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■幽幻戦国絵巻?せぶん 
2005 12 06
Tue 17:31:40

オリジナル小説  Comment 0  Trackback 0  edit.

■幽幻戦国絵巻?せぶん?【小説】
■絵巻その六【最後の鬼?そして真実】
今咲耶達は、最後の鬼・信長が用意した罠の中に居た。
「どうやら儂の仕掛けた罠にはまったようだな。」
「信長様!奴らをどのように始末致しましょう?」
脇に従えていた蘭丸が信長の仕掛けた罠にはまる咲耶一行を面白そうに見ていた。
「そう焦るな。蘭丸。これは奴らに対して、儂からの贈り物じゃ。それにこんな罠で全滅されても儂が退屈して困る。」
信長は自分が仕掛けた罠に何人が突破して来るのかが楽しみだった。
「それにしても少々遊びが過ぎるかと。」
「百年もこんな所で待ち続けたのじゃ!多少のわがままくらいお許しになってくれるわ!」
「しかし、三人の戦鬼が破れた今、あの方をお守りするのは信長様、ただ一人。あの方の愁いを考えると一刻も早く、始末してみせるが肝要かと。」
「蘭丸。いつからそなた、儂に意見出来る立場になったのだ?」
静かにそう言う信長の眼孔には鋭い物が見て取れた。
「御意!!」


京は暗闇の中、考えていた。
『これは幻術の様だな。バラバラにすることで一人ずつ倒して行くつもりだろう。
 鬼が考えそうな姑息な罠。しかしこのままではどうすることも出来ない・・』
目をつぶって周囲の気配を探っているが、京でさえ全く分からなかった。
その時、前の方から何者かの気配を感じ、京は身構える。
「誰だ!」
「・・・・・」
なにも言わずその人影らしき者は京の目の前に来ると剣を抜いた。
「なに!?」
暗闇に慣れその相手の顔を見て京は驚いた。
「父上?!」
京がそう呼ぶ目の前で剣を構えるその者はじっと京を見ている。
「何故?!」
幼き頃より父と共に旅を続け、腕を磨き諸国を旅した思い出がよみがえる。
しかし京はこれが幻影だと悟っていた。
「どうやら父の姿をした貴様を倒さねばここから出ることは出来ないと言うことらしいな。」
京は父の姿をした敵に対して覚悟を決めたかのように魔剣《紫炎》を抜いた。
それを待っていたかのように父の幻が、京めがけ切り込んでくる。
(カキーン!)
かろうじて受け止めた京だったが、今放った太刀筋は京が知っている物だった。
『どう言うことだ!?』
父の姿をした敵とばかり思っていた京が、今受けた太刀筋が紛れもなく父の物であることを京が一番良く知っている。
その攻撃は続く。
京は理解に苦しんでいた。
今は亡き父、それは十分理解していたが今自分が知る父と全く同じ太刀筋を持って自分に斬りかかる父の姿をした敵?!
「良かろう!そなたが例え真の父だとしても、今は敵!全力で戦ってやる!」
そう言うと京は攻撃へと転じる。
だが、その攻撃も京が知る父の様に交わされてしまう。
何度と無く剣を交える内に、京は例え幻だとしてもうれしかった。
自分に剣豪としての全てを残し今は亡き父。
父を越える剣豪になるため、ずっと一人で旅をしてきた京にとって、例え敵の罠としても今の京にはうれしかった。
だが、すでに父を越えて居た京には勝敗は見えていた。
『父上・・・・』
その瞬間、京は父の幻影を倒していた。
勝敗を決した瞬間、京は父の幻影が優しい顔で笑った様な気がした。
『父上・・・・』


その頃、希望も最も愛する者と暗闇の中にいた。
「母上・・・」
そうつぶやく希望を優しい目で見つめる今は亡き母の姿。
抱きついて泣きたい気持ちを必死に押さえ、今は亡き母の姿をした敵をじっと見つめる。
だがそんな母の姿をした敵も優しい姿のまま、希望に襲いかかってくる。
敵の攻撃を交わしながらも、希望は止めどなく流れる涙を必死にこらえていた。
『母上・・・』
幼い頃、希望は病弱の母にと、毎日の様に花を摘んで母の部屋へ届けていた自分。
母の前では決して涙を見せず、笑顔で母を元気づけていた日々。
走馬燈の様によみがえる母との思い出を巡らしながら希望は母の姿をした幻影と戦っていた。
『いつまでもこうして居たい・・・』だが今の自分には大切な仲間がいる。
その仲間の為にも一刻も早くここを突破しなければならない。
そう思いながら希望は龍金闘に力を込め、母の幻影へと全ての力を込め一撃を加える。
その一撃が母の幻影を捉えた時、暗黒に包まれていた周りは消え去り、今入ってきた洞窟の中に希望はたたずんでいた。
『母上・・・・』
その側に同じようにたたずむ京。


信長の仕掛けた罠、それは彼らの最も愛する者と戦いそれを倒した者だけが先に進める。

だがその罠を越えることが出来ない者も居た。
異国の地に残してきた家族の幻影と戦う仏教僧達。
敵が作り出した幻影と分かっていても、自分が最も愛する者に刃を向けることが出来なかった。
戦い慣れした者ならいざ知らず、人々の平和を祈り修行に励んできた者にとってその罠は卑劣だが最も有効な手段でもあった。

