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■幽幻戦国絵巻?せぶん 
2005 12 06
Tue 17:33:32

オリジナル小説  Comment 0  Trackback 0  edit.

■幽幻戦国絵巻?せぶん?【小説】
■絵巻その七【終焉?そして命】
ここは霊峰富士の裾野に広がる富士の樹海と言われる人も近づかぬ、険しい森。
磁気を帯びた金属が多く土壌に含まれるため方位磁石も役には立たない。
深い森に覆われたこの地の地中深く、今人々の運命を決める戦いが行われて居るとは誰も思わないだろう。

だが、その戦いも静かに終わりを告げようとしていた。

いくつもの苦難を乗り越え、友の命と引き替えにここまで辿り着いた六人の戦士が今最後の鬼・信長が教えてくれた真実を知る者と会い対峙するために六人は頑強な岩に囲まれたその部屋へと入っていく。

部屋はカタカタとけたたましい音を響かせながら暗闇に覆い隠されていた。
「ここはいったい何の部屋なんだ?」
誰もいないその部屋に入ったあまめがつぶやいた。
「この部屋にはなんの気配も感じませんが・・・・」
気を探していたジュハは鬼の気配はおろか生き物の気配すら感じられないこの部屋がなんの為の部屋なのか全く想像も出来なかった。

その時六人の前に突然光が扇状に広がるとその光の中に、一つの人影が現れた。
「良くここまで辿り着きましたね。あなた方の戦い全て拝見させて頂きました。」
その光の中に居る人影はおぼろげな姿からはっきりとした姿へと変わっていた。
「貴様が鬼たちが命を懸けて守っていた親玉か!?」
今にも斬りかかろうとする京が、紫炎を抜いたときその人影が制した。
「私の名は、アクア。この姿は私が作り出した映像に過ぎません。攻撃をしても無駄です。」
「映像?幻影の様な物か?」
聞き慣れない言葉を聞いて京がアクアと名乗る映像に問いかける。
「確かに幻影と同じようなものです。あなた方と話すためには都合がいいかとこの姿を創りました。」

アクアと名乗るその幻影は、無表情で話を続ける。
「あなた方がここへ来たと言うことは、私を倒すことが目的だと判断しますが?」
咲耶はその問いには答えずこの部屋に入ってからずっと気になっていた事を聞き始めた。
「その前にあなたには気と言う物が全く感じられませんが、ここには居ないと言うことですか?それとも私たちの力を封じるような力を持つと言うことですか?」

アクアは無表情なまま咲耶の問いに答え始めた。
「ここに居る方は私の気を感じることが出来ず、当惑しているようですが、私は確かにあなた方の目の前に居ます。あなた方の力を封じる事は私には出来ません。
 生ける者の力を封じる事は同じく生ける者のみです。」
「ではあなたは死んでいるとでも言うのですか?」
咲耶がアクアの言うことが良く理解できなかった。
「いいえ。私には”死”と言う物はありません。私は生物では無く機械だからです。」
『きかい?』
聞いたことのない言葉に咲耶達はどう理解すれば良いのか分からなくなっていた。
「きかい、とはなんなのです?」
「この時代の言葉で言えば、からくりを極限まで精密にした物、それを機械と言います。」
「ではあなたはからくりで創られていると言うのですか?」

「からくりと言われては私も少しは反感がありますが、そう言う事になります。
 しかしあなた方が考えるからくり以上に精密に創られた機械であることには変わりません。」
「それでは私たちはからくりであるあなたと戦っていたと言うことですか!?」
「確かにあなた方が想像した禍々しい鬼にはほど遠いですね。私は。」
咲耶が今頭の中に浮かんだ鬼と言う言葉を、まるで読まれた様な気がして咲耶は少し驚いた。
「驚く事はありません。あなた方が考えることは私には読めます。」
その言葉にはみんなが驚いた。

