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■幽幻戦国絵巻?せぶん 
2005 12 06
Tue 17:29:05

オリジナル小説  Comment 0  Trackback 0  edit.

■幽幻戦国絵巻?せぶん?【小説】
■絵巻その五【決戦?そして集結】
「どうやら禍つ月がその役目を果たしたようですね。」
八百比丘尼は総本山・八主真殿、霊堂で気の流れを読んでいた。
清き心の波動が、紫の光となって魔を払うイメージとなり比丘尼の脳裏に映し出される。
咲耶達が尾張で敵を倒したことにより、魔の本拠地とも言える魔の森を隠していた関東一円に広がる悪しき気の流れが消え去り、今は比丘尼の霊波動がその存在を確かな物と認めていた。
尾張は魔の本拠地を隠すべく作られた霊的結界の役目を果たしていた。
今その結界が咲耶達の活躍により破られ、その姿を現す事となったのだ。

「これで我々にも影ながら力を貸すことが出来ますね。」
八家衆当主らは、自らの使命を全うすべき陣形をとり比丘尼の命を待っている。
「今我々に出来ることは、我らの念を一つの念とし敵の本拠地に向け放ちその力を出来る限り弱める事だけです。我らの命が続く限り。」
八家衆当主らは、己の使命を全うすべく座に着いた。
「それでは参る!」
「御意!」
比丘尼の号令と共に八家衆奥義・《破剛の陣》がとられた。
その念は、魔の森へと向かい何度と無く念の雷光となり悪しき力を打ち破らんとしていた。
だが、悪しき力は強く攻撃の全てをまるであざ笑うかの様に黒き闇を震わせていた。


「あれは?」
普通の人間には見えないその戦いを目にし、希望がつぶやいた。
「八家衆・破剛の陣、八家衆当主らの攻撃が始まった様です。」
魔の森を前にしてその光景を見た咲耶が一行に説明していた。
「しかしその力を持ってしても払うどころか、全く弱まる気配さえしないとは・・・」
その凄まじき念を目のあたりにして、仏教国の一団は敵の力が自分たちの想像を超えた計り知れない力であることを改めて思い知らされた。
「我々の力で倒すことなど出来るのでしょうか?」
仏教国一団のその言葉に、咲耶は想像しがたいその戦いを前に自らの覚悟を言葉にした。
「私たちがやらなければならないのです。」
「咲耶さんの言う通り、我らの命を懸けても倒さねばならない敵なのです。」
そう言うとジュハは咲耶同様、自らの運命を受け入れ気持ちを新たにしていた。

「ここからはどんな敵が現れるか分かりません。秀吉以上の力を持った魔が待ち受けて居ると思われます。心して進みましょう。」
青燕のその言葉と共に咲耶、希望、京、ジュハ、あまめ、仏教国一団そして伊賀忍、総勢25名の戦士が魔の森と化した甲府と呼ばれている森の入り口へと進み始めた。



「猿め!口ほどにもない!」
甲府の鬼が吐き捨てるように秀吉の一部始終を見ていた。
「しかし、あの娘の力、侮れませんな。」
「戦鬼ともあろう物が、たかが人間の娘一人に臆したか。所詮貴様も猿同様、小心ものぞ!」
「なんだと!力任せしか知らぬ甲府の山猿の分際でその言葉無礼であろう!」
千鬼を率いる今川義元が甲府の鬼の侮辱を受け、目をつり上げて怒りに震えていた。
「いや、義元の言うことにも一理あるな。」
何処からか声がしたと思うと、もう一人の戦鬼が二人の鬼を前にその姿を現した。
「これはこれは、お珍しい。さては自分の部下の失態を恥じて鬼神とまで言われたそなたが直々に姿を現すとは。ホホホホホ」
義元のあざ笑うかの様な嘲笑を受け、鋭い眼光でにらみ返す鬼神がそこに居た。
「まぁよいわ!我が領土に入って来たからには、我が甲府の力で蹴散らしてくれようぞ!」
甲府の鬼がその巨体をうち振るわせ高笑いを響かせながら闇へと消えていく。
「まぁ、良かろう。甲斐の力、得と見せてもらおうぞ!」
そう言うと二人の戦鬼も闇へと消えていった。


