間でな俺が剣闘士を抜けてからガゼルの村で世話になっていたんだ。しかし俺達が旅に出て久しぶりに戻ってみたら村は廃墟に成っていた。その後村を襲ったのがギルが頭をする盗賊団だと分かってそれから奴らを捜して旅をしていたんだが、やっと見つけたムンカの街で奴らと戦ったんだが、その戦いの中、ヤツらは手下を置いて姿をくらました。色々調べたら7刻ほど前にザウの砂漠を南に向かったと聞いて後を追ってきたんだ。」
「爺さん!村は大丈夫なのか?」
「心配する事もないさ。村にはこれと言って金目のものはなんもないからの。」
「いや!わからん!ヤツらはただの盗賊じゃない。人の命など何とも思わない連中なんだ。
遊びで村人を殺した事もある。」
「それじゃ・・・・」
「あぁ!急いだ方がいいな。」
その話を聞いてウナルはポロルに鞭を打ち込んで急がせた。
のんびり歩いていたポロルだったが突然の鞭で今まで見たこともない早さで必死に走り始めた。
『サーチ!この先の村をポッドで調べてくれ!』
《了解。》
シオンはデータが送られてくる短い時間が、あまりにも長い時間に思えていた。
『リン無事でいてくれ・・・・・・』
ちょうどその頃、村の入り口に近づく6人の人影がザクに跨り村の様子を伺っていた。
「頭。何かちっぽけな村ですぜ。大した金目の物もないみたいで。」
「わからんぜ。結構こういった小さな村ほど、村の宝って言うものを持ってるもんだ。」
「そういうもんかね。あたしには薄汚い村にしか見えないけど。それよりあたしは体を洗いたいよ、砂漠なんて走るから砂で頭までザラザラしていて気持ち悪いったらありゃしないよ。」
「俺は食い物が有ればそれで良いぜ。」
「ドムルは食い物さえ有ればどこでも良いからな。」
「へへへッ!ベアハッグの言うとおり!」
「うるせーなぁ、ギッツ!頭かち割られたいのか!」
「おー!怖!」
「俺は切り刻めりゃそれで良いぜ!」
「ザハーン!殺るのは良いけどよ。仲間まで襲うのはやめろよな!俺はお前のその爪で死にそうに成ったんだからな!」
「そういやぁ、その頭の傷ザハーンにやられたんだっけな。」
「おう!そうよ!滅茶苦茶痛かったんだからな!」
「だからあたしが縫ってやったじゃないの。」
「よく言うよ!姉御!革ひもで縫われちゃザハーンに切られた傷より痛かったんだぜ!」
「良いじゃん!前より男前に見えて。ハハハハハ」
「そうかな?へへへッ」
「馬鹿かおまえは。」
「ひでーなぁ、お頭。」
「それよりギッツ!村の中を見てこい!」
「へい!」
そう言うと小柄なギッツは素早い身のこなしで村の家々を調べ始めた。
「こんな村、堂々と入って行ったら良いじゃないの?どうせまともに戦える奴なんて居ないんだから。」
「用心に越したことは無いって!」
「あーあぁ、40人も居た盗賊の頭が今じゃ用心深くなっちゃってがっかりだよ。」
「うるせえなぁ、俺だってたった二人の剣闘士にやられるとは思って無かったんだよ!」
「あぁ、確かにあいつ等は強かったな。しかし仕方がないぜ。剣闘士一のガオウが相手じゃ、それにガゼルまで居たんじゃ百人居たって同じだったかもな。」
「絶対にこの借りは倍にして返してやるぜ!」
「どうやってあいつ等をやっつけるのさ?」
「わかんねーよ!だがなどんな手を使っても息の根とめてやる!」
そんな中、村の偵察をおわったのかギッツが戻ってきた。
「おぉ!帰ってきたか。でっ、どうだった?」
「お頭ー、この村は駄目ですぜ。大した金目の物もないし、ばばぁやじじいばかりで。」
「だから言ったじゃないの。こんな村堂々と入って言うこと聞かなきゃ殺っちゃえばいいのよ!」
「仕方ねぇ、食料と水だけでも手に入れるとするか。」
「お頭!だったら遊んで良いか?」
「あぁ、好きにしな。」
「へへへへっ!久しぶりに皆殺しにしてみるかな。」
「ありゃりゃーザハーンの目が血走ってるよ。」
今は六人になった盗賊達はまるでこれから楽しいゲームでも始まるかのような不気味な笑いを浮かべ村へと入って行った。
《データが送られてきました。村の近くにウマの様な物に乗った六人を捉えました。》
「なんだって!」
「どうした?シオン。」
「爺さん!盗賊と思える六人が村に向かってる!」
「どうしたら良いんだぁ!」
「シオン、焦っても仕方がない・・・・みんな無事で居てくれる事だけを祈るしか儂等には・・・」
そうは言っては見たが、ウナルも心の動揺を隠せなかった。
『俺達が行くまで無事でいてくれ・・・・』
シオンは唇をかんで焦る気持ちを我慢しようとしたが、益々膨らんでくる不安が体中を駆けめぐって居た・・・・
Next Page04........
