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■幽幻戦国絵巻?せぶん 
2005 12 06
Tue 17:26:52

オリジナル小説  Comment 0  Trackback 0  edit.

■幽幻戦国絵巻?せぶん?【小説】
■絵巻その四【罠?そして魔の森】
ここは深い森に隠れるように作られた一部の者のみしか知らず、よそ者を決して近づけようとしない。
まるで陸の孤島の様に、外部と遮断された様に一つの部族がひっそりとその暮らしを営んでる伊賀の里。
何処にでも有る日常のように洗濯をし、子供をあやし、男たちは田を耕しある者は何かの道具の手入れをしている。
そんな一見普通の何処にでも有る村の風景でもある。

そんな極ありふれたそんな村に、黒っぽい衣装に身を包みこれも又この村には似つかわない旅の者と思われる一行がやってきた。

そんな彼らを待ちわびたかのように、子供たちが群がりはじめそれを見た大人たちもその一行に目を向ける。
大人たちの一人が黒っぽい衣装のリーダーと思われる者の合図を受けどこかへと向かった。
「青燕!そやつらは・・・・」
一人の男が、問いただすように青燕と呼ばれる黒っぽい衣装のリーダーにそう言うと青燕はその言葉を制し、三人にこの場で待つように指示をする。

先ほどの村人がこの村の長老と思われる者を連れて戻ってくる。
青燕は、その長老の前に歩み出ると、何かを話し始めた。
「親方様、この者達は私の判断で親方様に会わせたく思い連れて参りました。」
「お前が認めたからにはお前にも考えが合っての事とは思うが、この里に直接つれて来る必要が有ったのか?」
「私も直接この里に連れてくることには、ためらいも御座いましたが、先日の異国の者と何らかの関わりが有るらしく、それについても親方様と直接会わせた方が無難かと思いこうして連れて参りました。独断では有りますがお許し下さい。」
そう言うと青燕は深く頭を下げた。
「まぁ?お前ほどの者が認めた旅人。むげに追い返す訳にもいかんな。」
そう言うと、長老は一つの家を差し、三人をそこへ通す様命じた。
長老は、先ほどより臆することなくこの成り行きを見守る咲耶を見て何かを感じていた。

三人は長老が指示した一つの家へと通されると、少し広めの部屋で待つように指示された。
咲耶達は今は指示に従うのが一番と思いこの部屋で静かに待っていた。

しばらくすると、村の長たちと思われる五人の男が長老と共にこの部屋に入ってきた。
そのまま上座へと座ると長老は咲耶の顔をじっと見つめるとゆっくりと話しはじめる。
「青燕から事の成り行きは聞いた。そなたたちを見る限り、我らに危害を加える輩とは思えんが、どのような理由でこの森へ入ってきたか今一度そなたたちの言葉で伺いたい。」
咲耶はこの長老が、未だ三人を計りかねている事に気がつき旅の目的を事細かに話し始めた。

「私は出雲の守護職・八家衆がひとり、真宮咲耶と申します。
 私たちは八家衆宗家・八百比丘尼様の命により、日の本にはびこる悪気の探索を目的に関東を目指し旅をしております。
 その途中、私たちは何者かの奇襲を受け、合流すべく仏教国の方々と堺で落ち合うはずでおりましたが、間に合わず先に出立した仏教国の方々を追いこの森を目指して参りました。
 先ほど青燕様とお話を致しましたが、先日この森で異国の一行を捉えたと聞き、こうして青燕様にご案内頂き親方様にお目通り願いたく参上致しました。」
長老たちは咲耶の口上や身なりを、まるで品定めでもするように注意深く聞き入っていた。
「咲耶と申したな。そなたの申すことあい分かった。」
そう言うと長老は控えていた配下の者になにやら指示を与えた。
「どうやら我々は警戒のあまり、判断を見誤って居たようですな。」
そう言って長老は目を閉じ何かを考えて居るようだ。
「咲耶殿、そなたら八家衆が悪気の探索とは言え、そなたのような巫女を直接送って来るとは我々が考える以上にこの日の本に危機が及んでいると言うことの様じゃな。」
「はい。事はこの日の本だけではなく、他国にまで及んでおります。他国を含めこの日の本でも戦乱が続き、人々は疲弊しきっており、それ故心ある者達がこうして関東を目指し行動を起こしております。」