咲耶ら一行は周囲を警戒しつつ徐々に魔の森へと分け入った。
「それにしても凄まじいまでの邪気ですね。」
体の周りをはいずり回るようなその邪気を浴びて、さすがの伊賀忍達もたまりかねていた。
「確かにこれだけの邪気を浴びてまともで居られる者などそうそう居ないでしょう。」
咲耶のその言葉にジュハも同様に感じていた。
「あまめ、大丈夫ですか?」
伊賀忍と同じように苦しそうにしている、あまめを見てジュハが心配そうに話しかける。
「あぁ、何とか大丈夫だよ。みんなと居るせいか、威圧感は感じるが我慢出来ない程でも無いよ。」
何度と無く海の上で困難を乗り越えてきた、あまめにも強い霊力が養われているのだとジュハは感じていた。
このままでは邪気の威圧感だけでも体力を奪われると思い、仏教国一団が周囲を固め不動明王の真言を唱え始めた。
「ナゥマクサンマンダバザラダンカン!・・・・・・・・」
仏教僧らの真言が効いたのか、粘り着くようにまとわりついていた邪気が、すっと軽くなりあまめや伊賀忍達は、体の悪気から解き放たれていた。

ジュハもバジュラ(金剛鈷)に念を込め、前方を塞ぐように渦巻く悪しき気を払いのけ一行は前進を続けていた。

その時、甲府の鬼・甲斐の武田が彼らを待ち受けるように、小高い丘に布陣を敷いていた。
先鋒に獣魔となった獣たちを配し、その後方に甲斐の武将らが悪しき気を纏い鬼の形相で咲耶達が来るのを待っていた。
京は自分たちの前方に広がる鬼達の気配を戦いの中で培われた、感とも言うべき物で捉えていた。
「前方に強い殺気を持って待ち構える物が居るようだな」
伊賀忍・青燕も同じようにその気を感じていた。
「どうします?この敵は真っ向からの戦いを望んでいるようですが。」
「このまま進むしかあるまい。下手な動きをすれば、悪しき気が邪魔をしてこちらが不利になる。」
「それに伊賀の忍びといえども、この気をまともに受けながら戦うのは自らの首を絞めるような物
 幸い我らには仏教僧の念によって守られている。その形を崩さず中央を突破するのが一番と考えるが。」
伊賀忍以上の修羅場をくぐり抜けてきた戦いの感とも言うべき物を持つ京の眼力を信じるしか今の一行には術が無かった。
「分かりました。京殿の戦法でこの場を切り抜けましょう。では我々は仏教僧の方々と組を作り周囲を固めます。」
青燕がそう言うと一瞬にして伊賀忍らは各々配置につき戦いに備えた。