Close.↑
| ■『志音(SHION)』【小説】 |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
第二章 「生存〜それぞれの刻〜」
シオン編 Next 02....
シオン編 Next 02....
「ウナル爺さん、爺さんは俺が倒れていた砂漠は良く通のかい?」
「あぁ、ザウの砂漠には薬になる薬草や小動物がいるからな。村で必要な時だけ取りに出かける事も有るんじゃ。」
「村にも畑が有ったけど、そこで栽培するとか動物を飼うとかした方が良いと俺には思うんだけど何故そうしないんだ?」
「確かに儂等の先祖もそう思ってやっては見たが、このガイラースの大地ではそこでしか育たないんじゃ、儂等はこのガイラースにはそれぞれの土地に住む精霊がおってその精霊の加護で生かされておると思っているんじゃよ。」
「精霊かぁ、俺には分からないけど、多分何かの力がそれぞれの大地を構成している物質の核になっていると・・・・爺さんには分からないかぁ。」
「難しい事はわからんが、言い伝えでは神がこのガイラースをお造りになった時はじめからその地に住む者達を決めており、その者達が暮らすために必要な物を精霊が与えてくれると言われておるよ。」
「じゃ、他の土地に行ったりはしないのか?」
「いや、それなりの交易は有るし、旅をしながら暮らす人々もちゃんとおる。だが何故か同じ祖先を持つ者は知らず知らずのうちに精霊に導かれそれぞれの土地に集まる様に成っておる。」
「爺さんはこのガイラースには色んな種族が暮らしていると言っていたが、多くの種族が居れば戦いも有るんだろうな。」
「あぁ、儂等が住むウタリの村はガイラースでも田舎じゃから、大きな戦いは起きないがこのガイラースには戦いが絶えないと良く聞くよ。こんな世界に住むんじゃから少しでも良い暮らしをしたいと言うのは分かるがそれが異種族で有るが為に、激しい戦が絶えないらしい。愚かなものじゃて。」
シオンはウナルの話がまるで空想の様に実感がもてなかった。
何故なら、確かに空は一日中夕暮れの様に薄暗く太陽も月も無いが、大地はそれ程自分が良く知る地球と変わらないしウナルの様な人々は地球にも居た。
自然と共に暮らすと言う意味ではシオンが知るその人達よりもずっと人間らしく暮らしている様にしか思えなかったのである。
「実はな、儂の息子夫婦も戦に敗れこの地に逃れてきた者達がウタリの村を襲ったとき戦いに巻き込まれて死んだんじゃ。元々儂等ウタリは戦いを好まんし人を殺める事を何より嫌ってこの地に住み着いた様なもんじゃから、たった3人の荒くれ者に村の若い者が何人も殺されたんじゃ。たとえどんな相手でも武器を持たねば命までは取られんかったものを・・・・」
ウナルは淡々と話して聞かせてくれていたが、その目にうっすらと涙が浮かんでいる様にシオンには思えた。
「シオン、少し休んだ方がええ。まだまだ先は長いからの。それに怪我が治ったと言っても傷が癒えたばかりの体力では少しきつい道行きじゃからの。」
「あぁ、そうさせてもらうよ。」
そう言ってシオンは藁を敷き詰めた荷台と言っても少々体に応える振動を我慢しながらも怪我の後遺症かまだ重く感じる体を横にして浅い眠りについた。
どのくらい眠っていたのか分からないがシオンは体の痛さに絶えかねて起きあがった。
「起きたか。よく眠っておったようじゃが。」
そう言って笑うウナルにシオンは痛む体をさすりながら苦笑いをしていた。
「どのくらい眠っていたんだ?」
「六目くらいかの。そろそろザウの砂漠が見える頃じゃよ。」
「そんなに眠っていたのか・・・・」
「着くまで寝かせておこうと思ったがどうやらシオンには荷台で寝るのはあわん様じゃな。」
確かにシオンは自分にはこういった乗り物は合わないと正直思っていた。
宇宙船やステーションで生きてきた自分にとってあまりにも原始的な乗り物であり体がガイラースに住むにはあまりにも非力な事を思い知らされていた。
「おっ、ザウの砂漠が見えるぞ。あれがザウの砂漠じゃ。」
ウナルが指さす方を見ると、そこには赤っぽい砂だけが広がっている大地がシオンの目に写ってきた。
「あれがザウの砂漠か、自分が思っていた砂漠より意外となだらかな荒野にみえるが・・・」
「確かにザウは砂漠と言うより荒野に近い。だから草も所々に生えておるし動物も暮らしている元々ザウとは、”生きている”と言う意味じゃからな。」
「ガイラースの砂漠はみんなこんな感じなのか?」
「いや、雨が全く降らない砂漠も有るし、大地の熱で灼熱と化している砂漠も有ると旅人から聞いておるよ。ガイラースでは大地の熱がその土地の気候を左右して居るんじゃ。」
「それも精霊が?」
「そう言う事じゃな。」
顔を見合わせて笑う、まるで親子のような二人を乗せた荷台は、ゆっくりとザウの砂漠を進んでいく。
やがて彼らの視界に小高く盛り上がった砂の山に白っぽい金属の様な物が埋まっているのが遠目に見えてきた。
「あれが・・・・・」
「そうじゃ。あそこでお前さんを見つけたんじゃよ。」
シオンは荷台の中で黙ってシャトルが埋まっている小高い砂山を見つめていた。