咲耶は長老やこの村の長らを前に、ひるむことなく自らの心境を話して聞かせた。
「今までにも何度と無く、私たちの様に探索を目的に関東を目指した者たちがおりますが未だに誰一人戻らず、悪しき気の詳しい所在など、全てが未だ謎のままです。
 しかしその悪しき気も益々強くなるばかり。一刻もその真意を確かめ良き方向へと導き平安を取り戻すことこそが我らに託された役目と思っております。」
長老は咲耶のその真剣な眼差しに、彼女に託された運命とも言うべき物を感じ取っていた。
「確かに諸国を始め、ここ伊賀の森にも悪しき気配が渦巻いていることは知っておったが我々が考える以上に逼迫した状況とは。」
「しかし、いかにそなたらと言えど、関東へ到着する事さえままならぬほどここより北は悪しき気が集中しておる。例え異国の者達が加勢したと言え、無事に到達出来るかどうかわからん。それでも尚、進むと言うのか?そなたは。」
長老のその言葉にも臆することなく、咲耶はきっぱりと答えた。
「無論で御座います。
 出雲より旅立った時から命に代えてもこの役目は重要だと認識しております。」

怯むことなく、言い放つ咲耶を見て、長老は決断した。

「分かり申した。そなたの決意、決して疑う余地のない真意と心得ました。ならば我ら伊賀の物とて世を憂う気持ちは同じ。出来る限りの協力は惜しみませぬ。」
先ほどとはうって変わった長老の敬愛に満ちた態度であった。
「ありがとう御座います。」
深く頭を下げる咲耶に、長老としてではなく幾多の戦いをくぐり抜けた一人の戦士として目を輝かせる長老であり伊賀の忍びを束ねる頭領がそこに居た。

長老より指示を受けた若者は、異国の者を捉えている牢へと向かっていた。

そこは洞窟を利用した岩に囲まれた自然の洞窟牢でもあり、鉄格子にその入り口を塞がれ、どんな剛腕の持ち主でも破ることの出来ない堅牢な牢でも有る。
「ここは・・・・」
昨夜より眠り薬を香がされ意識を失っていたジュハが目覚める。
同じようにここへ連れて来られた一行は、眠り薬が切れたのかまたひとり、またひとりと目覚め始めていた。
「ジュハ様ご無事ですか?」
仏教国のリーダー、ジャハムドがジュハの体を心配し、声をかける。
「えぇ、何処にも怪我は有りません。それより他のみんなは無事ですか?」
「はい。全員、命には別状有りません。」
それを聞いたジュハは、側でもうろうとする意識と戦っている、あまめを見つけ声をかけた。
「あまめ!良かった!無事だったのね。」
その言葉に、あまめもジュハの無事を知り安堵していた。
「それにしてもジュハ、ここは何処なんだ?俺たちどうしたんだろう?」
「分かりません。何者かに襲われたのは確かなのですが、私も今目覚めたばかりで・・・・」
暗いこの牢の中をくまなく調べていたジャハムド。
「どうやらここは洞窟の奥に作られた牢の中のようです。あたりには見張りらしき者も居ないようですが・・・」
「じゃー!こんな鉄格子ぶっ壊して逃げようよ。」
そう言うあまめをジュハは止めた。
「ここはしばらく様子を見た方が良いかと思います。敵の正体も知らず行動するのは昨晩の様に又、捉えられるのが落ちです。」
ジャハムドの言葉に、あまめは不満を感じたが、ジュハも同じようにうなずくのを見てその言葉に従うことにした。


その時、明るい入り口の方から、足音が聞こえる。

「誰か来たようですね。」
ジュハのその言葉に一行は身構える。

薄暗い洞窟を松明を持った青燕が二人の仲間を引き連れて入ってきた。
「お目覚めでしたか」
そう言うと、青燕は一人の男に牢を空けるように指示をする。
「大変申し訳ないことを致しました。あなた方が仏教国の使者とも知らず無礼なまねを。」
それを聞いたジュハが少し驚いた。
「何故、我々の事を知って居るのですか?」
「あなた方を追い求め、今朝、八家衆の方々がこの森へ参りました。その方々より異国の方々の話を聞き、あなた方がその仏教国の使者で有ることが分かりました。この里を守るためとは言え、一方的に襲ったこと、深くお詫び致します。」
そう言うと、青燕は深く頭を下げた。

突然の成り行きにジュハたちは困惑していた。
「それで八家衆の方々は今どこに?」
「今、我らが親方様とお話ししております。」
そう言うと青燕は解き放った牢より一行を誘導すると出入り口へ向かった。