その動きを待っていたかのように、甲斐の武田、信玄が動いた。
「獣たちよ!行け!」
「グワォー!!」
獣たちは我先にと咲耶達一行へと突進していく。
「来たぞ!気をつけろ!」
その動きを察知し京が全員に声をかける。
あっという間に一行は魔の獣と化した魔獣達に周囲を囲まれた。
だが、魔獣と言えど、仏教僧が張る念の壁に阻まれ襲いかかっても跳ね返されてしまう。
その念を通してジュハのバジュラが炸裂する。
バジュラの攻撃を受け、さすがの魔獣も次々と倒されていく。
だが、その数は一向に減らない。
次々と突進してくる魔獣達、倒されても倒されても次々と新しい魔獣が攻撃を繰り返す。
一進一退を繰り返す、その戦いに業を煮やした信玄は、配下の武将達に号令をかける。
「えっぇっいぃ!!!!怯むな!」
その声に反応したのか魔獣達の攻撃が益々激しさを増していく。
「このままでは僧達の体力が持ちません。策は無いのですか?!」
仏教僧の疲れを察したのか、咲耶は京に訴えかける。
「分かった!私が突破口を開く!その後に続け!」
そう言って飛び出そうとする京を青燕が止めに入った。
「一人では危険です!私も同行致します!」
先ほどまで青炎弾で応戦していた、青燕が自ら名乗りを上げた。
「じゃ!私も行く!!」
二人の会話を耳にして希望が龍金闘を身構えていた。
「お前・・・・」
「私だって八家衆が一人!十分戦えるよ!」
真剣な希望の顔を見てさすがに京も『だめだ!』とは言えなかった。
「分かった!三人で道をつくる!その後に他の者は陣形を保ちながら続け!」
全ての者がうなずくのを見て、三人は素早い動きで結界の外へと飛び出し前方を塞ぐ魔獣達に向かっていった。
(シュッ!)
京の魔剣の一振りで、何十と言う魔獣らが倒れた。
「はっ!」
青燕が青炎爆裂煙を身に纏い周囲に近づく魔獣を焼き尽くす。
「はっ!おりゃ!てやっ!」
希望も負けじと龍金闘を振り回し魔獣を蹴散らす。
三人はまるで獲物をかる野獣の様に凄まじい勢いで前方の魔を払っていく。
「凄い!京さんと言い、青燕様と言い、まるで初めてあった時とは別人の様に霊力が強くなっている」
その凄まじいまでの力を目のあたりにして咲耶は驚愕していた。
それにも増して驚きを覚えたのは、希望の戦いであった。
希望が操る龍金闘がまるで、生き物の様に凄まじい程の霊気を帯び、魔を払っている。
『秀吉との戦いが、霊力を一気に高めたとしか考えられないわ。まるで桁が違う。』
咲耶は見違えるほどの霊力を見せている三人を見て、ただただ驚くばかりであった。
「ならば私の霊力も高まっているはず。今なら破剛の術を仕えるかも知れない・・・」
そう言うと、咲耶は印を組み、真言を唱え始めた。
「臨!兵!闘!者!皆!陣!裂!在!前!破邪!!!!」
その瞬間!咲耶の周囲に金色の光が発したと思うと、一瞬にその光は印を結ぶ咲耶の両手に集まり、光の固まりとなって前方の魔獣めがけて飛んでいった。
(ぴかっ!)
光は魔獣に命中すると光はまるで魔獣を飲み込むように大きさを増し周囲の魔獣達を一瞬にして消し去っていた。
「すっ!凄い!」
その攻撃を見ていたジュハがあまりの凄まじさに唖然としていた。
それは皆も同じ思いだった。
今まで戦いには不向きと感じていた咲耶が、今まで倒してきた魔獣の数さえ問題にならないほどの敵を一瞬にして消し去ってしまったのだから。
咲耶自身もその力に驚いていた。
「こっ!これが私の力??」
自分に備わった戦う力に驚愕しながらも、戦いに加わることが出来た事に咲耶はうれしさを覚えていた。
『これでみんなの力になれる!』そう心で叫びながら、咲耶は又印を組み真言を唱える。
「臨!兵!闘!者!皆!陣!裂!在!前!破邪!!!!」
咲耶の放つ気の力は次々に敵を打ち払い圧倒的な力を見せていた。

「なんと言うことだ!あんな小娘にあのような力が・・・・」
あまりの事に信玄も苦渋の色を隠せなかった。
「えっぇっいぃ!こうなれば野獣どもに任せてはおけん!我が真の力見せてくれようぞ!!」
どっしりと山の様に構えていた甲府の鬼・武田信玄も配下の者が倒れていく姿に全軍を持って倒すべき強敵と認めざる負えなくなっていた。
「幸隆!!真田幸隆はいるか!!」
信玄が叫ぶとまるで闇の中に紛れる影の様に、真田幸隆と呼ばれる一人の鬼が姿を現した。
「御意!真田幸隆ここにおりまする!」
「幸隆!そなたの力借りるぞ!」
「御意!お館様の御心のまま!!」
そう言って真田幸隆は暗闇に消えていった。

咲耶一行と野獣の戦いは終わりを告げようとしていた。
京、青燕、希望三人の働きとそれ以上に咲耶の力が圧倒的に野獣らを上回っていた。
ほとんどの野獣どもを蹴散らし一行に気のゆるみが生じたその時!
(シュッ!シュッ!)
何かが飛び交う音がする。
(シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!)
どこからともなく聞こえる何かが飛び交う音。