戦いに勝利した者達が、暗闇の中から生き残った仲間の元に現れる。
京、希望、ジュハ、あまめ、そして伊賀忍・青燕、阿砂、飛炎。
皆、愛する者との戦いで涙していた。
そんな思いを断ち切るかの様に彼らは生き残った仲間の姿を確認しあった。
「咲耶は?咲耶はどうした?」
京が咲耶の姿が無いのを知り動揺していた。
「まさか?!咲耶様が・・・・」
ジュハのその言葉に希望が怒ったように言う。
「さっちゃんが幻影なんかに負ける分けないよ!」
だが、何処を探しても咲耶の姿は無かった。

そんな彼らの前に突如暗闇から何者かが現れた。
「鬼か!」
そう叫ぶ彼らの前に、薄笑いをしながら蘭丸が現れた。
「私の名は蘭丸。如何でしたか?我が殿、信長様の贈り物は。」
その言葉に、京がいつもの様に冷静に答えた。
「ああぁ、楽しい余興だったよ。随分と楽しませて貰った。この礼は直に返させて貰うと貴様の殿に伝えてくれ。」
「ほう!気に入って頂けたとは、信長様も喜ばれる事でしょう。」
少年のような姿をした蘭丸が得意げな顔をして笑っている。

「あっ!そうそう!あなた方のお仲間、咲耶様と言われましたか、その方は特別に私の配下の者がお相手させて頂いております。ご安心下さい。」
「なんだと!貴様!咲耶をどうする気だ!」
咲耶の名を聞いて、京が剣に手をかけた。
「これはこれは心外ですね。わたくしとしては最高のお持てなしをさせて頂いているつもりですが、その様にお怒りになるとは。」
蘭丸と言う鬼は、京達を嘲笑うかの様に、さっと飛び退き笑って見せた。
「わたくしの役目は、信長様があなた方の為に特別ご用意致しましたここから先の関門についてお知らせする為、殿より仰せつかりました。」
「なんだと!わざわざ手の内を教えるだと!ふざけるな!」
「ふざけてなどおりません。信長様は嘘が一番嫌いでして、それに弱い者と戦うおつもりも御座いません。」
その言葉に青燕が口を開いた。
「要するにその全ての関門をくぐり抜ければ、最後の鬼・信長と戦えると言うことだな?」
「さようで御座います。更に一人でも信長様の元へ辿り着いたならば、咲耶様もお返し致します。」
みんなの答えは決まっていた。
「良かろう!その招待喜んでお受けしよう。」
青燕がそう答えると、蘭丸はニヤッと笑い話を続けた。
「ではこの先の関門についてですが、関門は全部で三つ。
 第一の関門は、からくりの館、
 第二の関門は、魔鏡の館、
 第三の関門は、心眼の館で御座います。
 全員で一つずつくぐり抜けるも良し、三つそれぞれに向かうも良しとのこと。
 まぁ詳しいことについてはわたくしも、知らされておりませんので着いてからのお楽しみと言うことに。
 全ての関門をくぐり終えた時、本丸への門が現れます。それではわたくしも、準備が御座いますゆえこれにて!では。」
そう言い終わると蘭丸は闇へと消えていった。

「信長という鬼、よほど自身があるのか、それとも我らを遊びの一つとしか考えて居ないように思われます。」
もっと激しい攻防戦を覚悟していた、一行にとって拍子抜けする思いだった。
「だが、咲耶が無事だと言うことは分かった。」
一行にはそれだけでもうれしい事である。例えどのような形であれ。
「しかし信用出来るのでしょうか?」
青燕のその疑問に京が答えた。
「信用するしかなかろう。騙すつもりならこの様な手の込んだ事はしない筈。」
「ではどのような策で関門に向かうかですが・・・・」
そう言って考え込む一行だが、すでに一行のリーダーともなっていた京の考えを待っていた。
「恐らくは三つの関門にはそれぞれ特徴があるように思える。館の名前が示す通り、第一の関門・からくりの館は、おそらく罠や仕掛けを施した物と思われる。
 第二の関門・魔鏡の館は、幻術か何かを使ってつくられていると思う。
 第三の関門・心眼の館は、霊力などを試すものと思える。
 それぞれにあった者が三つに分かれ進むべきかと思うが。」
「しかし全員で当たる方が、確実だと思いますが。」
「確かに全員一緒の方が無難の様な気がするが、それぞれの力を見極める目的があるように私には感じられる。だとしたら不慣れな分野の者が居たのではそれをかばうため、十分に力を出せなくなる。」
「確かにわざわざ関門に名前など付ける以上、それなりの思惑があって当然。 我々の様に霊的な力を持たない者にとって、その様な敵に対しては足手まといになるは必定。」
「では、それぞれ得意だと思う分野を選び、三方に分かれて戦う。更に先に突破した者は残りの関門へ向かい加勢する。それで良いな。」

一行はそれぞれ得意な分野と今までの戦いで得たものなどを考え結論を出した。

第一の関門・からくりの館へは、伊賀の忍び、青燕、阿砂、飛炎。
第二の関門・魔鏡の館へは、ジュハとあまめ。
第三の関門・心眼の館には、京と希望。
一行はそれぞれ組を作り先へと進んだ。

しばらく歩くと、三方に分かれた断崖絶壁の向こうに三つの館が見える。
「ご丁寧に道しるべまであるとは、私たちもなめられたものですね。」
「まぁ、わざわざ探る手間も省けて良いでは無いか。」
京がそう言うと、《心眼の館》とかかれた矢印にしたがい歩き始めた。
それと共に一行はそれぞれの差し示す館へと向かった。


