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■幽幻戦国絵巻?せぶん 
2005 12 06
Tue 17:22:18

オリジナル小説  Comment 0  Trackback 0  edit.

■幽幻戦国絵巻?せぶん?【小説】
■絵巻その二【別れ?そして出会い】
この道は、日本海から瀬戸内へ向かって何千、何万もの人々が行き交う。
ある者は、生きるために重い荷物を背負い一歩一歩見えぬゴールを目指し歩いていく。
又ある者は、やっと生まれた土地に帰れる喜びを胸に先を急ぐ。
険しい山道を抜け、川を渡り人それぞれの目的に向かってこの街道を歩いている。

そんなこの街道に小さな娘、二人をつれて黙々と歩き続ける集団があった。
僧侶か修験者の様なその出で立ちは、行き交う人々に異様な光景として写った。
「なんじゃ?」行き交う人々は、一時その奇妙な一行に目をやり聞こえぬ声でつぶやくが、ふっと我に帰り自らの目的地に向かって又歩き始める。

「姫様、疲れませんか?」白装束に身をまとった娘を気遣うように言いながら修験者風の一人がつかず離れず間合いを取り、その娘を守るように歩いている。
「大丈夫ですよ。紅蓮さん。まだまだ先は長いのですからこんなところで疲れたなんて言ったらノンちゃんに笑われちゃいます。」
そう言いながら娘は、紅蓮と呼ばれる修験者風の連れに微笑みながら答える。
「それにしても希望様は、元気ですね。あんな小さな体の何処にあれほどの体力を持っているのでしょう?」
先頭を元気いっぱい、鼻歌交じりで歩くどう見てもまだ子供の様な希望を見て紅蓮と呼ばれたその者が苦笑混じりでつぶやいた。
「そうですね。一番小さなあの子が一番元気な様です。」そう言って娘は笑顔を見せる。
「姫様はともかく、希望様にはこの旅は少々きつい様な気がしていたんですが・・・」
紅蓮が汗を拭きながらそう言うと、にっこり笑って娘が答えた。
「あの子は、おそらく体力では八家武闘衆の方々にも負けないと思いますよ。」
「えっ!?そうなんですか?」紅蓮は呆気にとられた様に答える。
「それと、紅蓮さん。姫様と呼ぶのを辞めてくださいませんか、誰かが聞いたらどこかの姫様と勘違いされます。」そう娘が言うと、紅蓮は真剣な顔で
「我々、八家武闘衆にとって、八家衆の方々は自らの命をもってお守りするべきお方です。ましてや姫様は、次期北門の当主となられるお方、私にとっては大事な姫様です。それに姫様も私をさん付けで呼ぶのをお辞め下さい。」真剣な顔の紅蓮を見て娘はからかうように言う。
「ではこうしましょう。私は紅蓮と呼びますので、紅蓮も私を咲耶と呼んでください」
「そっ、それは・・・」
そう言われた紅蓮には、場が悪そうに苦笑いをするしか無かった。
そんなたわいのない話をしながら咲耶達一行は平和な旅を続けるのであった。

「咲耶様、そろそろ日も暮れます。ここらで今夜の寝床を探しましょう。我々が手分けして探してきますので、咲耶様はここでお待ち下さい。」
八家武闘衆・師範、この一行のリーダー的存在の練鉄が、咲耶に告げると後続の八家武闘衆らに寝床となる場所を探させる。
咲耶はこれにうなずきながら、疲れた体を癒すために側にあった石の上に腰掛けた。
さすがに気丈な咲耶も一日中歩き続けるこの旅に疲れの表情を隠せなかった。
「さっちゃん!大丈夫?」一日中同じように歩き続けたはずの希望はまだまだ歩けるよ!と言わんばかりの明るさで咲耶の顔をのぞき込む。
「ううん。大丈夫よ。ありがとう、ノンちゃん!」
明るい笑顔の希望を見て、少し咲耶も元気を取り戻した。
「それにしても希望様は元気いっぱいですね」咲耶を気遣いながら紅蓮は希望の小さな体の何処にこれだけの体力があるのだろうかと、不思議でしようが無かった。
「父上の修行に比べたら全然大したこと無いよ」
「李宮家の方々は、皆武術に長けているとは聞いておりましたが・・・」
紅蓮はあまりの希望の明るさと、見えぬ底力の深さに言葉を失った。