一行は誘導されるままに獣道を通り、伊賀の隠れ里に出た。
「こんな所に人里があったとは・・・・」
ジャハムドのその言葉に、青燕が答えた。
「我々はこの里を拠点としてこの森を守るこの国では忍者と呼ばれる一族です。」
「忍者・・・・」
どこかで聞いたことがあるとあまめは思った。
「そう言えば親父から、昔聞いたことがあるよ。時には豪族などに仕え戦いを影から支える集団とか・・・忍法とか言うふしぎな力で相手を倒すって。」
そう言うあまめを見て青燕は不思議に思った。
「そう言えばあなたは日の本の人とお見受けしますが・・・・」
「あっ!俺はジュハたちが乗ってきた船の船乗りなんだ!」
「船乗り?船乗りが何故彼らと一緒に居るのですか?」
あまめはその疑問ももっともだと思った。
「えーと、簡単に言えばジュハは俺の大事な友達だからなんか手伝おうとおもってさ。」
そう言うとあまめはジュハを見てにっこりと笑った。
青燕はあまめとジュハの笑顔を見て信頼に値すると感じていた。

「ここです。ここで皆さんがあなた方をお待ちです。」
そう言って青燕は咲耶達が待つ一軒の家を指さす。
案内されるままにジュハたち一行はその大きめの屋敷らしき家へと入っていった。

「親方様。異国の方々をお連れしました。」
そう言うと青燕は、一つの部屋へ入るようジュハたちを招いた。
そこには親方と呼ばれる長老と五人の長、そして少女二人と剣豪らしき女が彼らを待っていた。
「例え我が身を守るためとは言え、一方的に襲い牢に閉じこめるなど、数々のご無礼誠に申し訳無くなんとお詫びを申せば良いやら。平にご容赦願います。」

その丁重な長老の言葉に、さすがのジュハ一行も怒る気にはなれなかった。
「いいえ。私たちとて無断であなた達の森へ分け入ったのです。謝るべきは私たちの方です。」
そう言ったジュハに長老一同は、ただただ頭を下げるだけだった。
その光景を見て咲耶が口を開いた。

「私は出雲の八家衆が一人、真宮咲耶と申します。この度は我らが不手際からこの様な事になり誠に申し訳なく思います。」

そう言って礼を尽くす咲耶を見て、ジュハも仏教国の使いとして礼を尽くし答えた。
「お互いこの旅の大変さは、存じております。あまりお気遣いなされません様に。」
そう言って咲耶に一礼をするジュハであったが、たった三人の八家衆と紹介された事で道中に何かがあったことを悟っていた。
そんな彼らを見ていた希望が面白そうに・・・
「なんかみんなで謝ってばかり居てなんか変だね。」
そう言ってにっこり笑う。
その希望の笑顔を見て一同は、顔を見合わせ希望の笑顔につられたのか一瞬にして和やかな雰囲気に変わっていた。

そしてそれぞれの自己紹介が終わり、偶然とは言えここに集まる事が出来た戦士たちはこれからの事を話し合った。

「このまま尾張へ向かうためには、甲賀の森を抜けなければなりません。
 甲賀も又我々のように忍びの一族が治める所。あなた方だけでは難儀なことと思われまする。
 それにあなた方の使命は、我らが一族にも関わる大事な使命であり、強いては日の本の運命さえ左右する大儀。及ばずながら我ら伊賀の者も行動を同じくするべきと存じます。微力ながら我々には青燕を始め数名の手練れが居ります上、この旅への同行をお願いしたく」

そう言って長老は、青燕たち十名の忍びをこの場に呼び寄せた。

「戦力はいくらでもほしいと思います。しかし大切な配下の方をお連れしたのではこの森の守りが手薄になってしまわないのですか?」
「咲耶殿、ご安心下さい。この里に居る者は全て歴とした忍び。それにこれは伊賀の森を守る戦いでも有るのです。われらとてこの世の平安を思うのは同じ。どうか遠慮なさらず我らの力をお使い下さい。それに我々の手で甲賀と手を結ぶ事も出来るやも知れません。」