『どうやらコンテナやエンジン部分は無くなっているようだ。エネルギーサンプルの爆発か何かで吹き飛んだと言うことなのか・・・・』
砂山に到着するとシオンはすかさず荷台から降りてシャトルに覆いかかる砂を除け始めた。
「時間がかかりそうだから儂はしばらくその辺の薬草でも採ってくるよ。半刻ほどで戻って来るからの。」
「ありがとう。爺さん。」
ウナルは疲れた様子もなく又ゆっくりと砂山を後にした。
「それにしても良くこの状態で着陸出来たものだな。砂とは言え大気圏突入ならほとんど焼けこげてひとたまりも無いはずだが・・・・」
シオンがシャトルに覆い被さる砂を除けると、焼けこげた気配すら無いシャトルの先端部分がそこには有った。
だが後部を覗くと操縦室のドアから後部がまるで刃物で切ったような外壁と内壁の断面を露わになった。
「この断面を見ると切り取られたと言うより無くなったとしか思えないほど傷も無ければ熔けた形跡もない・・・・やっぱりあの時の空間の歪みが原因なのか・・・・」
シオンは科学者らしく周囲をこまめにチェックしていた。
工学的な知識を専門としているからこそ導かれる答えだが、どうしても説明が付かないものもある。
シオンがシャトルが滑走したと思われる砂の後を調べると5メートルほどの削られた後が残っては居たが、たとえ操縦席だけとは言えこれだけの質量を持つシャトルが5メートルと言うあまりにも短い滑走だけで止まるだろうか?それが不思議でしようが無かった。
『風や砂嵐で消えたようにも見えない・・・・あの時の速度は確か時速2000キロ以上は有ったはず、それだけの速度で墜落すれば粉々に成るのが普通だが・・・・・
どうやらこのガイラースが有る空間は通常の空間では無いと言うことか・・・・・・』
いくら考えても答えが見つからず、シオンは半開きに成っている操縦席の扉から中へと入っていく。
操縦席の窓からかすかに光が入っているがそれでも薄暗くシオンの目がその明るさに慣れるにはしばらくの時間がかかった。
明るさに慣れてきたシオンの目に映る操縦席は、確かに有る程度の衝撃で散乱しているがそれ程破損した様子もなく、最後に覚えている操縦席の状態とあまり変わっては居なかった。
『確かウナル爺さんの話では、扉のすぐ近くで俺は気を失っていたと聞いたが・・・』
倒れていたと思われるその場所にはシオンが付けていたトレーサーが落ちていた。
『ひょっとしてトレーサーに何か情報でも残っているかもしれない・・・・』
シオンはトレーサーの破損状況を調べたが別段異常は見あたらない。
トレーサーを装着しスイッチを入れるとシオンはトレーサーのシステムチェックとデーターの検索を始める。
「サーチ。地球周回軌道突入時からシステム停止までのデータをグラフ表示。」
トレーサーはシオンの声に反応し蓄えられているデーターを表示し始めた。
『北緯41度46分、東経140度40分・・・これが最終データか。北海道の函館の上空でトレーサーが止まったと言うことに成るな。しかしその時の速度は2754キロ・・待てよその時点でのセンサー数値が急激に上昇しているのはやはりサンプルの影響か・・・』
「サーチ。現在ののユリカ・セツナ及びレイ・ナゼルの座標及び身体データを表示。」
《同時刻、同座標時より一切のデータ送受信なし。トレーサーの故障または装着員によるシステム停止と判断します。その時点での身体データーは緊急回避を要請する音声データが残って居ます。》
『どうやらあの時を最後に違う空間に飛ばされたか、二人は消滅した・・・・・・』
シオンは二人の消息を完全に失った事に落胆する気持ちをグッと押さえ込み尚も検索を続けた。
「推測。最終データ時のセンサー数値で判断しシャトルの状況を判断せよ。」
《センサーの数値から予想される状況は後部シャトル並びにエネルギーサンプル用コンテナの消失、並びにその原因については推測不能と判断します。》
「爆発による消失とは考えられないか?」
《爆発による消失のデータパターンとは、明らかに相違が見受けられます。現在残るデータからはこの原因について推測は不可能です。メインコンピュータでも不能と判断されました。》
「なに!?メインが生きているのか?」
《バックアップシステムが作動していますが、パワー残量が10パーセントを下回っていますのでトレーサーからのアクセスのみメインからのデータを利用できます。》
「分かった。それでは引き続きサーチ。今現在このシャトルに残る装備の状況を表示。」
《検索中・・・・・》
《現在使用可能な装備は、携帯用医療パック3,緊急用サテライトポッド1,マルチ機動ユニット、クロム及びブルーム、船外作業用パイロットスーツ3以上が現在使用可能な装備です。但しマルチ機動ユニット・クロムは船外作業中の衝撃で機能の50パーセントダウン、ブルームは、システムがダウンしている為、再起動の必要が有ります。復旧修理が可能な装備は現在メインコンピュータがパワー不足の為検索出来ません。》
「了解した。」