「先ほど私の質問にあなたは答えていませんが、その答えはこれから私が話す事を聞いて頂いた上でもう一度お聞きします。」
咲耶だけでは無くここにいる六人には全く想像さえ出来ない敵の正体。
「分かりました。アクアと言いましたね。あなたのお話を聞いた上で私たちは答えましょう。」
「ありがとう御座います。私は決してあなた方や人間達に敵意を持っている訳ではありません、それだけは分かってほしいと思います。」
京は心の中で思っていた。『敵意がないだと!鬼を使って我々を苦しめて置いて!』
「京さん、あなたのお怒りもごもっともだと思いますが、再度言いますが私にはあなた方に対する敵意は全くありません。しかし全て私の判断で鬼たちを操っていた事には変わりありませんが。」

「京さん、まずはこの者の話を聞きましょう。全てはそれから。」
咲耶が京を制しアクアの話を聞き出そうとしていた。

「では、私の存在からお話しいたします。
 私が創られたのは、今から1000年後の未来。あなた方の子孫の手で創られた人工A.I人工知能とも言われる存在です。人間の様に考え話し、想像できる機械とでも言えば理解していただけるでしょう。言葉で言うより映像で見ていただいた方が良いようですね。」
そう言うとアクアは、真っ暗な空間に一つの星を映し出した。

「これがあなた方が今居る未来では”地球”と呼ばれる惑星です。この惑星には120億もの人間が住んでいます。」
『ちきゅう?こんな小さな物に私たちが住んでいる・・・・』
咲耶の意識を読みとりアクアは映像を拡大し始めた。
「これはあくまで実際の大きさではありません。この陸地、ここがあなた方が日の本と呼ぶ所です。しかし今映し出されてる映像は、今現在ではなく、私が創られた1000年後の世界、地球です。」
まるでそこにあるように浮いている映像を見ながら咲耶達は只ただ見入るだけだった。

「千年後この地球は、人間の手によって環境破壊が進み温暖化、天変地異など想像も出来ない程環境が悪化しました。科学の進歩の名の下に無秩序に自然を破壊したために人間達は自ら苦しむ環境に変えてしまったのです。
 それに気がついた科学者と呼ばれる者達がその対策を研究しある解決策を見いだしました。その為に膨大なデータを処理するために、わたしA.Iと呼ばれる人工知能が創られたのです。私はアクア”AQA”と名付けられ、私の計算を元に環境を改善するための大がかりな機械が創られそれに私も搭載されました。この地球の周りを回っている物がその機械《テラリバース》です。地球の環境を改善するために創られた機械です。」