「お心使い感謝致します。」
そう言って咲耶は深々と頭を下げた。

その夜、一同は伊賀が持つ情報を元に、尾張への道筋これからの行動など出来るだけ事細かに話し合っていた。

次の朝、出立の準備を済ませた一行は、伊賀の忍びを先頭に尾張を目指し森の中へと消えて行った。




「義元!義元は居るか!!」
漆黒の闇の中から戦鬼が一人、今川義元を呼ぶ声が、静寂を破り周囲にこだまする。
「御意!義元!ここにおりまする!」
ふっと、闇より戦鬼・今川義元が千鬼の死人(しびと)を従え現れた。
「義元!此度の失態どうするつもりぞ!」
漆黒の闇に包まれたその影の声には義元への叱咤と共に、苛立ちが色濃く響いていた。
「お方様!この場は義元などよりも、我ら甲府の鬼めにお任せ下さい。」
どこからともなく現れた、甲府の鬼と名乗る戦鬼が自ら名乗りを上げた。
「何を言う!貴様のような山猿は引っ込んでおれ!」
「黙れ!義元!!その侮辱、戦鬼が一人とて許さんぞ!」
「お二人ともお方様の御前ですぞ!」
そう言って薄笑いをするもう一人、戦鬼が現れた。
その言葉に、二人の戦鬼、甲府の鬼と義元は漆黒の闇に包まれた影を前に跪いた。
「猿!お前に何か良い考えでも有るのか?」
「御意!」
そう言って猿と言われたこの戦鬼は、得意げに話し始めた。
「お方様、お方様の愁いはごもっともなれど、敵の力はそれ程とは思えませぬ。
 此度の今川義元様の失態もいわば、時の運。力押しするほどの価値も無いかと。」
「では、そなたならどうする?」
まるでその言葉を待っていたかのように唇を歪ませニヤッと、猿が笑う。
「罠を仕掛けまする。幸い我が配下には幻術を得意とする者が居ります上奴らをその幻術を持って自滅の道へと導くが得策かと。」
それを聞いていた義元が怒り出した。
「何を言う!これはわらわの戦。力でねじ伏せるがたやすい事!お方様!どうかもう一度我ら死人衆にお任せ下さい!」

「面白い・・・・」
そう言うと影は、ケラケラと笑い出した。
「猿!貴様の罠とやら、見せて貰おう!!!」
そう言うと影は漆黒の闇の中へと消えていった。
「御意。」
猿のその声を後に、全ての鬼が闇の中へ消えていく。




咲耶たち一行は、伊賀の忍びを先頭に甲賀の森に居た。
「おかしいですね」
伊賀の忍び、青燕が困惑した顔でつぶやいた。
「どうしたのですか?青燕殿」
周囲の探索を続けながら一行を先導していた青燕が誰にとは無くつぶやいた。
「咲耶様。我々はすでに甲賀の森に入ってからかなりの時が経ちます。以前なら我ら伊賀の者がこの森に入った時から、甲賀の忍びに見張られているはず。しかし今は何処にもそれらしき気配は感じられないのです。」
「それはどういうことです?」
咲耶の疑問に答えるように青燕が話を続けた。
「我々、伊賀と甲賀は元は同じでは有りますが、決して自分たちの領域を侵さないと言う掟が有ります。なんの連絡も取らず、この森に入れば攻撃を受けるが必定。されど・・・・・」
そう言うと青燕は考え込んでいた。
「何か甲賀に重大な事が起きていると言うことですか?」
「そうとしか考えられません。この森は甲賀の忍びにとっては聖域でもあります。それを守る動きが無いと言うことは、この森を放棄せざる負えない何かがあったと、考えるのが妥当かと。」
「まぁ?良いじゃん!無駄な戦いをしなくて良いんだから。」
青燕の心配をよそに、あまめは軽く流すように言った。
「確かに無駄な争いを避けられることを思えば良いことでは有りますが・・・」
青燕の心配に咲耶は何となく不安を覚えていた。
「考えても仕方がありません。このまま警戒しながら進みましょう。」

その時、周囲の探索をしていた、阿砂が青燕の元へ戻ってきた。
「阿砂、何か分かったか?」
「どうやらこの森には甲賀衆の姿は見あたらない。」
と、その時甲賀の里を調べに行っていた、飛炎が戻ってきた。
「飛炎どうだった?」
「甲賀の里には誰もいない。」
「どういうことだ!?」
困惑した青燕が驚くように飛炎の報告を聞く。
「甲賀の里は何者かの手によって焼かれていた。だが、死体はおろか人が居た形跡すら無いんだ。」
「形跡すらない?」
「あぁ、まるで里を捨てるつもりで火をつけたと言うべきだな。」
青燕は予想もしなかった飛炎の報告に戸惑うばかりだった。
計画では甲賀の忍びの力も借りて、尾張へ向かうはずであったが思惑がはずれ青燕は落胆していた。
「仕方ない。甲賀の事も気になるが今は一刻も早く尾張につくことを考えよう。」
「咲耶殿、聞いての通りです。甲賀の力を当てに出来ないとなれば先を急ぐのみ。」
「そうですね。先を急ぎましょう。」
そう言っては見たが、自分たちの里を捨てざる負えない何か、と言うことが青燕には気がかりであった。