『ブルームが無事だっただけでも俺には助かるな。しかしエネルギーの補充が出来なければ装備が残っていても使えないと言うことか・・・・』
「推測。現在利用可能なエネルギー補充法を推測。」
《推測中・・・・緊急用サテライトポッドの太陽電池パネルによる補充が考えられますがその為にはエネルギー充填用の受信アンテナを必要とします。その他の方法はデータ不足の為、推測不能です。》
「そうか・・・・ではブルームの再起動は出来るか?」
《再起動には、現在残っているエネルギーの95パーセントを使用する事に成りメインコンピュータを一時停止する必要が有りますが構いませんか?》
「あぁ、再起動後メインはバックアップを取り停止してくれ。」
《了解しました。それではマルチ機動ユニット・ブルームの再起動を開始します。》
すぐにトレーサーからメインコンピュータへの指令でブルームの再起動作業が始まった。
《ブーーン・・・・》
《再起動終了。メインコンピュータを一時停止します。》
「了解。ではブルームに指令。シャトルの残骸及び部品を使いサテライトポッドからのエネルギー受信用アンテナの制作を開始。終了後クロムを収容し補修修理を開始。」
《了解しました。》
そう言うとブルームは、シャトルに残る部品を流用して受信アンテナの制作に入った。
『これで何とかなりそうだな。メインコンピュータさえ復活できれば、シャトル自体の修復の可能性もある・・・・それじゃこのガイラースの情報を集めるか。』
「トレーサー、サテライトポッド放出後、周囲の状況並びにトレースを開始。」
《了解しました。サテライトポッドを発射します。》
シオンの指示に従いサテライトポッドがガイラースの上空めがけ発射された。
《只今、サテライトポッド上空500km迄上昇、2000km到達度データのトレースを開始します。》
ポッドは徐々にブースターの力で2000km上空を目指し上昇していく。
しぱらくして2000メートル上空に達したポッドは太陽電池パネルを展開しデータを集めだした。
『しまった!』シオンはポッドが宇宙空間用であり空中ではブースターの燃料がそれ程の時間、空中に止まっていられない事に気がつき舌打ちした。
「トレーサー!ポッドの燃料はどうなっている?」
《ポッドの燃料残量は0です。しかしこの地域の上空には重力の影響が無く一定座標に固定されて居ます。》
「そうか!良かった・・・・・」
『どうやらガイラースの謎が掴めそうだ。幸運というべきか・・・・』
自分の失態で大事な情報源と成るポッドを失ったかと思ったがガイラースの自然に助けられたとシオンは思っていた。
《サテライトポッドからデータ受信。現在ポッドは2000kmの上空に位置し、大気及び重力を関知できず。尚地上を捉えたカメラからの映像を受信中。この惑星の外周部をセンサーで探索した結果、現在シャトルが着陸している大地は直径1850kmの円球に大気が組成され、その中に平面上の地殻が存在。尚大気の形成に及ぼしているエネルギー反応は関知されません。1850km以上上空では、大気並びに気体物質は無く宇宙空間と酷似している模様。さらにポッドが制止する座標からは恒星、惑星の観測は不能。外部並びに地殻からの電波は受信されず。但し電離層が検出された為、エネルギーの補充は電離層から直接補充が可能現在、ポッドの静電反応からエネルギーの採取を開始。》
「やはりこのガイラースは特殊な空間に存在していると言うことか。」
《ガイラース・・・ガイラースとはこの惑星の事ですか?》
「あぁ、そうらしい」
《ガイラースと言う地名及び惑星はデータには存在しませんが。》
「分かって居る。ここは未知の空間だ、データに無くて当然だ。」
《理解不能ですが、データの採取を続行します。》
「ポッドから送られてきたガイラースの映像を見せてくれ。」
《了解しました。3次元処理を行った映像を表示します。》
トレーサーが映し出したガイラースの3次元映像はまるで球体の中に浮かぶ浮遊大陸の様に写っていた。
「これがガイラースか、まるで空中に浮かぶシャボン玉の様だな・・・・・・そう言えばそろそろウナル爺さんが戻って来る頃だな。」
「プログラム。最優先事項。クロム及びブルームの修復後、エネルギーの補充並びにシャトルのシステム復旧を指示。」
《プログラム設定。クロム及びブルームによるシステム復旧とエネルギー確保を最優先事項とします。尚プログラム完了まで893日を要します。》
「2年半かぁ、かなりの時間自力で生きなければ成らないと言う事か了解した。」
シオンはトレーサーからの回答を聞き携帯用医療パックとトレーサーを持ちシャトルを後にした。
しばらくして約束の時間通りにウナルが薬草を積んで戻ってきた。
「シオン、もう用事は済んだのか?」
「あぁ、とりあえずここはもう良いよ。リンが心配するといけないからそろそろ村へ帰ろう。」
「そうじゃな。村へ帰るとするか。」
ウナルはシオンが村へ帰ると言ってくれた事をうれしそうに笑った。
『しばらくの間、あの村でみんなと一緒に暮らすのも悪く無いなぁ。』
シオンは優しい人々が待つウタリの村が何故か恋しく感じていた。
Next Page03........