「ほう!やはり三方に分かれたか。三人の戦鬼を倒しここまで来ただけのことはある。」
そう言うと、信長はこれから始まる見世物に目を輝かせていた。


第一の関門・からくりの館へと着いた、青燕、阿砂、飛炎は近づくに連れてその巨大さに驚いた。
まるで自分たちが小人にでもなったかの様な錯覚さえ覚える。
「なんというでかさだ!この分ではそう簡単には抜けられそうにも無いな。」
三人は周囲を確かめたが、館の周りは完全に切り立った断崖絶壁になっていた。
「やはりこの門から入るしか無いようだな。」
彼らの前に入り口と思われる扉は、ゆうに20メートルはあるだろう。
「しかしどうやって中に入ればいいのか・・・」
閉じられたままの扉を前に三人は困り果てていた。
力で空けようとしてもびくともしない。
「どこかに門を空ける仕掛けがあるはず、それを探そう。」
青燕達は手分けして探したが中々見つからない。
必死に探す阿砂が、扉にかかれた文字を見つけた。
「青燕!ここに文字が書かれている。」
早速、三人はその文字の解読を試みた。
「【天にそびえ立つ命の糸をたぐり寄せよ!】そう書かれているが、天にそびえ立つ命の糸とは?」
「天にそびえ立つと言うのはこの館にあるあの天守閣だとは思うが、命の糸とは・・」
からくりの館にある天守閣にはまるで天を突き刺すかのように鉄塔らしき物が何処までも上に向かって伸びていた。
だがその鉄塔を見つめていた、青燕が何かに気がついた。
「あの鉄塔何か光の糸の様な物を出していないか?」
阿砂と飛炎は青燕が指さす鉄塔の部分に、かすかだが赤い糸の様な光が真っ直ぐに三人の後ろに伸びて居るのを見つけた。
「あの光の落ちる所、そこに何かがあるに違いない。」
そう言うと三人はその光の糸を追って、元来た道を戻り始めた。
「青燕!光はこの石に当たっている。」
さらに目を凝らして見ると、その光は石に当たって跳ね返すように扉へと向かっていた。
「この光が指すところに何かがあるのでは?」
三人はその光の糸を辿って、又門の前へとやってくる。
その細い光の糸は、門に描かれた十字架の様な紋章の真ん中に当たっていた。
「あの紋章に秘密があると言うことか?どう見てもただ門にかかれた絵に思える。」
「青燕!あれを見ろ!十字の紋章の一番上!小さな赤い点がある!
 【糸をたぐり寄せよ!】とは、光をあの赤い点に当てろと言うことでは?」
三人は光が当たっている石を動かそうとしたが、びくともしない。
「ならば!」
そう言うと青燕は剣を抜き、光が通る所にかざし光の角度を変えてみた。
幾度か試みて何とか、小さな赤い点に光が当たった瞬間!
(ゴーーーーーーー!)
扉は自ら三人を迎え入れるように動き出した。
「やはり!」
開いた扉の向こうは、暗闇で何も見えない。
だが三人は臆することなく館へと入っていった。
すると中に入ったのを確認するかの様に、その重い扉は轟音と共に閉まり始める。
「扉が!!」
「気にするな!我らには戻る道など無い!ここを無事抜けることだけを考えるんだ!」
青燕の言葉に阿砂と飛炎は決意を新たに閉まり行く扉から目を背けた。
真っ暗闇となった部屋は以外と広い様だった。
あたりを見回すと、異国の鎧や彫刻など物珍しい物が並んでいる。
その時!光を浴びて一体の操り人形が、三人の前に姿を現した。
驚く三人を笑うかのように、その道化師風の操り人形は話し出した。
「ようこそ!からくりの館へ!今宵はあなた様方に心ゆくまで楽しんで頂きたく我らが最高のお持てなしをさせて頂きます!」
そう言って手を広げた操り人形の周りには、暗闇に紛れていた人形達の姿があった。
「どうやらおまえ達操り人形が我々の相手らしいな。」
青燕のその言葉に、操り人形達は表情を変えず、ケラケラと笑いだした。
「さて?あなた方のお力、まずは試させていただきましょう。」
道化師の操り人形が手を差し伸べると、一体の甲冑を着た人形が三人の前に躍り出た。
西洋の甲冑を身につけた操り人形はゆっくりと三人に向かってくる。
「阿砂!飛炎!所詮奴らは糸で操られている人形にすぎん!その糸をねらえ!」
青燕の合図と共に二人は人形の手足から伸びる細い糸をめがけ斬りかかった!
(シュッ!)
糸を切られた人形は支えを失ったようにその場に崩れる。
「造作もない!」
阿砂があまりにも簡単な結末に呆れて人形に近づいた、その時!
倒れた人形が、すっ!と立ち上がった。
「ホホホホホッ!まさかあなた達!我々が糸で操られた人形だとでも思ったのですか?」
道化師がそう言って笑い出すと、周りにいた全ての人形達が笑い始めた。
「どう言うことだ?!」
思惑がはずれた青燕達は、戸惑っていた。
ただ呆然と立ちつくす三人に先ほどの人形が洋刀を持って襲いかかる!
その動きはそれ程素早くは無いが、確実に三人をめがけ襲ってくる。
「ならば!」
意を決して斬りかかる青燕!
(カキーン!)
「何!?剣が効かぬ!」
何度と無く斬りかかる三人の攻撃が全く効かない!
「なんと堅い鎧!」
「ならば!」
青燕は手裏剣に火薬を仕込み人形めがけ投げつけた。
(ドーーーン!)
火薬の爆発で操り人形ははねとばされた。が!
何事も無かったように立ち上がる。
「ならばもう一度!!!」
三人は同時に火薬を仕込んだ手裏剣を人形めがけ投げつけた!
(ドドドーーーーン!!!)
さすがの甲冑を着た人形もその火薬の勢いに動きを止めた。
所々に亀裂が走り甲冑が割れている。
「あれは?!からくり仕掛け?」
驚く三人が呆然と動きを止めた人形の姿に見入っていたその時!?