「うっ!動けん!」
仏教僧達が突然動きを止めた。
「どうした!?ジャハムド!!」
そう言って振り向いたジュハの体も突然何かに縛られたように動けなくなっていた。
その時、どこからともなく動きを止めた仏教僧めがけ、何かが飛んでくる。
(バシュッ!)
その音と共に動きを封じられていた仏教僧の一人の体が一瞬にして切り刻まれていた。
「なに!??」
その異変に気がついた、阿砂は青燕に自らの疑問を投げかけた。
「これは?!甲賀の・・・・」
青燕は阿砂の言葉に全てを察していた。
「これは甲賀の忍術・糸妖の術!!何故甲賀の術が・・・」
その時どこからともなく何者かの声が聞こえた。
「フフフッ!青燕!まさかこんな所で出会うとはな。」
聞き覚えのある声に青燕は自分の耳を疑った。
「甲賀の柳戒!何故お前が!?」
「フフフッ!確かにそんな名前の忍びが居たなぁ?青燕よ。」
「柳戒!貴様!敵に寝返ったのか!?」
「寝返った?我々は強い者を選んだだけの事!戦国の世に生きる者として当然の事をしたまでよ!」
「貴様ほどの者が魔に寝返ったとでも言うのか!柳戒!」
「問答無用!!!」
そう言うと甲賀の忍び、今は甲府の鬼の配下となった甲賀衆が一斉にその刃を咲耶一行に向けた。
(シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!)
(シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!)
四方八方から飛んでくる見えない攻撃。
だが、その攻撃は仏教僧達を狙って確実に動きを封じていく。
「ぐはっ!」
その叫びとも悲鳴ともとれぬ声を上げ、又一人又一人と仏教僧の体を切り刻んでいく。
「このままではやられる!走れ!」
仏教僧の悲鳴を聞きながら残った者は必死にその場を離れた。
逃げる一行を執拗に追いかける甲賀の攻撃。
又一人、又一人とその術中にはまり命を落としていく。
「このままではらちがあかない!阿砂!打って出るぞ!」
その青燕の言葉に伊賀忍達は四方へと散り、森の中から攻撃してくる甲賀の姿を探した。
「はっ!」
阿砂の手裏剣が宙を切る!
伊賀忍達も必死に気配のする闇に向けて手裏剣を飛ばす。
だが、甲賀もそう簡単には姿を現さない。
忍びと忍びの技が魔の森を駆けめぐる。
忍者同士の戦いが続く中、咲耶達も残りわずかとなった魔獣と戦っていた。
『このままでは離ればなれになってしまう』そう思った青燕は、伊賀の忍び達を呼び寄せ円陣を組み、自ら甲賀の的となるべく策をとった。
『馬鹿め!わざわざ標的になるとは。ならば望み通り一気に片を付けてやる!』
甲賀の柳戒は嘲笑うかの様に青燕達を包囲した。
「今だ!」
青燕はその時を待っていた。
青燕の合図で、伊賀忍衆による火炎封殺の術が放たれた。
周囲の森を一瞬にして火の海と化し、暗闇に隠れていた甲賀の姿を照らした。
その一瞬にかけ伊賀忍達は一斉にその姿を見つけ攻撃に転じた。
その戦法は成功したかに見えたが、斬られ地面に落ちた甲賀衆は、まるで何事も無かったように立ち上がる!
「なに!?」
伊賀忍達はその成り行きを見て悟った。
彼らも又死人となり、魔物となっていたのだ。
その時!京が魔剣《紫炎》を使い死人を倒していく。
「おまえ達では無理だ!後は任せろ!!」
そう言うと京は伊賀忍の攻撃を受け地面に落ちてくる死人と化した甲賀衆を魔剣の力で倒していった。
「かたじけない!」
だが、死人とは言え、甲賀衆も伊賀忍に引けを取らない強者揃い。
両者の戦いは五分と五分。
その戦いの行方は誰にも分からなかった。
影と影の戦いは、時折見せる剣と剣がはじける火花と剣音のみ。
だが勝敗は決したようだ。
魔の森に静けさが戻り、魔獣との戦いを終えた咲耶達の元へ伊賀忍達が戻ってきた。
だがその勝利には多くの仲間の命という代償を払っていた。
魔獣との戦い、甲賀衆との戦い、その戦いに残ったのは咲耶、京、希望、ジュハ、あまめそして仏教僧3名、伊賀忍青燕、阿砂、飛炎、総勢十一名。
あまりにも大きな代償だった。

「なんだと!?真田率いる甲賀衆がやられた?!」
信玄はあまりにも不甲斐ない配下に対し怒りに狂いながらも、咲耶一行の力を見くびっていた己の愚かさに戦鬼としてでは無く、元武将、武田信玄としての己を恥じていた。
「この期に及んでは生き恥をさらすより、我が手で奴らの息の根、とめてくれようぞ!!」
甲府の鬼は、両脇に従えた四匹の鬼と共に、ゆっくりとその歩を咲耶らの居る森に向けていた。