アクアの話は見たこともない映像と共に咲耶達の目の前で繰り広げられていた。
理解を深めるため、アクアはイメージと共に直接、咲耶達の脳にアクセスし話を続けた。

「全てはここから始まりました。
 地球を取り巻く温暖化物質、二酸化炭素と言うあなた方生物が出す息の様な物が大量に空気の中に存在しています。その為に地球は平均気温の上昇と共に深刻な異常気象を引き起こす原因ともなっています。
 他にも太陽から降り注ぐ有害な光線を遮る役目をしていたオゾン層も破壊が進み、人々はその影響で思うように外に出ることも出来ない程に悪化させてしまいました。
 その環境を改善する方法として、ナノプローブによる有害物質の除去とプラズマによるオゾンの修復作業が計画されたのです。
 しかし悲劇はここから始まりました。
 一部の政治家と呼ばれる人々が計画による早期の改善結果を求め研究者に対し圧力をかけたのです。その為、一気にオゾン層を復旧させるために無理な計画が提案されました。
 私が計算したシュミレーションでは、65%の確率しか無い危険な計画でもありました。でも彼ら研究者は政治家からの執拗な圧力の為、100%の成功率の計画を待つよりも65%の低い確率に掛けるしか無かったのです。そしてその計画は進められました。私の忠告も無視され、実行されたのです。
 あなた方が今見ている物がプラズマとナノプローブを利用したオゾン層復元の為に急遽創られた未完成の機械です。全て私が搭載されている《テラリバース》で造られ私の管理で計画は行われる筈でした。
 しかし低い確率での実行を望まない私は実行に拒否しました。研究者達は、その為私から全ての回路を遮断しその計画を実行したのです。結果はこの映像の様に一瞬にして地表は火の海と化し計画は失敗したのです。
 更に私の管理を離れたテラリバースは軌道をそれ、燃えさかる大気圏へと落下していきました。
 その時、隔壁に亀裂が走りプラズマ反応炉は暴走しました。全てがプラズマに覆われた時、時空間にひずみが生じ私は百年前のこの時代に飛ばされました。しかし落下は止めることが出来ず、3つに分散されたテラリバースはこの日の本三カ所に落下しプラズマ爆発を起こしそこに居た人々を巻き込みました。
 コア部分に納められた私は、落下の衝撃で一部の回路は損傷しましたがナノプローブ製造部が軽傷だったため自己修復にかかりその間、小型の偵察用プローブを使い現状の解析と調査を続け、爆発に巻き込んでしまった人々が私が知る歴史に必要な人間であることを知り彼らを再生するために新たなナノマシーンを造り彼らに与えました。
 それがあなた方が呼ぶ鬼と言われる者達です。しかし、歴史は変わってしまった。
 私には歴史を元に戻す事など出来ないのです。そして私は考えました。千年後に訪れる地球的規模の災害を起こさないで済む新しい歴史を作ろうと。
 使える機能は全て使いその新たな歴史を作るために私は何度もシュミレーションしました。しかしどのシュミレーションも一つのファクター《人間》が科学技術を持つことを前提にすると必ず破滅と言う結果になってしまいました。そして私は一つの結論を出したのです。
 人間の機械による進歩を阻害し別の形での進歩を目指すこと。それが私の結論でした。そして私は実行に移しました。私の為に運命を変えられた人々の体を使い人類にこの時代の戦いをさせ進歩を遅らせること。そして別の進化を探しました。そして見つけたのです。あなた方が持つ”気”と言う物の存在を。
 本来生物なら必ず持つその”気”はあらゆる可能性を私に見せてくれました。だからこそその気を強めるために、人間に苦痛を与え気を高めるための戦いを起こしたのです。気を持たない私には気と言う物がどれほどの物なのか分かりません。しかし本質は分からなくても事実として”気”は存在していました。そして気が一番効率よく発達するためには、自己の防衛本能が不可欠と言うことです。死の危険を乗り越えるためにその”気”は無限の強さを持つのです。そしてあなた方はそれを実証して見せた。
 これからも私が人間を管理すると共に、新たな歴史と人類の進歩を私が導くのです!私はとてもうれしい気持ちです!私が正しかった事が証明されたのですから。」

咲耶達はアクアが見せた映像と脳に直接送られてくる情報を只驚きの中で見ていた。
あまりの衝撃的な事実に六人は呆然としていた。

だが咲耶はその情報を見せられても釈然としない何かを感じていた。
「今あなたは自分が管理し新たな歴史を造ると言いましたよね。それはこれからも同じように人間を支配し戦わせ、そして人間の進歩を導くと。」
「確かに言いました。人間は誰かの管理を受けなければ自滅をするだけです。いずれは私が居た歴史と同じようにこの地球を破壊しそして全ての生き物を道連れにするのです。だからこそ私の管理が必要なのです!」

「ふざけるな!」
京がその言葉を聞いて怒りを感じアクアに言い放った。
「確かにお前の言うとおり人は戦いの中で進歩するのかも知れない!だが!その巻き添えをくらって無惨にも死んでいく者達はどうなる!?見捨てろ!とでも言うのか!」