「さすがにここまで来ただけの事はありますね。」
先ほどの道化師がまだにやけた顔をして笑っている。
「それでこそ!この館にふさわしい人間!それでは誠心誠意お持てなしをさせて頂きましょう!」
そう言うと道化師を除き、周りにいた全ての人形が一斉に三人めがけ襲いかかってきた!
「まずい!動きを止めていたのでは、奴らにねらい打ちされる!」
青燕のその声と共に阿砂と飛炎、三人は三方に分かれ戦い始めた。
素早い動きの者、巨体を持って突進してくる者、武器を持って襲ってくる者、操り人形達はまるで戦いを楽しむかのように、ケラケラ笑い声を立てて向かってくる。

三人は持てるだけの火薬を使い、一体、又一体と倒していくがその数は中々減らない。
「さて?何処まで持ちますかね。その火薬。」
道化師が必死に戦う三人を面白そうに見ながら笑っている。
「青燕!このままでは火薬がもたん!」
阿砂と飛炎の火薬はもう残り少なかった。
その時!青燕が部屋の真ん中に立ちまるで人形を誘うように怒鳴り始めた。
「人形どもよ!お前らごとき俺一人で十分!倒せるものなら倒して見よ!!」
その言葉に反応したのか人形達は一斉に青燕めがけ飛びかかってきた。
「秘術!青炎爆裂煙!!!」
青燕のその声と共に、青燕の体から一気に青い炎と共に火薬の爆風が周囲に向かって伸びていく。
強烈な熱と爆風に、青燕めがけ突進してきた人形達はその炎に焼かれ爆風に飛ばされる!
あたりは火薬と人形が焼けこげる匂いで一杯になった。
「どうだ!これが我が秘術!青炎爆裂煙!!!」
周囲には動けなくなった人形が幾体も重なり合って倒れている。
「ほーーーーーー!さすがにこれだけの人形を倒すとは、凄い!凄い!」
道化師はほとんどの人形を倒されながらも尚、笑っている。
「何がおかしい!残りは貴様一体のみ!」
青燕が勝ち誇るように道化師に向かって叫んだ!
その時!
(シュバッ!)
道化師の指が一瞬にして伸びたかと思ったその時、飛炎が胸を貫かれ倒れた。
「飛炎!!」
「馬鹿な人間!お前たちが倒したのはただの操り人形ですよ!はははははっ!」
道化師は倒された人形を指さし、笑いながら罵声を浴びせた。
青燕が倒れて燃えている人形を見ると、ほとんどが木で出来たただの操り人形だった!
「貴様!貴様が全ての人形を動かしていたのか!」
「今頃気がついたのですか?本当にあなた方人間はおろかですね?」
そう言っていつまでもにやけている道化師を見て青燕と阿砂は怒りに震えていた。
「仕方ありませんね?馬鹿なあなた達に教えてあげましょう。このからくりの館の意味!
 この館は私の為だけにある私の部屋なんですよ!
 周りにいるのは私が集めた、ただの人形!この私が楽しむためのね!!」
そう言って道化師は腹を抱えて笑い始めた。
「要するに貴様だけ倒せば良いと言うことなんだな。」
馬鹿にされながらも飛炎を殺された憎しみが青燕の体を震わせて居た。
「やっと分かったんですかぁ?やれやれ。でも?一つだけ教えておきますがあなた方のその剣では私は切れませんよ。せっかくの火薬ももう無いでしょう。ほんと!馬鹿ですね?!」
「それはどうかな?」
「おや?まだお持ちでしたか。でもあなたの秘術、もう私には通用しませんよ。
 私はあなたに近づかなくてもこの通り!攻撃できますから。」
道化師はまるで勝ち誇ったように飛炎の体に指した指を引き抜き冷たい笑いを見せていた。
「貴様!」
怒りに我を忘れ、青燕が道化師めがけ斬りかかった。
(ドカッ!)
斬りかかった青燕だったが道化師の伸びた手がいともたやすく青燕を壁に叩きつけた。
「やれやれ。無駄だって教えたでしょう。本当に人間って馬鹿ですね?」
壁に叩きつけられ気絶している青燕を見て阿砂は押さえていた怒りを爆発させた!
「おのれ?!」
阿砂は道化師めがけ斬りつける。
だがその切っ先は道化師に届かず逆に伸びてきた指で胸を一撃される!
(ドカッ!)
貫いたと思った道化師の指は、阿砂の身につけていた甲冑にさえぎられた。
「何?」
道化師は自分の指が貫けなかった事に驚いているようだった。
飛ばされながらも阿砂はきびすを返し、道化師をめがけ斬りかかる。
素早い動きで斬りかかってくる阿砂に道化師は遊ぶように次々と阿砂の剣を交わしていく。
「やれやれ。その程度の動きで私を倒せるとでも思っているのですか?」
そんな道化師の言葉など耳に入らぬかの様に阿砂は疲れた体とぼろぼろになった剣で尚、斬りつけていく。
だが、その阿砂を道化師は一気に払い飛ばした。
剣もろとも壁に叩きつけられる阿砂。
「なんだか面白く無くなりました?そろそろお仲間の所へ送って差し上げましょう。」
道化師は薄ら笑いを辞め、壁に叩きつけられ倒れた阿砂めがけ全ての指を伸ばした時!
「うっ!?」
道化師の体が止まった。
「何?」
後ろから青燕が道化師の体を押さえ込んだ!
「阿砂!逃げろ!」
その青燕の動きを見て阿砂は自爆覚悟で道化師の動きを止めたことを悟った!
「青燕!!!」
「人形野郎!貴様も至近距離で火薬を使われちゃ防ぎようも無いよな!」
「人間!放せ!放せ?!」
後ろから羽交い締めにあっているさすがの道化師も身動きとれず焦りを感じている。
「阿砂!みんなに宜しくな!!」
「青燕!!!!」