その大きな悪しき気を持った鬼の存在を悟っている咲耶達一行も又、無言のまま鬼の待つ魔の森を進んでいった。


「我こそは甲府の鬼と言われ、甲斐の武田と恐れられた戦鬼が一人!信玄! 羅刹の森を守る我が甲府の軍勢を倒しよくぞ我が元に辿り着いた!誉めてやる! だが!この先一歩たりとも通すわけにはいかん!我が手によってその体八つ裂きにしてくれるわ!!」
そう言うと仁王の如き眼孔を見開き、咲耶一行をにらみつける。

「豊臣秀吉の次は甲斐の武田だと!悪しき気に操られし亡霊よ!この紫炎で成仏させてくれるわ!」
いつにも増して強敵を前に、京の持つ紫炎の光がますのを咲耶はじっと見つめていた。
「京殿!一対一では不利だ!力を合わせた方が・・・・」
青燕の言葉を京が遮った。
「いや、もはやこの鬼・信玄は、鬼と言うより一武将としての戦いを望んでいる。その願い叶えてやることこそが、剣の道を志す者の務め。」

「よくぞ申した!女の身でありながら、その志!見上げた者よ!誉めてやる!」
そう言うと戦鬼・信玄は悪しき気に操られた信玄では無く、一人の武将としてそこにいた。

四匹の鬼と咲耶一行は、京と戦鬼・信玄の一騎打ちを自らの使命を忘れ、固唾を飲んで見守っていた。


「ほぉおー、一騎打ちとは又古風な。奴らしいなぁ」
闇の中からこの戦いを一匹の戦鬼がまるで面白い物でも見るかのように見つめていた。
「愚かな山猿め、人間相手に何を考えて居る!」
苛立ちながら戦いを見ていたもう一人が戦鬼、今川義元もそこにいた。
「そう言うな。今川殿、奴とて武将としての誇りが残って居るんだろう。好きに戦わせてやってはどうだ。」
「ふん!くだらん!」
そう言って義元はどこかへ消えていった。
「奴め、戦鬼となって武将の心など忘れてしまったと見える。まぁ、百年前から奴には誇りなど無かったがな。」
そう言って鬼は不敵な笑いを見せた。



まるで時が止まったように、二人の戦いは剣を構えたまま、微動だにしなかった。
だが、その二人の周りには激しい気の渦が荒らしの様に渦巻いていた。

「どうやらこの戦い一瞬で決まりますね」
多くの戦いを見てきた青燕は直感でその戦いの行方を悟っていた。

二人の戦いは益々激しさを増し、動かぬ剣とは違い、気の戦いによってお互いの体を凄まじい気が斬りつけている。
だが、それでも二人は一瞬の刻を待つように身構えたままだった。
『なんという気の強さ、見ているだけでもはじき飛ばされそうな凄まじさ』咲耶は初めて知った鬼の中にある人間の武将の心を見た気がした。

そんな戦いを嘲笑うかのように咲耶達を狙う鬼の集団が集まり始めている。
しかし咲耶らは今決しようとする二人の戦いに全てを奪われその動きに気がつく者は居なかった。

その鬼達を束ねる戦鬼・義元が京に向けて矢を構えた。
『ふふっ、儂がお前らの下らぬ戦いに決着をつけてやる。』
グッと、今にも京めがけて矢を放とうとする義元に、あまめが気がついた。
『あのやろう?!』
あまめは二人の戦いを邪魔しようとする鬼に近づき、銛を取り出し構えた。
その時!義元の矢は京の頭をめがけ放たれた!
『しまった!』
あまめが義元めがけ銛を射かけたが間に合わず、矢は京の頭をめがけまっしぐらに飛んでいく。

その時!信玄が動いた!
それにあわせるように京も又信玄めがけ紫炎を振りかざす!
(ズバッ!)
それはまさしく一瞬の出来事だった。
信玄の刀は京の胴をかすめ、京の切っ先は紫の光と共に、信玄の首をかすめていた。
『相打ち?!』咲耶がそう思った瞬間、信玄の首は京が持つ紫炎から伸びた紫の炎によって斬られていた。
(ぐはっ!)
信玄の体は、首を失いその場に倒れた!
信玄が先に動いたことによって、その勝敗は決まって居た。
「女・・・儂の負けじゃ・・・そなたの名は?」
京は斬られても尚、未だ生きている信玄の首を覗きその問いに答えた。
「京。・・・・」
「そなた・・・女にしておくにはもったいないな。」
そう言うと信玄の首はにこりと笑った。
「貴様、何故先に動いた?先に動いた方が負けることくらい分かって居ただろうに。」
「いくら鬼に成ったとは言え、儂とて天下を夢見た武将、愚か者に邪魔されたくはなくての。」
「そうか・・・・」
鬼であったその武将・武田信玄は笑みを浮かべながら黄泉の国へと旅だった。