Close.↑
「あぁ、ザウの砂漠には薬になる薬草や小動物がいるからな。村で必要な時だけ取りに出かける事も有るんじゃ。」
「村にも畑が有ったけど、そこで栽培するとか動物を飼うとかした方が良いと俺には思うんだけど何故そうしないんだ?」
「確かに儂等の先祖もそう思ってやっては見たが、このガイラースの大地ではそこでしか育たないんじゃ、儂等はこのガイラースにはそれぞれの土地に住む精霊がおってその精霊の加護で生かされておると思っているんじゃよ。」
「精霊かぁ、俺には分からないけど、多分何かの力がそれぞれの大地を構成している物質の核になっていると・・・・爺さんには分からないかぁ。」
「難しい事はわからんが、言い伝えでは神がこのガイラースをお造りになった時はじめからその地に住む者達を決めており、その者達が暮らすために必要な物を精霊が与えてくれると言われておるよ。」
「じゃ、他の土地に行ったりはしないのか?」
「いや、それなりの交易は有るし、旅をしながら暮らす人々もちゃんとおる。だが何故か同じ祖先を持つ者は知らず知らずのうちに精霊に導かれそれぞれの土地に集まる様に成っておる。」
「爺さんはこのガイラースには色んな種族が暮らしていると言っていたが、多くの種族が居れば戦いも有るんだろうな。」
「あぁ、儂等が住むウタリの村はガイラースでも田舎じゃから、大きな戦いは起きないがこのガイラースには戦いが絶えないと良く聞くよ。こんな世界に住むんじゃから少しでも良い暮らしをしたいと言うのは分かるがそれが異種族で有るが為に、激しい戦が絶えないらしい。愚かなものじゃて。」
シオンはウナルの話がまるで空想の様に実感がもてなかった。
何故なら、確かに空は一日中夕暮れの様に薄暗く太陽も月も無いが、大地はそれ程自分が良く知る地球と変わらないしウナルの様な人々は地球にも居た。
自然と共に暮らすと言う意味ではシオンが知るその人達よりもずっと人間らしく暮らしている様にしか思えなかったのである。
「実はな、儂の息子夫婦も戦に敗れこの地に逃れてきた者達がウタリの村を襲ったとき戦いに巻き込まれて死んだんじゃ。元々儂等ウタリは戦いを好まんし人を殺める事を何より嫌ってこの地に住み着いた様なもんじゃから、たった3人の荒くれ者に村の若い者が何人も殺されたんじゃ。たとえどんな相手でも武器を持たねば命までは取られんかったものを・・・・」
ウナルは淡々と話して聞かせてくれていたが、その目にうっすらと涙が浮かんでいる様にシオンには思えた。
「シオン、少し休んだ方がええ。まだまだ先は長いからの。それに怪我が治ったと言っても傷が癒えたばかりの体力では少しきつい道行きじゃからの。」
「あぁ、そうさせてもらうよ。」
そう言ってシオンは藁を敷き詰めた荷台と言っても少々体に応える振動を我慢しながらも怪我の後遺症かまだ重く感じる体を横にして浅い眠りについた。
どのくらい眠っていたのか分からないがシオンは体の痛さに絶えかねて起きあがった。
「起きたか。よく眠っておったようじゃが。」
そう言って笑うウナルにシオンは痛む体をさすりながら苦笑いをしていた。
「どのくらい眠っていたんだ?」
「六目くらいかの。そろそろザウの砂漠が見える頃じゃよ。」
「そんなに眠っていたのか・・・・」
「着くまで寝かせておこうと思ったがどうやらシオンには荷台で寝るのはあわん様じゃな。」
確かにシオンは自分にはこういった乗り物は合わないと正直思っていた。
宇宙船やステーションで生きてきた自分にとってあまりにも原始的な乗り物であり体がガイラースに住むにはあまりにも非力な事を思い知らされていた。
「おっ、ザウの砂漠が見えるぞ。あれがザウの砂漠じゃ。」
ウナルが指さす方を見ると、そこには赤っぽい砂だけが広がっている大地がシオンの目に写ってきた。
「あれがザウの砂漠か、自分が思っていた砂漠より意外となだらかな荒野にみえるが・・・」
「確かにザウは砂漠と言うより荒野に近い。だから草も所々に生えておるし動物も暮らしている元々ザウとは、”生きている”と言う意味じゃからな。」
「ガイラースの砂漠はみんなこんな感じなのか?」
「いや、雨が全く降らない砂漠も有るし、大地の熱で灼熱と化している砂漠も有ると旅人から聞いておるよ。ガイラースでは大地の熱がその土地の気候を左右して居るんじゃ。」
「それも精霊が?」
「そう言う事じゃな。」
顔を見合わせて笑う、まるで親子のような二人を乗せた荷台は、ゆっくりとザウの砂漠を進んでいく。
やがて彼らの視界に小高く盛り上がった砂の山に白っぽい金属の様な物が埋まっているのが遠目に見えてきた。
「あれが・・・・・」
「そうじゃ。あそこでお前さんを見つけたんじゃよ。」
シオンは荷台の中で黙ってシャトルが埋まっている小高い砂山を見つめていた。
『どうやらコンテナやエンジン部分は無くなっているようだ。エネルギーサンプルの爆発か何かで吹き飛んだと言うことなのか・・・・』
砂山に到着するとシオンはすかさず荷台から降りてシャトルに覆いかかる砂を除け始めた。