その瞬間!青燕が最後の青炎爆裂煙を使い道化師もろとも自爆した!
(ドーーーーーーン!)
凄まじいほどの衝撃があたりを吹き飛ばしていた。

「青燕!!!!!!」
むなしく響く阿砂の声。
しかし、もうこの館には動くものは居なかった。
阿砂の他には・・・・・。



その頃、第二の関門・魔鏡の館の中では、ジュハとあまめが苦戦していた。
至る所に鏡が張り巡らされ、出口の見えない迷路に迷い込んでいた。
「ジュハ、このままでは敵を倒すどころか、この通路からも抜け出せないぞ!」
「あまめ!落ち着いて。必ずどこかに出口はあるわ!」
「でもなんか俺達、同じ所をぐるぐる回ってないか?」
二人は、至るどころにある鏡のせいで、完全に方向を失っていた。
「もう!我慢できない!こんな鏡割ってやる!」
そう言うとあまめは自分の銛で鏡を割り始めた。
しかしいくら割っても鏡は何処までも続いている。
「ジュハ!お前のバジュラで何とかならないのか?!」
ジュハも何処までも続く鏡に絶えきれず、バジュラを使って鏡を割り始めた。
その時どこからともなく声が聞こえた。
「愚かな人間ども!わらわの魔鏡、いくら割っても無駄な事よ!」
「貴様?!こそこそ隠れてないで出てこい!!」
「ほほほほほ?!わらわは逃げも隠れもせん!」
突然、鏡に映し出された女!
妖艶なその白き顔に真っ赤な一文字の口を歪ませて笑っている。
「てめぇ?!」
あまめがその女めがけ銛を投げつけるが、鏡が割れるだけだった。
何度も何度も繰り返すが、ただ鏡が砕ける音が響くだけ。
「おやおや、もうお終いかえ?」
その言葉に踊らされあまめは力任せに鏡を割っていく。
だが、いくら割っても鏡は減らない。むしろ増えている様にも感じていた。
「あまめ!待って!」
ジュハのその声にあまめは動きを止めた。
「このままでは埒があかないわ。」
「じゃ!どうすりゃいいんだ!!」
「もう終わりかえ?ならばわらわの方から行くぞえ!」
そう言うと、粉々になり地面に散らばっていた破片がフワッと宙に浮いた。
「ジュハ!気をつけろ!」
その時!宙に浮いた鏡の破片は、二人に向かって襲ってくる!
「危ない!」
その破片をかろうじてよけた二人だったが、交わした鏡の破片は別の鏡に当たりその鏡を割った。
更に破片の数は増え、二人めがけ飛んでくる!
何度と無く交わすが、その都度破片は鏡を割りその数をドンドン増やしていくだけ。
「ちきしょう?!どうすりゃ良いんだぁ?!!!」
逃げまどう二人を、無数に増えて行く鏡の破片が襲う!
「逃げても無駄なこと!無数の破片に切り刻まれここで死ぬが良い!!」
妖艶な白き顔の女は益々真っ赤な口を歪ませ笑っている。
「てめぇ?!姿を現して戦ったらどうなんだ!!この?卑怯者!!」
あまめの罵声に、くっ!と口を歪ませ、女は突如二人の前に現れた。
「下素なおんな!わらわを卑怯者呼ばわりするとはゆるさぬぞ!!」
「へっ!鏡に隠れてこそこそしてるてめぇ?なんざ!弱虫の卑怯もんよ!!」
あまめの口の悪さにさすがの女も鬼の様な形相になり怒りを露わにしていた。
「その侮辱!ただではすまんぞ!!」
怒りに狂った女は、鏡の破片を剣の様に変化させ、あまめめがけ斬りかかってきた。
(カキーーーン!)
その剣をあまめは銛で受け止めた!
「ジュハ!今だ!」
その合図で、ジュハはバジュラの力を女に向けた!
「はっ!」
バジュラの光は女めがけ飛んでいく、が!!
光は女を通り抜けた!!
「何?!」
折角の二人の作戦もこの女には通用しなかった!
「ほほほほほ?!そんなものでわらわが倒せるとでもおもったか!!」
困惑する二人を、鏡の剣が襲う!
「てやっ!」
「はっ!」
「ほほほほ?どんなに交わしてもお主らの力が尽きるまでその剣は追いかけるぞ!」
勝ち誇ったように女はその真っ赤な口を益々歪ませて笑っている。
どんなに交わしても跳ね返しても襲ってくる鏡の剣に二人とも疲れが見えてきた。
『どうすれば・・・どうすれば・・・・』
襲ってくる剣を交わしながらジュハは考えていた。
『どんな敵であろうとも必ず弱点はあるはず。しかし・・・・』
「あまめ!お願い!少しの間私を守って!」
ジュハには何か考えがあると、あまめには分かった。
「よっしゃー!」
印を結び真言を唱え始めたジュハを、あまめは必死に守る。
「ほほほほ?一人でいつまで持つかな?どんな事をしても無駄なこと!素直にやられておしまい!!」
「うるせ?!このくそババァ?!!」
「くっ!くそババァ?!?!!!この?小娘め!!」
ジュハは気を追っていた。
『飛び交う鏡の剣はどこかに居る女の念で動かしている!その念を追えば・・・』