やがて八家武闘衆の一人、界基が壊れ掛けた人家を見つけ咲耶達の元へ戻ってきた。
「練鉄様、もう少し先の方に、雨露をしのげるあばら屋があります。今夜はそこを寝床とした方が良いかと。」
その報告を受けた練鉄は、全員が集まるのを待って、あばら屋へと向かった。
あばら屋についた一行は、周囲の安全を確認した上で、咲耶達と共に中へと入る。

「こんばんは?ごめん下さい。はい!どうぞ!」

希望のひょうきんな一人芝居に一同は一日の疲れを忘れるような気持ちになれた。

その夜、咲耶は、これから起きるであろう苦難を忘れ深い眠りについていた。
その隣にはまるで赤子の様に希望も又、深い眠りの中にいた。

交代で周囲の見張りをする八家武闘衆達。
「兄上」見張りの交代に紅蓮が、兄・練鉄の元にやってくる。
「紅蓮、姫様達の様子はどうだ?」
「はい。ぐっすり眠っておられます。」
「そうか、姫様達には野宿の旅は、酷かも知れんなぁ」
そう言うと、練鉄は紅蓮に隣へ座るように合図する。
「確かに咲耶様はかなりお疲れのようですが・・・」
紅蓮が何を言いたいのか何となく練鉄には解った。
「希望様だろう??」
「はい。あの小さな体で八家武闘衆以上の力を秘めているとはどうしても信じられませんでしたが、旅を続ける中で、何となく解って来ました。」
「大人でも一日中歩き続ければ疲れも出ると言うのに、全く疲れたご様子が見受けられないばかりか、逆にあの笑顔で私たちが励まされます。」
「そうだな」そう言うと、練鉄はその場で横になった。
「紅蓮、お前もこの旅の危険さは解って居るとは思うが、いつどのような形であろうとも姫様達だけは、命に代えてもお守りする覚悟を忘れるな」
「解っております。選ばれた時から、自分の命は捨てております。」
「・・・・・・」
練鉄は浅い眠りの中、実直なこの妹を誇りに思うと共に、出来るなら無事に二人の姫と妹がこの運命を乗り越えてほしいと思うのであった。

日もまだ登り切らない次の朝、人気も無いこの街道に、先を急ぐ咲耶一行の姿があった。



一行の旅は続いた。
険しい峠をいくつも超え、関所と言われる何処の大名の管轄下も解らぬ、人々を苦しめる只金儲けの為だけに作られたにわか作りの門をくぐり抜けながら咲耶一行は黙々とこの街道を進んでいく。
最後の峠、黒ヶ岳の麓までやっとたどり着いた一行は、夜の峠越えを避け宿場町に居た。
「咲耶様、今から峠を目指すとなると夜になってしまいます。今宵はこの宿場で宿を取りましょう。よろしいですか?」
練鉄が咲耶の体を案じ最後の難所であるこの峠を越える前に宿で一休みする事を提案する。
「そうですね。たまには宿で寝るのも良いですね」
練鉄の自分を思う気持ちに気がつくと共に、毎晩夜通し交代で見張りを立てている八家武闘衆らを案じ笑顔で答える咲耶であった。
「ノンちゃん!ここには温泉があるみたいだから、あとで紅蓮と三人で入りましょう。」
それを聞いた希望は、いつにもまして満面の笑顔で喜んでいる。
「ね?ね?さっちゃん!ここには名物とかもあるかな?」
目をきらきらさせて希望が言った。
「ノンちゃん、やっぱり食べ物の方がいいのね。」
「希望様、温泉には温泉まんじゅうが付き物ですよ。」そう紅蓮が言うと「うおぉ?!!!」希望は益々目を輝かせてはじゃぎ回っている。
そんな希望にいつも力を貰っていると改めて思う咲耶と八家武闘衆の一行であった。