やがて咲耶一行は、森を抜け尾張の町はずれまで辿り着いた。
「わー!でっかい城が見えるよ!」
町のはずれからでもよく見える城を見て、希望が喜んでいる。
「尾張って以外と栄えて居るんだなぁ?」
あまめも城を中心にいくつも広がる人家を見つけ驚いている。
「確か尾張は、豊臣秀吉と言う豪族が二十年前、周辺の農民と作ったと言われている関東では比較的、戦が少ないと言われて居ます。」
「豊臣?あまり聞いたことのない豪族ですね。」
青燕の説明に、八雲で調べた情報に無かった名前を聞いて少し不思議に思った。
「確かに豊臣と言う豪族は、昔から居た訳じゃ有りません。話によると、農民の出で、百年前織田家に仕えていた家臣の子孫らしいと言う以外詳しい事はあまり分かっていません。」
そんな話をしながら、尾張の町へ入ってきた一行は、今の戦国の世にあってこれほど活気の有る町は珍しく、見る者全てに珍しい物が写った。
「あっ!さっちゃん!お煎餅やさんだよ?!うわー!おいしそうないい匂い!!!」
早速、おいしそうな食べ物を見つけた希望は、子供のようにはしゃいでいる。
「おーーー!!こっちにはお団子やさん!!!おばちゃん!お一つおくれ?!!」
おいしそうな食べ物を見て希望は咲耶が止めるのも聞かずに散策を始めた。
「放って置いて良いのですか?咲耶様」
希望のあまりにも無邪気にはしゃぐ姿を見て驚いたのか、ジュハが咲耶に問いかける。
「食べ物を見つけたノンちゃんには何を言っても耳に入りません。」
そう言って咲耶は苦笑混じりで答えた。

「そこの旅の者!」
咲耶一行を見つけた役人らしき人物が、呼びかける。
「私たちですか?」
「そうじゃ!そなた達、何処より参った?」
呼び止められて少し困ってしまった咲耶が青燕の姿を探したが、いつの間にか伊賀の忍び達はいずこかへと、姿を消していた。
『あら?』咲耶はそうつぶやくと、怪しまれないために姿を消したのだと理解した。
「私たちは修行の為、諸国を旅する修験者です。尾張にはおいしい食べ物が有ると聞いてやってきたのですが。」
「ほう?それはそれは。して修験者と申したが、易を占ったりなどもするのか?」
役人の問いに、少し困りながらも咲耶は伊賀で打ち合わせた通りの芝居をしていた。
「はい。たまにですが易によって、旅先を決めたりもしますが。」
それを聞いた役人は、喜んだ顔をして咲耶へと近づいてきた。
「ならば、殿の行く末などを占っては貰えぬものかの?」
急な申し出で咲耶は当惑した。
「実はな、近頃この尾張にも良くないことが続き、殿もほとほと困って居るしかしこの尾張には、易者とか占いをするものがあまりおらんので困って居った。」
「易と申されてもたいそうな事でも御座いません。ましてや国の行く末など・・・」
困り果てている咲耶に役人は、何とか咲耶を説得しようと必死だった。
「いやいや、それ程たいそうに考えなくても良い。殿は無類の余興好きと言うか楽しい事が大好きでの、ちょっと占いのまねごとでもしてくれれば良いのじゃ。」
咲耶は、この役人が自分たちを使って殿の機嫌をとり、出世の役にでも立てようと考えているのだろうと思った。
「咲耶。むげに断ってこじれるより、行ってみてはどうだ?」
今まであまり口を開かなかった京が咲耶に耳打ちした。
「しかし・・・・」
戸惑っている咲耶に京が話を続けた。
「もし豊臣秀吉と言う人物が、実力者なら本当の事を話し力を借りても良いのでは無いかと思うが。」
それを聞いて咲耶は決心した。
「分かりました。お役人様、私たちでお役に立てるのでしたら占っても構いません。」
それを聞いた役人は喜んだ。
「おー!そうか!占ってくれるか!それは良かった。」