「時間がかかりそうだから儂はしばらくその辺の薬草でも採ってくるよ。半刻ほどで戻って来るからの。」
「ありがとう。爺さん。」
ウナルは疲れた様子もなく又ゆっくりと砂山を後にした。
「それにしても良くこの状態で着陸出来たものだな。砂とは言え大気圏突入ならほとんど焼けこげてひとたまりも無いはずだが・・・・」
シオンがシャトルに覆い被さる砂を除けると、焼けこげた気配すら無いシャトルの先端部分がそこには有った。
だが後部を覗くと操縦室のドアから後部がまるで刃物で切ったような外壁と内壁の断面を露わになった。
「この断面を見ると切り取られたと言うより無くなったとしか思えないほど傷も無ければ熔けた形跡もない・・・・やっぱりあの時の空間の歪みが原因なのか・・・・」
シオンは科学者らしく周囲をこまめにチェックしていた。
工学的な知識を専門としているからこそ導かれる答えだが、どうしても説明が付かないものもある。
シオンがシャトルが滑走したと思われる砂の後を調べると5メートルほどの削られた後が残っては居たが、たとえ操縦席だけとは言えこれだけの質量を持つシャトルが5メートルと言うあまりにも短い滑走だけで止まるだろうか?それが不思議でしようが無かった。
『風や砂嵐で消えたようにも見えない・・・・あの時の速度は確か時速2000キロ以上は有ったはず、それだけの速度で墜落すれば粉々に成るのが普通だが・・・・・
どうやらこのガイラースが有る空間は通常の空間では無いと言うことか・・・・・・』
いくら考えても答えが見つからず、シオンは半開きに成っている操縦席の扉から中へと入っていく。
操縦席の窓からかすかに光が入っているがそれでも薄暗くシオンの目がその明るさに慣れるにはしばらくの時間がかかった。
明るさに慣れてきたシオンの目に映る操縦席は、確かに有る程度の衝撃で散乱しているがそれ程破損した様子もなく、最後に覚えている操縦席の状態とあまり変わっては居なかった。
『確かウナル爺さんの話では、扉のすぐ近くで俺は気を失っていたと聞いたが・・・』
倒れていたと思われるその場所にはシオンが付けていたトレーサーが落ちていた。
『ひょっとしてトレーサーに何か情報でも残っているかもしれない・・・・』
シオンはトレーサーの破損状況を調べたが別段異常は見あたらない。
トレーサーを装着しスイッチを入れるとシオンはトレーサーのシステムチェックとデーターの検索を始める。
「サーチ。地球周回軌道突入時からシステム停止までのデータをグラフ表示。」
トレーサーはシオンの声に反応し蓄えられているデーターを表示し始めた。
『北緯41度46分、東経140度40分・・・これが最終データか。北海道の函館の上空でトレーサーが止まったと言うことに成るな。しかしその時の速度は2754キロ・・待てよその時点でのセンサー数値が急激に上昇しているのはやはりサンプルの影響か・・・』
「サーチ。現在ののユリカ・セツナ及びレイ・ナゼルの座標及び身体データを表示。」
《同時刻、同座標時より一切のデータ送受信なし。トレーサーの故障または装着員によるシステム停止と判断します。その時点での身体データーは緊急回避を要請する音声データが残って居ます。》
『どうやらあの時を最後に違う空間に飛ばされたか、二人は消滅した・・・・・・』
シオンは二人の消息を完全に失った事に落胆する気持ちをグッと押さえ込み尚も検索を続けた。
「推測。最終データ時のセンサー数値で判断しシャトルの状況を判断せよ。」
《センサーの数値から予想される状況は後部シャトル並びにエネルギーサンプル用コンテナの消失、並びにその原因については推測不能と判断します。》
「爆発による消失とは考えられないか?」
《爆発による消失のデータパターンとは、明らかに相違が見受けられます。現在残るデータからはこの原因について推測は不可能です。メインコンピュータでも不能と判断されました。》
「なに!?メインが生きているのか?」
《バックアップシステムが作動していますが、パワー残量が10パーセントを下回っていますのでトレーサーからのアクセスのみメインからのデータを利用できます。》
「分かった。それでは引き続きサーチ。今現在このシャトルに残る装備の状況を表示。」
《検索中・・・・・》
《現在使用可能な装備は、携帯用医療パック3,緊急用サテライトポッド1,マルチ機動ユニット、クロム及びブルーム、船外作業用パイロットスーツ3以上が現在使用可能な装備です。但しマルチ機動ユニット・クロムは船外作業中の衝撃で機能の50パーセントダウン、ブルームは、システムがダウンしている為、再起動の必要が有ります。復旧修理が可能な装備は現在メインコンピュータがパワー不足の為検索出来ません。》
「了解した。」
『ブルームが無事だっただけでも俺には助かるな。しかしエネルギーの補充が出来なければ装備が残っていても使えないと言うことか・・・・』
「推測。現在利用可能なエネルギー補充法を推測。」