一行は、宿場の客引きの案内のままに一軒の宿に入った。

「ふ?っ??やっぱり温泉って良いね?」
「そうね?旅はやっぱり温泉が一番ね。」
「あれ?咲耶様は旅は初めてでは無いのですか?」
ちょっと不思議に思い紅蓮が咲耶に聞く。

「はい。初めてです!」

にっこり笑う咲耶に思わず紅蓮も吹き出した。
「紅蓮は色んな所を旅することもあるんだよね?」
真っ赤なほっぺたに茹で上がった希望が聞く。
「私もこういった旅は初めてですが、良く修行の時など、隠れ温泉を見つけ入ったりもします。」
「良いなぁ?私も隠れ温泉入りた?い!今度つれてってよ!」
「良いですよ。この旅が終わったら三人で一緒に行きましょう。」
「約束だよ!紅蓮!」
そう言うと希望は、赤いほっぺで益々子供っぽくなった顔で笑った。
その夜、久しぶりに布団で寝る咲耶は中々寝付けなかった。
希望は安心しきって横ですやすや眠っている。
寝付けぬ体を起こし、宿の窓越しに見える黒ヶ岳を眺めながら何となく不安に感じる自分が居た。

〈何か得たいの知れない物が近づいているような感じがする〉
心の中でそうつぶやきながら、益々大きくなる不安と戦っていた。
しかし無理をしてでも今、体を休めて置かなければこれからの戦いを生き延びる事は出来ないと自分に言い聞かせ、眠れぬ体を横たえる。
そのうち疲れ切った体と温泉の為か、うとうとと浅い眠りにつく咲耶であった。

次の朝、咲耶は温泉のお陰か、体からは疲れがとれていたが昨晩の不安から、体とは逆に重い意識で朝を迎えた。

咲耶が目覚めた時にはすでに八家武闘衆らは身支度を済ませ、咲耶と希望を待っていた。

「咲耶様、お体の疲れはとれました?」
紅蓮のいつもとは違う優しい言葉を聞いた咲耶は、重い意識を振り払い笑顔で紅蓮に答える。
「え?、やっぱり温泉のお陰かしら。すっかり疲れもとれましたよ。」
「紅蓮ちゃん?おはよう?」〈むにゅむにゅ・・・〉
まだ寝ぼけ眼で起きあがった希望を見て、咲耶と紅蓮は思わず吹き出していた。
素早く身支度を済ませ、宿屋を出た一行は、咲耶の不安を胸に黒ヶ岳へと向かった。

いつもと変わりなく黙々と峠を登り始める一行の中で、咲耶は先頭の練鉄に追いつき昨晩から感じ始めた不安を話し始める。
「練鉄さん、お話があります。」
咲耶の方から話しかけることがあまりなかった為か、練鉄は少し驚いた。
「どうかなされましたか?咲耶様」
「実は昨晩からこの黒ヶ岳に何となく不安を感じるのです。」
いつになく真剣な面もちで話す咲耶の話を聞いて練鉄はこの峠で何かが待ち受けて居ることを悟った。
「どのような不安かは解らないのですか?」
その練鉄の言葉に、少し困った咲耶が話を続ける。
「今まで悪しき気の流れは、出雲に居た頃から感じては居ました。でも今感じている不安は、そう言った物ではなく、私たち自身に起こる災いへの不安の様な感じがしてならないのです。」
「解りました。いつでも戦える準備をしながら進みましょう。」
「はい。」
そう言うと練鉄は、八家武闘衆一人一人に陣形を変えて進むよう合図する。
咲耶と希望を中央にして取り囲むような陣形を取り始めた。
「紅蓮、咲耶様と希望様の側を絶対に離れるのではないぞ。良いな。」
「兄上。心得ております。」
そう言って紅蓮は、咲耶と希望の前を歩き始めた。
先頭に、練鉄、次に紅蓮、咲耶と希望を挟むように、剛士、炎連、界基、央峰が両脇を囲い、朱連、甲礼、常念、才陣が後方を守る。