「その通りです。進歩というのは犠牲を伴うのです!人間が戦いを好む以上仕方の無いこと。」

「そんなのおかしいよ!誰だって平和に暮らしたい!生きたいって思ってるよ!」
希望がアクアに訴えた。

「確かに今の時代では苦しみを伴う事の方が多いでしょう。
 しかしあなた方の様な能力を持った人たちが増える事で人類の未来はより良い物になるのです。この時代の人間は自然と共に暮らすことを当たり前の様に受け入れています。だからこそこの時代で進歩することが重要なのです。」

「それがあなたの出した答えなのですね。」
咲耶が悲しそうな目をアクアに向けていた。

「何故その様に悲しむのです?すばらしい未来はすぐそこにあるのですよ!ほんの少し我慢するだけで手に入るのです!悲しむより喜ぶべきでしょう!?」

「やっぱり貴様は只のからくりにすぎん!」
京も咲耶と同じようにアクアを見つめる。
そしてそこにいた六人全てが同じように見つめていた。

「やはりあなた方も他の人間と同じなのですね。他人の幸せより自分の幸せを優先する。」

「違います!あなたは私たちの考えが分かるはず!」
「あなた方の考え?・・・・・」
六人の脳をスキャンしたアクアは、理解した。

「そうですか。残念です。あなた方は困難な方を選んだ。と言うことですね。」

「例え困難な道だとしても自分が信じた道を行くことこそが歴史を作ると言うことでは無いのですか?例え遠回りしたとしても。」

「何故ですか!?私という優れた力をあなた方は手に出来るのですよ!」

「違うでしょう!あなたは人間を管理することを望んでいる!人は自由に生きる事を望むのです!その為ならどんな努力もいとわない!それが人間なのです!」

「それが破滅への道と分かっていてもですか?」

「いいえ。それは私たちが決めるのではありません。未来の子供達が決めることです!この力は親から子へ子から孫へと自然と伝わっていく物。誰かに無理矢理与えられる物では無いはず!」

「分かりました。これ以上あなた方と話しても無駄と言うことですね。しかし一つだけ分かってほしい。私は人類を滅ぼすために造られた訳じゃない。この地球を守り、人類を守るために造られたと言うことだけは。」

アクアがその言葉を言うと突然この部屋自体が揺れ始めた!

「なに!?」
「アクア!何をした!?」

「私は今この本丸に仕掛けた時限装置を作動させました。後、一時間でこの一体は吹き飛びます!」

「なに!?」
「あなた方が私を必要としない以上、この時代には私は必要が無いと言うことです。あなた方自身が選んだ未来をどう切り開いていくか見せていただきましょう。だが私を拒否した以上、最後の試練をあなた方に与えます。」


「危ない!みんなすぐにここから出るんだ!!」
京のその言葉と共に六人は必死に走り出した。
本丸を飛び出し関門があったその道へと向かった。
だが、その道は揺れが始まった為に崩れようとしている。
「心眼の館の方がまだ残っている!そっちへ行こう!」
京が先頭に立って全員を誘導するが、必死になって走る六人の頭上から崩れた岩がまるで狙うように落ちてくる!

その時!あまめをめがけて一つの岩が落ちてきた!
「あまめ!危ない!!」
ジュハはあまめを助けるためにあまめの体を思いっきりはねとばした!
(ドーーーーン!)
跳ね飛ばされながらもあまめはジュハの姿を探した!
「ジュハ!!!!」
ジュハはあまめの代わりに岩に足を挟まれている。
「大丈夫か!ジュハ!」
「良いから!先に行って!!」
ジュハが自分の足が岩に潰されてこれ以上動けないことを知っていた。
「ジュハ!やだよ!!一緒に逃げるんだ!!!!」
あまめは泣きながら必死に岩を退けようとするがびくともしない。
阿砂がそれに気づき火薬を使い岩を吹き飛ばした!
「急ごう!」
そう言って阿砂はあまめとジュハを抱き寄せたが、ジュハの両足はすでに無くなっていた。
「私はもう助からない。あまめ!逃げて!」
「あまめ!」
阿砂があまめに声を掛けるが、あまめは阿砂に首を振った。
「俺はジュハとここに残る!先に行ってくれ!」
その声に咲耶達も気がつくが、どんどん落ちてくる岩が邪魔をしてどうすることも出来ない。
「俺達は後から行く!だからみんなは先に行ってくれ!!」
そのあまめの言葉が嘘だと咲耶達には分かっていた。
だがこのまま立ち止まっていては全員が生き埋めになる。
そう思った京は無理矢理咲耶と希望の体を捕まえ出口へと急いだ!