それを見届けた京は、きびすを返すとこの戦いに水を差した義元に斬りかかった。
「外道がー!」
だが、その動きを察した義元は、周りを取り囲む鬼ども、死人衆を差し向けた。
京の怒り狂ったその形相はまさに鬼!
自らの義をかけた真剣勝負を邪魔され、凄まじいまでの怒りの気を放ち義元を追いかける。
京の一振りは、義元を守ろうとする死人を一気に葬り、じりじりと義元を追いつめる。
「にっ人間ごとき虫けらが・・・・」
さすがの戦鬼・義元も京の怒りの形相に恐怖さえ覚えていた。
「なっ何をしておる!我が死人衆ども!我を守らんか!!」
だが、死人衆は咲耶らの攻撃を受け、更に京の放つ紫炎の炎にその数を減らしていた。
「貴様だけはーーー!!!」
そう言って、斬りつけた京の紫炎は、京の霊力を吹い義元の体を一瞬にして葬り去った。

義元を失った死人衆は、まるでその役目を終えたかの様に骨と化し消え去っていく。

甲府の鬼との戦いはこうして幕を閉じた。
信玄に仕えていた四人の鬼も信玄の死を見届けるとどこかへと消えていった。



「せっかく面白い所を邪魔しおって!義元め!」
もう一人、義元の為に余興を潰され怒る戦鬼が暗闇から一部始終を見ていた。
「やっと儂の出番が来たと言うところか。人間どもよ!早く来い!この信長が最高の舞台を用意してやる!」
そう言うと戦鬼は暗闇に消えていった。



甲府の鬼、信玄が破れたため、今この魔の森《羅刹の森》は、悪しき気を薄め徐々に元の姿を取り戻していた。

「咲耶さん、悪しき気の流れが又変わりましたね。」
ジュハが気の流れを感じて居たときすでに咲耶は、一つの今まで以上に強い鬼の存在を感じ鬼が住む次なる敵陣を見つめていた。
その先に見えるのは霊峰富士。
その裾野に広がる今も尚、悪しき気が渦巻く青木ヶ原。

一行は、疲れた体を引きずりながら次なる戦いへと歩み始めた。


その頃、世界中で異変が起きていた。
と、言ってもそれを知ることの出来る者は少ない。
闇が消え、人々を戦いへと導く力が徐々に消えていく。
疫病に苦しむ人々の数は徐々に収まりつつあった。
世界中を包んでいた悪しき気は、一点を目指し集まっている。
海の彼方、蓬莱の国へと。


「信長様、お呼びですか?」
「おう!蘭丸か!お前、義元が連れてきた人形何処に居るか知ってるか?」
「御意!只今お方様のお力を借りて、鬼としての手術をうけておりまする」
「ほう!さすが蘭丸!儂の考えはお見通しの様だな。」
「滅相も御座いません。少しでも信長様の手助けをと思い浅はかな蘭丸めの考えで御座います。」
「まぁ良い!その人形すぐにでも使うやも知れん!」
「まだ時間がかかるかと存じますが。」
「不完全でもかまわん!どうせ余興の一つ。」
「それでは早速用意いたします。では。」
そう言うと蘭丸はどこかへと消えていった。
「さて、どう出るか?」
最後の戦鬼・信長は咲耶達との戦いを楽しむ様に策略を巡らせていた。