言い切れぬ不安と共に一行は、峠の頂上に辿り着く。

「今のところはなんの気配も感じませんね。」
「・・・・・・」
いやっ!近くにいる!そう咲耶は益々強くなる不安を感じていた。
「近づいています。人とも言えぬ何か得たいの知れない気が・・・・」
その言葉に練鉄、紅蓮、後方の八家武闘衆へと周囲の警戒を強めるよう指示する。

その時!
(ザザザザーーーー・・・・・・・)
何者かが茂みをかき分けて近づく音。
その音を聞いた練鉄は、
「少し早足になりますよ。良いですね。お二方。」そう告げると咲耶と希望は八家武闘衆の動きに合わせるように早足で動き始めた。

(ザザザザーーーー・・・・・・・)
(ザザザザーーーー・・・・・・・)
(ザザザザーーーー・・・・・・・)

『音が増えている・・・・』練鉄はドンドン増える音と人間とは思えない怪しい気配を今、はっきりと感じ始めていた。

『こやつら、思った以上に素早い!』

(ザザザザーーーー・・・・・・・)
(ザザザザーーーー・・・・・・・)
(ザザザザーーーー・・・・・・・)

益々増えていく気配に、練鉄は八家武闘衆に陣形を保ちながら全速力でこの場を駆け抜ける様に指示する。
急に早くなった八家武闘衆に遅れまいと咲耶は必死に走った。

(シュッ!シュッ!シュッ!)
(シュッ!シュッ!シュッ!)
(シュッ!シュッ!シュッ!)

『ダメだ!このままでは確実に囲まれてしまう。』練鉄は迷った。
このままでは咲耶さまが保たない。
そう悟った練鉄は、紅蓮に指示を与える。
「紅蓮!姫様達と先へ行け!」
それを聞いていた咲耶が練鉄に向かって声をかける。
「いけません!バラバラになってしまっては・・・・」
「解っては居ますが、相手が普通の人間ならともかく、我らと同等かそれ以上このまま逃げ切れるとはとうてい思えません。我らが奴らの足止めを致します。その間にお二人は紅蓮と共にお逃げ下さい。」
「しかし・・・・」戦闘のプロである練鉄の考えを変えるほどの戦術は自分にはないと解っている咲耶は練鉄に従う以外にない。
「私も戦う?!」希望が真剣な眼差しで練鉄に訴える。
「いけません!姫様方はこんなところで戦う為に旅をしているのでは無いのです!
 我らの事よりも、これからの事をお考え下さい!」
「・・・・・・」希望にも練鉄の気持ちが痛いほど分かっていた。
心を決めた咲耶は練鉄らに向かって・・・・
「解りました。私たちは先へ進みます!でも必ず追いついて来てください!」
「ご心配下さりありがとう御座います。必ず生きて会いましょう。」
そう言い放つ練鉄であったが、敵の多さと悪気の強さからもう二度と会えぬ事を覚悟していた。