「そこかー!!」

ジュハは念の集まる一点、一枚の鏡に向かってバジュラを投げつけた!
「ぎゃーーーー!!」
その声と共に、あまめの前に居る女がバジュラを受け苦しみだした。
「あまめ!その女の本体はあの鏡よ!あの鏡の女を狙って!!」
「分かった!ジュハ!!」
あまめはジュハが指さす女が写っている鏡に向かって銛を力一杯投げつけた!
(ズバッ!)
あまめの銛は女の腹を突き刺した!
「おっ・・・おのれ人間・・・・・」
そのとたん!その鏡は粉々に割れ、目の前の女も粉々に砕け散った。

女が倒された為、崩れ行く鏡の館を二人は後にした。



こうして二つの関門は、二人の命を失いながらも突破する事が出来た。
残るはただ一つ。京と希望が向かった《心眼の館》のみ。


だが、その心眼の館では、京と希望の二人は、暗闇の中に居た。
暗闇の中を只ひたすら歩いていた。
何処まで行っても何もない暗闇。
外から見たときはそれ程大きく感じなかった心眼の館。
扉にもなんの仕掛けもなく、まるで二人を受け入れるかの様に扉が開き二人は中へ入った。
扉が閉まると、真っ暗な闇が何処までも何処までも続いていた。
「京ちゃん!どう言うことなんだろう?何処にも敵らしき奴も居ないし何処まで行っても出口、見あたんないよ!」
「私にも検討がつかない。なんの気配もなく、只暗闇が続くだけだ。」
京は精神を集中して周囲の気を探っていた。
だが、何一つ感じられない。悪しき気配もこの暗闇には存在しない。
そう!ただ暗闇が二人を覆っているだけ。
全く方向さえ分からない状態に二人は居た。
『どうすればここから出られる?何が目的でこの館はつくられて居るんだ。』
京は心の中でずっと考えていた。
希望はそんな京に只ついて歩くだけ。
ふっと立ち止まり、何かを思いつき京は紫炎を抜いた。
「希望、少し下がっていろ。」
希望は京の言うがまま少し距離をおいた。
なにやら剣に念を込め始めた京は、貯め込んだ念を一気に放つよう魔剣を振りかざした。
「はっ!」
魔剣《紫炎》から凄まじいほどの紫の光となって京の念が飛んでいく。
だが、その紫の光も暗闇に飲み込まれ、何も無かったかの様に静まりかえる。
京は続けざまに魔剣を振りかざし、四方に念を飛ばした。
だが、京の試みもむなしく、紫炎の光は暗闇に吸い込まれていくだけ。
「な?んも、おきないね?」
希望の退屈そうな声を聞いて、京も落ち込む自分を感じていた。
「京ちゃん!そうガッカリした顔しないでがんばろう!」
希望の自分を励ますその言葉に京は、はっと、する。
「お前!今私のガッカリした顔と言ったな?」
希望は京の言葉を不思議そうに聞いている。
「うん、言ったよ。だってガッカリした顔したじゃん!」
京は思った!
『何故気がつかなかった!光の無いところで何故お互いの姿が見える!?
 普通なら真っ暗な中お互いの姿さえ見えぬはずでは無いか!』
「希望!お前この暗闇で何故、私の姿が見えると思う?」
京のその質問に希望は戸惑った。
「何故って言われても見えるんだもん!それにずっと京ちゃんの気も感じていたし」
『そうか!』
京は希望のその言葉で何となく理解した!
『この館は存在そのものに疑いもなく受け入れる者だけが見ることの出来る世界・・・』
「希望!ここには敵は居ない!居るのは私とお前だけだ!」
「えっ?!どう言うこと?」
「つまりはじめからお前と二人だけがここにいる。そしてここが闇だと思って居るからいつまでも闇の中なんだ!要は心から信じている事だけが見える世界。」
「良くわかんない?」
「じゃ、良いか、目の前に出口があると思え!一切の疑いを捨てて出口の存在を信じろ!」
「・・・・う?ん??わかんないけどやってみる!」
そう言うと京と希望は目をつぶり出口を探すのではなく、目の前にあると信じる様に心から思い目を開けた。
「あっ!」
二人の前に今まで暗闇だけしか無かった空間に出口が見えた!
「行くぞ!」
「うん!」
二人がその扉を開けて外に出ると、館があったその場所には只歩いてきた道だけがあった。