信玄との戦いに疲れ切っているはずの咲耶達は、最後の戦いを前に決めかねていた。
「どうなさいますか?この広い森を敵を探して動き回るのは無謀と思われます。」
青燕は咲耶達を思い、この地で休むことを提案した。
「しかし、今至るところから悪しき気が集まって居ます。恐らくは私たちを迎え撃つため全ての気を集めているのに違いありません。
 時が経てばそれだけ、私たちの戦いは不利に成ると思います。それに残る鬼は、ただ一人。今なら我々に勝ち目もあるかと。」
「我々にはよく分かりませんが、咲耶様が言われるとおり、倒すべき鬼がただ一人だとしても疲れ切った体で何処まで戦えるか・・・」
咲耶も解っていた。だが最後の敵を前にして、居ても立っても居られない自分の気持ちを押さえられないで居たのだった。
「さっちゃん!みんなの力を信じて!例え全ての悪しき気が集まったとしても私たちだけじゃない。出雲のみんなだって力を貸してくれるんだよ。」
咲耶は希望のその言葉に自分が忘れていたことを悟った。
自分は一人じゃない!ここに居る者だけじゃなく、世界中の人が私たちの勝利を祈っている自分よりもずっと子供だと思っていた希望が自分より、大人に見えた瞬間だった。
「そうね。私何を急いでいたんだろう。これは私たちだけの戦いじゃない!
 この世の中全ての人たちの未来がかかっている戦いなのよね。」
そう言うと、戦いの中で忘れていた微笑みを咲耶が久しぶりに見せた。
「では、今夜はここで明日に備えましょう。」
咲耶の周りには、笑顔で見つめるみんなが居た。


その夜、ここが魔の森だったとは思えぬほど、穏やかな森に成っていた。
一行に久しぶりに笑顔が戻り、戦いを忘れ冗談を言ったり、ふざけあったりしている。
そんな人々を見つめる咲耶は思った。
『世界中の人たちが同じように笑える世の中に出来たらどんなにすばらしいか・・・』
「咲耶。」
京が咲耶を心配そうに横に座った。
「京さん」
「咲耶、大丈夫か?」
「はい。」
「なら良いんだけど。・・・咲耶、なんか不思議だな。」
「どうしたんですか?京さん」
いつもと違う京の優しい物腰に咲耶はうれしさ以上の何かを感じた。
「ついこの間まで、私は誰一人寄せ付けず、人の為とかそんな物どうでも良かった。
 でもなぁ、希望や咲耶達と出会い何となく仲間と呼べる者が居ることも悪くないかなぁそんな風に思うようになった。そしてずっと一緒に旅が出来たら良いなぁなんて。」
「私もそうです。ここまで来たのも運命の様な気がします。生まれる前から知っていてそんな仲間が今ここに集まっているんじゃないかって思います。」
「そうかも知れないな。だとしたら生まれ変わっても又出会えるかも知れないな。」
「ええぇ、きっと。」
そう言って二人は久しぶりに見る夜空に輝く星達を眺めていた。

いつしか咲耶達は疲れた体を癒すかの様に眠りについていた。

《さくやさま・・・・咲耶様・・・・・》
夢の中なのかそれとも幻か、咲耶は聞き覚えのある声を聞いた。
《咲耶様・・・ここですよ・・・・》
『誰?私を呼ぶのは?』
《咲耶様・・・私です・・・・》
『紅蓮?紅蓮なの?』
《はい。紅蓮です・・・咲耶様》
咲耶は暗闇に紅蓮の姿を探した。
『紅蓮!何処に居るの?姿を見せて?』
《私はここにいます・・・・咲耶様》
その声を追っていく咲耶の目の前に、今は懐かしい紅蓮の姿があった。
『生きていたのね。良かった。本当に良かった。』
咲耶は溢れんばかりの涙を流し紅蓮の姿を追った。
『紅蓮!何処に行くの?一緒に居てくれるんじゃないの?』
《・・・・咲耶様・・・・》
咲耶が近づこうとすると、離れていってしまう紅蓮。
咲耶は必死に成って追おうとするが、どんどん遠ざかる紅蓮。
『待って!何処にも行かないで!』
その時咲耶の周りにもやがかかったようになり、紅蓮の姿が消えてしまった。
《咲耶様・・・・・》
『紅蓮・・・・・』
涙に濡れた目をこすりながら咲耶は夢から覚めた。
『紅蓮・・・・』

やがて夜が明けてゆく。
日の光で目を覚ます咲耶達一行。
咲耶は昨晩の夢を思い出して居た。
『紅蓮・・・』
その日の空は、まるで彼らを祝福するかのように真っ青な空が広がっていた。
だが、霊峰富士の麓、樹海が広がるその場所には昨日にも増して悪しき気が渦巻く漆黒の闇が彼らを待ち構えていた。
「では、行きましょうか。」
青燕がみんなの支度を待って声をかけた。