その時!茂みの中から素早い動きと身のこなしで、数人の怪しい気配が飛び出してきた!
〈カキーン!〉思わず受け止めた練達。
そして一行が見たその敵の正体は、紛れもなく人!?
だがそれは違っていた。
野武士の姿をしているが、その目に生気が感じられない。
二撃目が、紅蓮を襲う。
「とりゃー!」〈カキーン!〉
紅蓮の一撃が野武士の腹部を直撃!
『倒したか?』そう思った紅蓮の目の前で、倒したはずの野武士が何も無かったように立ち上がる!
『何?!』紅蓮は困惑した。確かに手応えはあった!
「紅蓮!この人達に生気は感じられません!死人です!」
その咲耶の言葉に、八家武闘衆は当惑した。
その間にも何度と無く、切り込んでくる野武士・・・いや!死人!
「とりゃー!」
「はっ!」
八家武闘衆一人一人が、死人の攻撃を交わしつつ疾走する。
「どこかに死人使いが必ず居るはずです!その者を倒さなければ・・・!!」
咲耶の言葉に練鉄は動いた!
もっとも悪しき気が集中する場所に、死人を操る物が居る!
そう思った瞬間!練鉄は小石を拾い念を込め始める。
「そこかぁー!!」
「ぐはっ!」
何者かに当たる気配を感じた瞬間、その死人を操る物が姿を現す。
「今のうちにお逃げ下さい!姫様!! 紅蓮!!!」
「兄上ー!」
そう言うと、紅蓮は二人の姫様を連れ、練鉄が開いた逃げ道を駆け抜ける。
「追えー!」
死人使いの言葉に数名の死した野武士が追おうとした時!
「はぁー!!」練鉄の念を込めた小石の連打で死人達は倒れる。
「なかなかやるなぁ?八家武闘衆」
「なに?何故我らの事を知っている??!」
敵の口から自分らの名前を聞いて、練鉄は絶句した。
「貴様ー!何者!?」
その言葉に反応したのか、死人使いと死人らは、練鉄らを囲うように取り巻き始めた。
『全部で五十体は居るのか!?だが何体居ようともこの死人使いを倒せば・・・』
練鉄たち八家武闘衆は、円陣を組み周囲を囲んだ死人と対峙した。
「ほ?真っ向から戦うつもりか?果たして貴様らごときで我が死人衆を倒せるかな?」
そう言うと死人使いは、不敵な笑みを浮かべた。
「貴様!何者!?何故に我らを襲う!?」
「まぁ?これから殺される相手の名前も知らずと言うのもかわいそうだなぁ?」
そう言って死人使いは血のような真っ赤な唇を歪ませてにやぁ?と笑った。
「我が名は、今川義元!千鬼の死人軍を率いる、戦鬼が一人!」
「何?!今川義元だと!」
あまりにも有名な武将の名を聞いて、練鉄は戸惑いを隠せなかった。
「何を言う!今川義元は百年前織田軍と共に滅びたはず!戯れ言を言うな!!」
「戯れ言だと?!!貴様らごとき虫けらに嘘を言ってどうする!!」
薄笑いを浮かべていた今川義元と名乗るこの死人使いは、先ほどとはうって変わって怒りの形相に変わっていた。

「我は百年前、あるお方より不老不死の力を得たのじゃ!そしてこの軍団を頂いた!そのお方が、お前らのような虫けらが居たのでは目障りだとおっしゃるのでな。」

あまりにも荒唐無稽な話を聞かされ、練鉄らは自分の耳を疑った。
「今川義元と名乗る悪しき鬼め!我ら八家武闘衆が地獄へ送り返してくれる!!」
「貴様らごとき人間風情が我にかなうかぁ?おろかものめ!!」
「八つ裂きにしてくれるわー!!」
今川義元と名乗る死人使いの号令で全ての死人軍は八家武闘衆めがけ一斉に飛びかかった。
「うおぉりゃー!・・・・・・・・・」
だが八家武闘衆といえども人間である。
倒しても倒しても尚、起きあがってくる死人軍に一人、又一人と倒されていく。
「剛士!炎連!界基!央峰!朱連!甲礼!常念!才陣!?!!!」
奮戦むなしく倒されていく・・・・・
追いつめられた練鉄。
『紅蓮!姫様たちを頼む!』心の声が森の中をむなしく響く。
「うおぁーーーー・・・・・・!!!!」