「よくぞ関門をくぐり抜けてきたな。」
信長はその様子を見て、笑っていた。
「信長様?」
蘭丸には分からなかった。信長の考えが・・・・・・。


「ジュハ!あまめ!それに阿砂!」
三人の姿を見つけた京は、阿砂と共に入ったはずの青燕、飛炎の姿がないことを知ると何も言わず、阿砂の肩を抱いた。
ジュハ、あまめ、希望もその姿を見て又大事な仲間を失ったことを知った。
だが、彼女らには立ち止まっている事は出来ない。
死んでいった仲間達の為にも進まなければならないこと誰もが知っている。
「進もう。」
京のその言葉に従い今は先を目指す五人だった。


五人は、一本に繋がった道を歩き始めると一つの扉に行き着いた。
「ここが最後の鬼・信長が待つ本丸か。」
扉は五人が開こうと手を添えると、自ら開き始めた。

「ようこそ!我が城本丸へ!」
信長が五人の戦士を石で出来た玉座に座り、待ちわびたかのようにこちらを見ている。
「貴様が信長か?!」
信長を前にして五人は構えた。
「そう構えることもない!儂は戦うつもりなど無いぞ!」
「どういうおつもりですか?!」
蘭丸がその言葉に呆気にとられ信長を問いただす。
「貴様!どう言うことだ!」
京も又、蘭丸のように信長の言葉に耳を疑った。
「儂は百年待った。この本丸に辿り着く人間を。そしてやっとおまえ達が辿り着いた。」
「待って居ただと!?」
「そうだ!儂はこの百年、おまえ達のような心を持った者達をな。」
「信長様!まさかあなたはあのお方を裏切るおつもりですか!?」
蘭丸は信長の信じられない言葉に思わず刀に手をかけた。
それを見た信長は、氷の様に冷たい目で蘭丸をにらみつける。
「話を続ける前に、約束通り娘を帰そう。蘭丸!」
蘭丸は不服そうな顔をしながらどこかへ消えていった。

その間、信長は静かに目をつぶり咲耶が来るのを待っている。
『どう言うことだ!?この信長と言う鬼、まるで邪気が感じられない・・』
ジュハも京と同じように信長からは、悪しき気を感じることが出来ず当惑していた。

すると蘭丸が二人の人間を連れて戻ってきた。

「紅蓮ちゃん!!」
希望は咲耶と共に居る鬼の姿をした紅蓮を見て何がなんだか分からなくなっていた。
「希望!お前の知っている奴か?」
「うん!京ちゃんと出会ったあの峠で、私とさっちゃんを逃がすために一人死人に向かって行ったの。」
「みんな!」
咲耶が京や希望、ジュハ、あまめ、阿砂の姿を見つけ駆け寄ろうとした。
だが、蘭丸に腕を捕まれ身動き出来なくなってしまった。
「蘭丸!その娘を離してやれ!」
「しかし!殿!・・・」
信長のその言葉に蘭丸は逆らえない。
蘭丸が手を離すと咲耶は五人の元に駆け寄った。
「みんな!」
「咲耶!」
「さっちゃん!」
「咲耶様!」
「咲耶!」
「咲耶殿!」
五人が自分の名を呼ぶのが咲耶にとって何よりもうれしかった。

その光景を眺めていた信長が口を開いた。
「では話そう!」
そう言って信長はおもむろに立ち上がる。
「儂はこの百年、おまえ達のような人間が来るのをずっと待っていた。」
京がその言葉を疑うように信長を凝視している。
「そう!わしはずっとこの日の来るのを待ちわびていた。永遠の命を持ちながら儂にはもはやなんの望みも無い。ただじっと己の無限とも言える時を待つだけだった。」
鬼神とまで言われた信長のその言葉に、蘭丸は自分が悪い夢でも見ているかの様に呆然と立ちすくみ信長のその声を聞いていた。

「待っていた?!この世を戦と疫病で民衆を苦しめ我々を自滅の道へ導いていた貴様ら鬼が待って居ただと!!ふざけるな!!」

京の鋭い眼光が信長をじっと見つめ今にも斬りかかろうとしている。

信長は京の鋭い眼光に臆することなく話を続ける。
「鬼か・・・・確かに我々は貴様らから見れば人を食らう鬼に見えるだろう。
 だが、われわれ鬼とて元々は貴様らと同じ人間だった。確かに百年もの長い時を戦いに明け暮れていた。全ての人間を巻き込んでな。
 戦いを望み、ある方からこの力を授かった時から我々は自ら鬼への道を進んで居た。
 確かに我々は人間を操り、戦わせた事もある。だが人間は自らも戦いを望み、その戦いが次の戦いを呼び、まるでわしら鬼のように人を殺すことなど何とも思わぬそんな人間も居る。そんな人間とわれわれ鬼と何が違う!」

その言葉に咲耶達は言葉を失った。

「人間は戦いを繰り返しそして今の歴史を作ってきた。戦いとは人間にとって必要不可欠でありその戦いが文明を築いてきた。そうはおもわんか?」
「確かにわれら鬼には人間が持たぬ力がある。だが人間にも貴様達のように鬼以上の力を持つ者とて居るではないか!そんな人間と鬼、何が違うと言うのだ!」

その信長の言葉を聞いていた咲耶はきっぱりと答えた。

「違います!確かに人間も戦いを好む者、殺しを望む者も居ます!でもそんな人の中にも平和を望み日々の暮らしを精一杯生きている者だって居るのです!だからこそ私たちは戦ってきた!先の見えぬ戦いを終わらせるため!」

咲耶のその言葉を聞きながら信長は、笑顔を見せて聞いていた。

「そうだ!その通り!人間には戦いを好まぬ者もいる!だがそんな事も分からず我々は只ひたすらこの百年、戦いを繰り返し戦いを広めてきた。 なんの為だと思う?ただ戦いが好きだからだと思うか?人間を支配するためだと思うか?
 支配するためなら簡単な事だ。
 百年もかからず世界を支配することくらい簡単な程我々には力がある!」
信長の言葉は戦いだけを好む鬼の言葉では無かった。

「では!なんのため我々人間を苦しめる!」

信長はため息の様な物を吐き話を続ける。
「では聞こう!おまえ達のその力どこから得た!?」
信長の突然のその問いに咲耶達は答えることが出来ず只信長を見つめていた。
「おまえ達のその力、人を思いやり人を信じそして自らを犠牲にしてまで戦ってきたその中から生まれたのでは無いのか!」

その答えに咲耶達は絶句した!