青燕を先頭に一行は、樹海の森へと入っていく。
「咲耶様、鬼の気配を感じますか?」
青燕の問いかけに咲耶はうなずいた。
「はい。昨日よりずっとはっきり感じます。」
ジュハも京も同じだった。
「鬼の気配は、この森の下から強く感じます。」
「地下ですか?」
「はい。地下深く強い気が集まっています。」
「確かにこの樹海には、人がまだ入ったことのない洞窟が広がって居ると言われています。
 恐らくはそのどこかに本拠地がつくられている可能性もありますね。」
その時、どこからともなく地を這うように音が聞こえた。
「あの音は?」
「まるで我々を誘っているかの様ですね。」
確かにその音は、咲耶達を呼ぶかの様に響いて居る。
「行ってみましょう。」
「罠かも知れません。」
「例え、罠だとしても今の私たちには大事な手がかりになります。」
青燕の心配をよそに咲耶はその音がする方へと歩き出した。
「確かに罠かもしれんが、我々の存在はすでに知られているはず。ならばその罠に乗ってやっても同じ事。探す手間が省けると考えた方が良いのではないか?」
京が青燕の心配を吹き消す様に言った。
「確かに今更逃げ隠れしても始まりませんね。寝込みを襲わなかった敵ですから何を考えているか分かりませんが・・・・」
罠と分かって居ながら向かうことに多少の不安はあったが今の自分たちにはそれに乗るしか近道は無かった。

音を頼りに一行が進むと、目の前にぽっかりと口を開けた風穴が見えてきた。
「どうやらあの穴から音が聞こえるようです。」
近づいてみると中は以外と深く続いている。
「確かにここから強い気の流れを感じます。」
一行は周囲に細心の注意を払い風穴堂の中へと入っていく。
松明をつくり青燕、阿砂、飛炎が先頭を歩きその後に咲耶達が続いた。
「咲耶殿!先が二つに分かれています。どちらに入りますか?」
咲耶が手をかざし悪しき気の強い方を探している。
「こちらの方から強い霊気が感じられます。こちらへ行きましょう。」
咲耶が示した方の穴に一行が順番に入っていく。
少し穴は狭くなり、一人一人続いて入るのがやっとだった。
「咲耶様、どうやらこの先は広がって居るようですね。」
青燕がそう言いながら振り向くと、後ろに居たはずの咲耶の姿が無い!

「青燕殿!何処へ行ったのですか?」
急に視界が暗くなり咲耶は、自分が遅れたと思った。
「京さん!」
振り向くと自分の後に続いていたはずの京の姿がない!
『え?!』
まるで自分を残し全員が姿を消したように、咲耶の周りには暗闇が広がっていた。
「みんな!何処なの!」
必死に叫ぶ咲耶だったが、全く返事が無い。

「咲耶!何処だ!」
京も又、前に居たはずの咲耶の姿も、後ろに居たはずの希望の姿も見えなくなっていた。
一行は全員が同じように仲間を見失っていた。

咲耶は焦った。
罠と分かっていたにも関わらず、まんまとその罠にはまってしまった自分に。
《さくやさま・・・・》
『え?!』
咲耶は驚いた!
『まさか?!』
《さくやさま・・・・咲耶様・・・》
『まさか?!紅蓮・・・・そんなあれは夢だった。』
だが今咲耶は確かに聞いた。
あの懐かしい声を。
「紅蓮!紅蓮なの?」
《咲耶様・・・・こちらです。》
『やっぱり紅蓮だ!確かに紅蓮の声!』
咲耶は昨日の夢の様に必死に紅蓮の姿を探した。
「紅蓮!何処なの?紅蓮!!!」
「咲耶様。こちらです。」
今、はっきりと近くに聞こえた紅蓮の声。
咲耶は岩に足を取られながら必死にその声に向かって走っていた。
「紅蓮!生きていたのね!」
「咲耶様!!」
「紅蓮!!」
咲耶の目の前に今、懐かしい紅蓮が居る!
自分たちを逃がすため必死に戦ってくれた紅蓮が生きていた!
咲耶は紅蓮の姿を見つけ、大粒の涙を流し抱きついた。
「咲耶様!!」
「紅蓮!!!!」



絵巻その五「決戦?そして集結」終わり。


絵巻その六「最後の鬼?そして真実」へ続く。

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