《推測中・・・・緊急用サテライトポッドの太陽電池パネルによる補充が考えられますがその為にはエネルギー充填用の受信アンテナを必要とします。その他の方法はデータ不足の為、推測不能です。》
「そうか・・・・ではブルームの再起動は出来るか?」
《再起動には、現在残っているエネルギーの95パーセントを使用する事に成りメインコンピュータを一時停止する必要が有りますが構いませんか?》
「あぁ、再起動後メインはバックアップを取り停止してくれ。」
《了解しました。それではマルチ機動ユニット・ブルームの再起動を開始します。》
すぐにトレーサーからメインコンピュータへの指令でブルームの再起動作業が始まった。
《ブーーン・・・・》
《再起動終了。メインコンピュータを一時停止します。》
「了解。ではブルームに指令。シャトルの残骸及び部品を使いサテライトポッドからのエネルギー受信用アンテナの制作を開始。終了後クロムを収容し補修修理を開始。」
《了解しました。》
そう言うとブルームは、シャトルに残る部品を流用して受信アンテナの制作に入った。
『これで何とかなりそうだな。メインコンピュータさえ復活できれば、シャトル自体の修復の可能性もある・・・・それじゃこのガイラースの情報を集めるか。』
「トレーサー、サテライトポッド放出後、周囲の状況並びにトレースを開始。」
《了解しました。サテライトポッドを発射します。》
シオンの指示に従いサテライトポッドがガイラースの上空めがけ発射された。
《只今、サテライトポッド上空500km迄上昇、2000km到達度データのトレースを開始します。》
ポッドは徐々にブースターの力で2000km上空を目指し上昇していく。
しぱらくして2000メートル上空に達したポッドは太陽電池パネルを展開しデータを集めだした。
『しまった!』シオンはポッドが宇宙空間用であり空中ではブースターの燃料がそれ程の時間、空中に止まっていられない事に気がつき舌打ちした。
「トレーサー!ポッドの燃料はどうなっている?」
《ポッドの燃料残量は0です。しかしこの地域の上空には重力の影響が無く一定座標に固定されて居ます。》
「そうか!良かった・・・・・」
『どうやらガイラースの謎が掴めそうだ。幸運というべきか・・・・』
自分の失態で大事な情報源と成るポッドを失ったかと思ったがガイラースの自然に助けられたとシオンは思っていた。
《サテライトポッドからデータ受信。現在ポッドは2000kmの上空に位置し、大気及び重力を関知できず。尚地上を捉えたカメラからの映像を受信中。この惑星の外周部をセンサーで探索した結果、現在シャトルが着陸している大地は直径1850kmの円球に大気が組成され、その中に平面上の地殻が存在。尚大気の形成に及ぼしているエネルギー反応は関知されません。1850km以上上空では、大気並びに気体物質は無く宇宙空間と酷似している模様。さらにポッドが制止する座標からは恒星、惑星の観測は不能。外部並びに地殻からの電波は受信されず。但し電離層が検出された為、エネルギーの補充は電離層から直接補充が可能現在、ポッドの静電反応からエネルギーの採取を開始。》
「やはりこのガイラースは特殊な空間に存在していると言うことか。」
《ガイラース・・・ガイラースとはこの惑星の事ですか?》
「あぁ、そうらしい」
《ガイラースと言う地名及び惑星はデータには存在しませんが。》
「分かって居る。ここは未知の空間だ、データに無くて当然だ。」
《理解不能ですが、データの採取を続行します。》
「ポッドから送られてきたガイラースの映像を見せてくれ。」
《了解しました。3次元処理を行った映像を表示します。》
トレーサーが映し出したガイラースの3次元映像はまるで球体の中に浮かぶ浮遊大陸の様に写っていた。
「これがガイラースか、まるで空中に浮かぶシャボン玉の様だな・・・・・・そう言えばそろそろウナル爺さんが戻って来る頃だな。」
「プログラム。最優先事項。クロム及びブルームの修復後、エネルギーの補充並びにシャトルのシステム復旧を指示。」
《プログラム設定。クロム及びブルームによるシステム復旧とエネルギー確保を最優先事項とします。尚プログラム完了まで893日を要します。》
「2年半かぁ、かなりの時間自力で生きなければ成らないと言う事か了解した。」
シオンはトレーサーからの回答を聞き携帯用医療パックとトレーサーを持ちシャトルを後にした。
しばらくして約束の時間通りにウナルが薬草を積んで戻ってきた。
「シオン、もう用事は済んだのか?」
「あぁ、とりあえずここはもう良いよ。リンが心配するといけないからそろそろ村へ帰ろう。」
「そうじゃな。村へ帰るとするか。」
ウナルはシオンが村へ帰ると言ってくれた事をうれしそうに笑った。
『しばらくの間、あの村でみんなと一緒に暮らすのも悪く無いなぁ。』
シオンは優しい人々が待つウタリの村が何故か恋しく感じていた。
Next Page03........