その役人の手配で、一行は宿を取り、咲耶、希望、京の三人が城へ向かう事となった。

三人は役人が手配した籠に乗り、城門を通り城の中へと入っていく。
役人があらかじめ城へ連絡していたのか、三人は手厚いもてなしを受け、本丸へと通される。
本丸へ通された咲耶達は、今か今かと待ちわびる城主・豊臣秀吉が桔梗の間と名付けられた部屋にやってきた。
「殿!旅の易者、咲耶殿一行をお連れいたしました。」
案内をしていた役人がふすま越しに声をかけると、部屋の中から声がする。
「おー!それはそれは!くるしゅうない!通せ!」
「はっ!」
そう言うと役人はふすまを開け、三人を伴い部屋へと入っていく。
「殿!こちらが先ほどご報告致しました旅の易者で御座います。」
役人が得意げに三人を紹介すると、秀吉は笑顔で咲耶達を迎えた。
「この度はご招待下さり、恐悦至極に御座います。」
そう言って咲耶は深く頭を下げた。
「よい!よい!こちらが無理を言って来て貰ったのじゃ!難儀じゃったの。ささっ!遠慮は無用じゃ!旅の話でも聞かせてくださらんか?」
「はい。」
咲耶ら三人は、秀吉の前へと歩み寄った。
「それにしてもおなご三人とは、うれしい限りじゃ!」
「連れの者は、お殿様のお計らいもあり、宿で旅の疲れをとっております。一同に代わりまして改めてお礼を申し上げます。」
そう言って深々と頭を下げた。
「まぁ、儂が申すのもなんだが、この尾張は諸国に比べ至って平安じゃ!心ゆくまで旅の疲れを癒すが良いぞ!」
咲耶はあまりの歓迎ぶりに少し戸惑いを覚えた。
「そうじゃ!夕餉を食べながら旅の話でも聞かせてもらえんか?」
「はい。」
城主・秀吉の命令で家臣達が一斉に夕餉の支度をし始めた。
その支度もあっという間に運び終わり、城主と家来三人、咲耶、希望、京は膳をとりながら、旅の話などを聞かれるがままに話し始めた。
その話を聞いている秀吉は、時より見せる城主ににつかわぬ高笑いをしうれしそうに咲耶の話を聞いている。
いかにも実際に見てきたように咲耶は演技をして見せた。
ほとんどが旅の途中、京から聞いた話や、あまめ達からの話など、自分なりに考えて作っているらしい。
そんな咲耶を見て、京も同じように芝居をして見せている。
希望と言えば、城で出される物が珍しいのか夢中で食べていた。

そんな話も終わり、城主・秀吉は少し暗い顔を見せた。
「どうなされました?お殿様」
そう咲耶が訪ねると、
「そなた達も聞いたであろうが、今この尾張にも良くないことが続きそれが儂を悩まして居るのじゃ。」
「はい。先ほどお役人様より聞いております。その為に易者を捜していたとか」
「そうなんじゃ!儂がこの様な尾張の城主になれたのも、色々な易者や占い師から助言を貰い儂なりにそれを全うしてきたためと今でも思って居る。
 だが、病や突然の災難で何故か、易者や占い師など、その類の力を持つ物が亡くなっている。
 今では占いが出来る者とて、居なくなる始末じゃ。心の拠り所を無くした様で毎日が不安で不安でしょうがない。」
「それで私たちが呼ばれたのですね?」
「そうなんじゃ。ずっととはいわん。少しの間でも儂の側で占ってほしいのじゃ。」
そう言って秀吉は咲耶に頭を下げた。
「もったいない。頭をお上げ下さいませ。私たちでお役に立てるのでしたら喜んで占わさせて頂きます上。」
それを聞いて秀吉は、涙を流して喜んでいる。
涙まで流して喜ぶ秀吉を見て、咲耶は秀吉を信じ切っていた。

夕餉も終わり、秀吉は少々浮かれすぎて疲れたと言い、咲耶達を寝所へ案内させ占いは後日と言うことになった。

「咲耶、どう思う?」
部屋へ入ると京が突然くり出した。
「私には秀吉様なら本当の事をうち明けて、協力を仰ぐ事も出来るのではと。」
「そうか・・・・」
何か言いたげな京だったが、それ以上話そうとはしなかった。
希望は色んな物を食べて満足したのか、部屋へつくとそのまま布団の中へ入り眠ってしまった。
咲耶は考えていた。
『この町には、他で感じた悪しき気が感じられない。』それがどういう意味なのか分からないが、この町には活気が溢れ、城主の秀吉も人の良い者としか感じられ無かった。
咲耶は旅の疲れが出たのか、吸い込まれるように眠りに入った。


その夜、人々が寝静まった頃、この城を中心に異変が起こり始めた。

城は一瞬、ボワッと消えかけ又元の姿に戻る。

城下で咲耶達と分かれた伊賀の青燕達は、この町の隅々まで調べ回っていた。
暗闇に紛れ、まさしく影の様にその探索は続いていた。
阿砂が咲耶達の様子を見るため、城へ忍び込み部屋へと音もなく向かっているその時、天守閣から人間の者とは思えぬ、うめき声の様な物を聞いた。
『あの声は天守閣・・』
阿砂は、すかさず怪しい声のする天守閣に向かった。
(ズズズズーーー・・・・・)
天守閣へと辿り着いた阿砂は、何かが引きずられる音を聞く。
『なんの音だ?』
(ズズズズーーー・・・・・)
『又だ。』
耳を澄ませ、音のする方向へ移動する阿砂。
(ズズズズーーー・・・・・)
『この部屋からか?』
阿砂はその部屋まで来ると、障子に穴を空け中を覗いた。
『!!!!』
阿砂の声にならない驚きの声!
その時!中から声がした。
「何者!?」
『気づかれた!』
そう判断した阿砂は、化け物の正体を知らせるため、咲耶の元へと急ぐ。
その気を察してか、天守閣の化け物は、その体を引きずり天守閣を下りていく。
その化け物は、逃げ足の早い阿砂にめがけ何度も飛びかかるが、その都度阿砂に交わされ、その度に苛立ちを覚えるのか、辺り構わず暴れ始めた。
あまりの破壊音で京が目覚めた。
「咲耶!起きろ!」
その声に咲耶、希望は驚いて飛び起きた。
「どうやら上で何かが起きているようだ!」
(ドーン!)
この城全体が揺れ動くように、けたたましい音が咲耶達の頭上で聞こえた。