紅蓮、咲耶、希望の三人は必死で走っていた。
『兄上・・・』心の中で兄の身を思う紅蓮。
『みんな!無事でいて!』咲耶も必死に心の中で叫んでいた。
三人は一気に峠を駆け下りていく。
必死に戦っている八家武闘衆の雄叫びを背に受けながら。
だが必死に走っているはずなのに、一向に悪しき気配が消えない・・・
逆にドンドン近づいてくる・・・・
咲耶ら三人はそれぞれにその気配を感じていた。
『このままでは追いつかれてしまう・・・兄上・・・』
紅蓮はそう心で言いながら覚悟を決めた。
『兄上!ごめん!』
「咲耶様ー!このままでは追いつかれます!私が足止め居たします上お逃げ下さい!!!」
その言葉に、二人は足を止めた。
「何を言うのですか!紅蓮一人置いて逃げられません!」
「そうだよ!紅蓮ちゃんが残るなら私も残る!」
「お忘れになりましたか!?お二人の戦う場所はここではありません!」
「でも・・・・」紅蓮の言葉に咲耶と希望は返す言葉を失った。

「昨晩は楽しゅう御座いました。やはりお二人とも私にとってはかけがえのない姫様です。どうかこの紅蓮のわがままお許し下さい。」
その言葉を聞いた咲耶と希望。
「生きて又会いましょう。紅蓮」
「はい・・」
「三人の約束忘れちゃイヤだよー!」
「希望様・・・」
紅蓮の目に大粒の涙がこぼれる。
三人は頷きながらそれぞれの無事を祈った。

咲耶と希望は走った。
止めどなく流れる涙をこらえ、ただひたすらに麓の村を目指し。
どのくらいの時間走り続けたのだろう・・・
後方で紅蓮の鉄火連撃が炸裂する音が響き渡る。
だがその音もいつしか遠くなり、聞こえなくなりながらも二人は走り続けた。
苦しい旅を共にいたわりながら続けた大切な仲間。
今その大切な仲間を失い、只逃げるだけしかできない。
咲耶は悔しかった。
自分の力の無さに・・・・・

だが彼らの力もむなしく、悪しき気は二人を追ってくる。
ひしひしと感じるその恐怖感。
自らの命を盾に自分たちを逃がしてくれた仲間。
大いなる戦いのために投げ出してくれた命。
その全てが無駄になってしまう恐怖・・・・・
だが二人には逃げることしか出来なかった。
やがて二人の目に麓の村が見える・・・・
『村に着けば・・・・』
『村に着けば・・・・』
咲耶にはその村に着けば助かる。そう信じて走る以外何も無かった。
只がむしゃらに走り続けた。
「村だー」希望のその声に咲耶が『助かる・・・』そう思った瞬間!
咲耶の右腕に激痛が走る。
その激痛にたまりかねた咲耶は村の入り口で倒れ込む。
「さっちゃん!」
そう叫んだ希望は、とっさに咲耶をかばい龍金闘を構える。
だが、二人の周りにはすでに4,5体の死人が囲んでいた。
襲い来るその死人の攻撃を必死に交わす希望。
何度と無く倒すが、倒しても倒しても起きあがる死人たち。
もうあたりは暮れようとしていた。
どのくらい戦っているのだろう?
希望は何度も何度も死人を倒しながら考えていた。
咲耶の意識はもう無い。
倒れている咲耶を見ても希望にはどうすることも出来ない。
倒しても倒しても何度倒しても向かってくる。
その恐怖心と戦うだけだった。
『もうこのまま死んじゃうのかな?』希望があきらめかけた・・・・

その時!

一条の紫の光が希望の前をかすめ、死人が倒れる。
希望には理解できなかった。
今何が起きているのか。
倒れても起きあがってくるはずの死人が骨と化して消えていく・・・・
又、紫の光。
疲れ切り気が遠くなる希望の意識。
いつの間にかいくら倒しても倒せなかった死人が居なくなっている。
薄れゆく意識の中、希望の目の前に紫の光を帯びた剣をかざし自分を守ってくれている人がいる。
『あれ?・・・・・・・』
遠のく意識の中、希望はかすかな甘い花の匂いを感じながら気を失う。
『おやすみ・・・・さっちゃん・・・・』


絵巻その二「別れ?そして出会い」終わり。

絵巻その三「友情?そして誤解」へ続く。

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