Close.↑
| ■『志音(SHION)』【小説】 |
|
◆ オリジナル小説 ◆ Comment 0 ◆ Trackback 0 ◆ edit.
第二章「生存〜それぞれの刻〜」
シオン編01....
シオン編01....
どのくらい時が過ぎたのだろうか?
暗い闇の中を彷徨い何かを探し続けている自分が何者なのか目覚めたばかりの彼には何一つ分からなかった。
ボーッとする意識の中、今自分は何をしているのか、自分はどこに居るのかそれ以上に自分が生きているのか、死んでいるのかさえ彼には理解できなかった。
かすかに感じる光の中で考えていた。
《どうしたんだろう?俺は何をして居るんだろう?》
「爺ちゃん!この人動いたよ!」
《誰だ?誰かの声が聞こえる・・・・》
何かを考えようとする意識を何かが阻むように遠のく意識の中、彼はあまりにも無防備だった。
《俺は・・・》
彼はまた深い眠りに意識を飲み込まれていく。
どのくらい寝ていたんだろう?
彼は暗闇から逃れるように深い意識の中から抜け出そうとしていた。
瞼に光が当たっているのか彼はまぶしさを感じながら重たい瞼を開こうとしたがまるで鉛のように重たく閉ざされたまま動かせなかった。
《俺はどうしたんだ?俺の体はどうなって居るんだ?》
彼は自分のものであるはずの体を動かそうとしたが、やはり動かなかった。
「あっ!とうさま!またこの人動いたよ。」
《またあの声だ。俺のすぐそばで誰かが・・・・》
「リン。静かに寝かせて置きなさい。」
「だって〜!この人七刻も眠ったままだよ。」
「仕方なかろう。こんだけの怪我をしてるんじゃから。生きているのが不思議なくらいじゃ」
《怪我?俺の事か?》
彼は未だもやの中に居るような意識の中、自分に何が起きているのか必死に考えていた。
《俺は何でここに居るんだ?・・・・》
だが彼には答えを出すことは出来なかった、それよりもそんな意識の中、何か大切な物を探していたようなそんな思いだけがこみ上げてくるのを感じていた。
《なんだ・・・この気持ちは?俺は何か大切な物・・・いや、誰かを捜して居た様な・・》
こみ上げてくるこの思いは彼に耐えきれないほどの
暗い闇の中を彷徨い何かを探し続けている自分が何者なのか目覚めたばかりの彼には何一つ分からなかった。
ボーッとする意識の中、今自分は何をしているのか、自分はどこに居るのかそれ以上に自分が生きているのか、死んでいるのかさえ彼には理解できなかった。
かすかに感じる光の中で考えていた。
《どうしたんだろう?俺は何をして居るんだろう?》
「爺ちゃん!この人動いたよ!」
《誰だ?誰かの声が聞こえる・・・・》
何かを考えようとする意識を何かが阻むように遠のく意識の中、彼はあまりにも無防備だった。
《俺は・・・》
彼はまた深い眠りに意識を飲み込まれていく。
どのくらい寝ていたんだろう?
彼は暗闇から逃れるように深い意識の中から抜け出そうとしていた。
瞼に光が当たっているのか彼はまぶしさを感じながら重たい瞼を開こうとしたがまるで鉛のように重たく閉ざされたまま動かせなかった。
《俺はどうしたんだ?俺の体はどうなって居るんだ?》
彼は自分のものであるはずの体を動かそうとしたが、やはり動かなかった。
「あっ!とうさま!またこの人動いたよ。」
《またあの声だ。俺のすぐそばで誰かが・・・・》
「リン。静かに寝かせて置きなさい。」
「だって〜!この人七刻も眠ったままだよ。」
「仕方なかろう。こんだけの怪我をしてるんじゃから。生きているのが不思議なくらいじゃ」
《怪我?俺の事か?》
彼は未だもやの中に居るような意識の中、自分に何が起きているのか必死に考えていた。
《俺は何でここに居るんだ?・・・・》
だが彼には答えを出すことは出来なかった、それよりもそんな意識の中、何か大切な物を探していたようなそんな思いだけがこみ上げてくるのを感じていた。
《なんだ・・・この気持ちは?俺は何か大切な物・・・いや、誰かを捜して居た様な・・》
こみ上げてくるこの思いは彼に耐えきれないほどの