城からの音は城下中に響いていた。
「なんだ!?」
宿で床についていたジュハ達一行もこの異変で飛び起きていた。
「城の方で何かがあったようです。」
城下の探索をしていた青燕は突然の轟音に気がつき城へと向かった。
だが、その轟音に呼応するかのように、町自体がグラッとゆがみ青燕の足を滑らせた。
「なに?!」
青燕は足を取られその場に叩きつけられた。
だが起き上がろうとする青燕が見た物は、昼間活気に溢れて居たはずの町が今は廃墟に見える。
自分が見ている物を信じられなく何度も目をこすり、見直すがその目に映るのは廃墟だけだった。
『まさか!これは幻術!?』
危険を察知した、青燕はふらつく頭を振り、ジュハ達一行の泊まる宿へと急いだ。

「ジュハ!なんか町中が変だ!」
窓から見える外を見たあまめが見た物は、まるで死人の様にうろつき回る人々。
その時、ジュハらが泊まる部屋を人影が囲っていた。
「なんだ!どうなっている!」
ジャハムドが突然襲ってくる人々をとっさにはねのけジュハらの部屋へと走った、
「ジュハ様ー!危険です!お逃げ下さい!!」
「ジャハムド!」
ジュハは突然襲ってきた、まるで死んだ者のように見える人々を避けながら宿の外へと飛び出していく。
それを待っていたかのように、町中から溢れ出てくる死人達。
一人一人手に鎌や包丁、鍬など武器を持っている。
何者かに操られた様に、徐々にジュハ達を囲み襲いかかってくる。
「こっ!これは!八家衆を襲った死人衆?!」
城下の探索をしていた伊賀の忍び達も、死人達に苦戦しながらジュハ達の元へ集まってくる。
伊賀の忍びが放つ手裏剣もこの死人達には通じなかった。
斬りつけても倒れても、何も無かったように起き上がってくる。
周りにはどんどん数を増した死人衆で溢れんばかり。
その時、青い炎とともに爆発!
青燕の放った《青炎爆裂弾》
さすがに爆風の威力は強く、死人達の体を粉々にしていく。
だが、その攻撃もむなしく、死人の数は益々増え完全にジュハ達はその脱出路を閉ざされていた。
「このままでは・・・・」



崩れてくる天井を避け、廊下へ逃げ出す咲耶と希望、京は廊下に出て驚いた。
廊下に居るのは、紛れもなく死人衆。
身なりは家臣の様に武士の服装をしているが、目には生気がない。
「なんと言うこと!?この城にも死人が・・・」
そう叫ぶ咲耶に京が間髪を入れずに叫ぶ。
「にげろ!この城は奴らの城だ!!」
その時、阿砂を追って天井を破って天守閣の化け物が現れた。
「クワッハハハハハ・・・・もう逃げられないぞ!儂の餌となれー!!」
咲耶がその化け物を見た。
「秀吉!?」
確かにその化け物は秀吉の顔を持っていた。
だがその下半身は、まるでヒルの様にふくらみ巨体を引きずるようにして阿砂めがけ襲ってくる。
「やはりそう言うことか!」
何かに気がついていた京が、咲耶達をかばうように紫の魔剣《紫炎》を抜く。
更に剣を抜いたかと思うと、廊下に溢れている死人に向かって剣を振り下ろし咲耶と希望を逃がすため、次々と死人を倒していく。
魔剣に気を奪われた死人は本来の姿、骸骨へと変わり倒れていく。
「グハハハハハーいくら死人を切っても無駄だー!お前らはすでに儂の腹の中よ!」
「何!?」
京がその異変に気がついたとき、周囲は秀吉と呼ばれていた化け物と解け合い始まる。
「窓から飛び降りろ!」
阿砂は咲耶らに向かって叫ぶ。
「窓からって!こんな高い所からじゃ無理よ!」
咲耶が躊躇していると、京は咲耶と希望を抱きかかえ窓に向かって走り始めた。
それに続き阿砂も走り始める。
四人は躊躇することなく外に飛び出した。
「わっ!」
思わず叫ぶ咲耶。
だがその瞬間、四人は外堀に有る水の中へと落ちていった。
(ザバーン!)
咲耶はあまりの衝撃で気を失いかけたが、阿砂に助けられ水面へと浮かんできた。
「ゴホッゴホッ!」
何とか助かったと思った咲耶だったが、目の前に城もろとも自分の体とした秀吉の姿があった。