『確かに多少の霊力は持っていたとは言え、今ほどの力を持ったのはこの旅を通し戦いの中から得たもの。戦いが無ければ今の自分たちのような力も無かった。』
咲耶達はそれぞれ自分が戦ってきた苦しい旅を思い出していた。

信長は尚も話を続ける。

「おまえ達が呼ぶ悪しき気、それとて我々の力では無い!人間同士の戦いから生まれそしてこの世を覆っていたのだ。人を憎み戦いを続けた人間達が自ら作り出したもの。われわれ鬼は只、その力を利用したに過ぎない。」

あまりの信長の言葉に咲耶達だけでは無く、蘭丸さえも驚愕していた。

「では人間は自ら招いた悪しき気と戦っていただけだと?」

「そうだ!だからこそ終わらせることが出来るのも人間!われわれ鬼には自らの命を絶つことなど出来ぬ!そう創られた!だからこそ貴様らの様な者達を、わしはずっと待っていた!」

その話をじっと傍らで聞いていた蘭丸が剣を抜く!
「信長様ともあろうお方がその様な戯言を申すとは、ご乱心遊ばせたに相違ありません!
 ならばあの方の為、この蘭丸の手で葬るが主君への忠義!!」
そう言うと蘭丸は信長めざし斬りかかった!
(ドスッ!)
信長は全くよけようとせず、蘭丸の剣に身を任せた。
「信長!!」
突然のことに咲耶達は動けなかった!

「馬鹿な蘭丸よ。そなたはわしが創った只の人形にすぎん!わしが死ねばそなたも消え失せるのだぞ。」
だが、信長は蘭丸に殺されることを望んでいたかのように微笑んでいた。

「貴様ら!良く聞け!わしはもうすぐ消え失せる。だがわしが消えてもまだあのお方がおまえ達を待って居る!行け!この玉座を壊し真の敵と会うが良い!」
「信長!!」
信長は石で出来た玉座を指さし消えゆく体で咲耶達に言った。
「未来はそこにある・・・・・」
そう言って信長と蘭丸は消えていった。

その瞬間、傍らにずっと人形の様に立ちつくしていた紅蓮はその力を失いその場に倒れた。

「紅蓮!!!」
咲耶と希望は倒れ行く紅蓮の元へと走った。
「紅蓮!!」
咲耶に抱かれ意識が薄らぐ中で紅蓮は、正気を取り戻していた。
「咲耶様。希望様。ご無事で何よりです。これで安心して兄の元へ行けます。」
「何を言うの!気をしっかり持って!」
「紅蓮ちゃん!約束忘れたの!」
薄れ行く意識の中紅蓮が二人にほほえみかける。
「希望様。泣かないでください。泣かれては私は兄の元へ行けませぬ。」
鬼として生き返った紅蓮は、信長の死と共にその力を失い消えて行くのみだった。

泣きじゃくる希望と咲耶は消えゆく紅蓮の体を必死にとどめようとしていたがそれは無駄な事だった。
「姫様達。紅蓮はすでに死んだ身。最後に涙では無くいつもの笑顔を見せて貰えませんか・・」
紅蓮の最後の望みを叶えようと咲耶と希望は必死に笑顔を作るが止めどなく流れる涙はどうしようも無かった。

その時!咲耶の持つ宝玉《癒す星》が光を放ち砕け散り紅蓮の体を包んでゆく。
鬼として生まれ変わった体が徐々に人間の姿に戻って行く。
「姫様・・・」そうつぶやく紅蓮の顔は紛れもなく、咲耶と希望が知る優しく自分たちを守っていてくれた紅蓮その者だった。

だが紅蓮は静かに目を閉じ、深い眠りについた。
泣きじゃくり紅蓮の体にすがりつく咲耶と希望を残し。

そっと咲耶と希望の肩を抱き京が声をかける。
「最後に彼女は人として死んだんだ。そんな彼女を静かに見送ってやれ。」
二人は京の胸で泣いた。

「紅蓮。ありがとう・・・・。」
「紅蓮ちゃん・・・・・。」
二人は安らかな顔で眠る紅蓮に別れを告げ立ち上がった。

今この場にいる6人、いや!今は安らかに眠る紅蓮を含め7人!
全員の念を込めた最後の一撃が玉座に向けられる。

(はーーーーーーーっ!!!!!!)

全員のかけ声と共に念は一つとなり、石で出来た玉座もろともその後ろに隠された扉を吹き飛ばした。
「ここに全ての秘密があるのか・・・・・」

そう言って生き残った6人の戦士は全ての謎を知る【あの方】と呼ばれるものが待つ部屋へと歩き出した。


絵巻その六「最後の鬼?そして真実」終わり。


絵巻その七「終焉?そして・・・」へ続く。

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