何とか岸にたどり着いた四人だが、なおも秀吉だった化け物がこちらへ向かって襲いかかってくる。
「逃さん!!」
なおも追ってくる巨大なヒルの化け物・・・・・・
四人は城下町を目指し突っ走った。
「なに?」
その四人に写ったのは、道を塞ぐように立ちつくす死人達。
「この町全体が奴らの巣か!?」
京のその言葉に、あの時の恐怖がよみがえってくる咲耶と希望。
だが今はそれ以上に、強大な化け物に追われ、前には死人衆。
例え京の魔剣《紫炎》があってもこれだけの死人を倒し逃げられるのか?
「咲耶!!!!」
咲耶は恐怖に身を震わせていたが、京の一喝で冷静さを取り戻す。
阿砂が火薬を使い秀吉に攻撃するが、全く効いていない。
その時、咲耶が持つ宝玉《禍つ月》が光り輝き始めた。
まるで魔剣《紫炎》の光に反応するように。

「その玉は?!」京の声に咲耶は魔剣《紫炎》と同じ輝きを持つ宝玉《禍つ月》を取り出し紫炎に近づけた。
魔剣《紫炎》はそれに呼応するかのように光を増し始めた。
『ひょっとして紫炎と禍つ月は同じ力を持つ物?!』
そう思ったとき咲耶は一つの考えに辿り着く。
「京さん!この禍つ月を!」
咲耶から受け取った禍つ月を京は魔剣《紫炎》にくくりつけ、秀吉だった怪物へ斬りつけた。
(ぎゃーーーー!!!)
切っ先から溢れんばかりの紫の光を放ち、魔剣《紫炎》は秀吉の腹部を切り裂いた。
「いける!」
京は次々に怪物めがけ、紫炎を振る。
その切っ先は紫の光を放ちながら次々に秀吉めがけ斬りつけていく。
だが、傷つきながらも倒れようとしない怪物、秀吉。
その時京がふらついた。
「くっ!」
咲耶は京の異変に気がついた。
魔剣《紫炎》は、つかう者の霊力を吸い取る。
だが、今の紫炎は、禍つ月の力を借りて凄まじい力を得たと同時に、京の霊力も大量につかって居るのだと。
「京さん!私の力を!」
そう言うと咲耶は、京が持つ魔剣に手を添えた。
その瞬間!魔剣は益々その怪しき紫の光を放つ。
振り下ろされたその魔剣の威力は、秀吉の体を真っ二つにした。
「グワーーーーーッ!!!」
あまりの魔剣の力におののき、秀吉はその巨体を死人達の方へと引きずっていく。
その怪物秀吉にふれた死人が次々と秀吉の体へと吸い込まれていく。
大量の死人を飲み込んだ秀吉は、以前にも増してその禍々しさを強め、悪しき気をまき散らしながら、咲耶達めがけ、突進してくる。

「ノンちゃん!!」
希望を呼ぶ声に反応して希望も咲耶と共に、京が持つ魔剣へと手を差し出した。
三人の霊力を集め、禍つ月の威力を持った魔剣《紫炎》は天にも届くかと思われる程、紫の光を放つ。
三人は突進してくる秀吉に向けてその魔剣を振りおろす。

一瞬!禍つ月がはじけ散り周囲を紫の光が覆った。

その光は全ての邪を払うかのように輝きそして消えていく。


静まりかえった尾張の町。
朝日の光を浴びて徐々に真の尾張を照らしていく。人々の活気に溢れた町は、もう何処にもなかった。
本来の姿、廃墟と化したその町に、戦いを終え疲れ切って立ちすくむ咲耶一行がただ呆然と朝日の光を浴びていた。


「大丈夫ですか?京さん」
「あぁ、おまえ達のお陰でこいつに力を全て吸い込まれずに済んだ。」
そう言って京は、咲耶と希望に初めての笑顔を見せていた。
「あっ!京ちゃん笑った!」
希望の明るい笑顔に京は、初めてそのぬくもりを感じた。

「これからどうします?咲耶さん」
いつの間にか集まった仲間達。
ジュハのその問いに咲耶は、今ははっきりと感じている悪しき気が集中するその森を指さしていた。
ここに居る者達全て、その指さす所に悪しき根元が有ることを認識していた。

目指すは悪しき気に覆われた森《羅刹の森》。

だがその森には、今まで以上の魔が潜むことを彼らは知らなかった。




絵巻その四「罠?そして魔の森」終わり。



絵巻その五「決戦?そして集結」へ続く。

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