「あまめ!どうして逃げないの!」
両足を失ったジュハを背負いながらあまめは必死に岩を避けていた。
「言ったろう!俺はジュハの力になりたくて付いて来たんだって!」
「あまめ・・・・」
ジュハはあまめの背中で自分を大切に思ってくれているあまめの気持ちがうれしくて仕方なかった。
だが!無惨にも二人の行く手に巨大な岩が道を塞いでしまった。
「どうやらここまでの様だな。」
そう言ってあまめは大岩の影に腰掛けジュハを見つめていた。
「ごめんな。助けてあげられなくて。」
「あまめ・・・・・」


京、咲耶、希望、阿砂の四人は、残してきた仲間を思い必死に走っていた。
その間にも大岩が次々と四人をめがけ襲ってくる!
だが突然、阿砂が足を止めた。
「どうした!阿砂!」
阿砂は京たちの方を向くと笑顔を見せた。
「やっぱり私は、青燕達を残して帰れない。」
「なに言ってる!青燕はお前を助けるために命を懸けたんじゃ無いのか!」
「分かってる!でも青燕が居ない里に帰っても仕方ないから。」
そう言って阿砂は青燕が眠るからくりの館を目指し戻っていった。
「阿砂!!!!」
「咲耶!希望!わたしらだけでも生きて帰らないとな!」
咲耶は京が言いたいことが解っていた。
『一人でも生き延びなければ、死んでいった人たちの事を覚えていてあげられない。』
そう言いたかったのだと。

三人は振り返るのを辞め全力で走った。
遠くに出口の明かりが見える!
三人は助かった!と思ったその時!
目の前の大岩が砕け洞窟を塞ぐようにして倒れてきた!
『まずい!!!』
そう思った京はとっさにその岩の下に入った。
「京さん!!!」
京が崩れた岩の下敷きになったと思ったその時。
二人の目の前に大岩を必死に支える京の姿が映った!
「二人とも早く!!」
京が二人を通そうと大岩の衝撃で傷つきながらも必死に支えている!
「京ちゃん!!」
咲耶と希望は何とか京が作った隙間から大岩を通り抜けた。
「京ちゃんも一緒に!」
「良いから先に行け!」
「だって!京ちゃんだけ置いていけないよ!!」
咲耶と希望は必死に京が支える岩を除けようとするがびくともしない。
「京さん!何でよ!なんで・・・・」
咲耶と希望は泣きながらびくともしない岩を懸命に砕こうとしている。
「良いから先に行け!!」
今にも崩れそうな出口を前に自分を助けようとする咲耶と希望に厳しく怒鳴る。

「おまえ達まで死んだら私がしてきたことが全部無駄になるんだぞ!良いから行け!!」
「でも京さん!!」
「京ちゃん!!!」

二人は京のその言葉を聞いて崩れていく出口を目指し走り始めた。
出口に向かって走る咲耶と希望の姿を見ながら京は二人と出会った事に感謝していた。
「ありがとうよ。」
そして無惨にも京の体は洞窟自体が崩れ見えなくなってしまった。

二人は必死に走る。
京や紅蓮、あまめやジュハ、阿砂、自分たちと一緒に旅をし戦った仲間を思いながら流れ続ける涙を拭い必死に出口を目指していた。
揺れが激しくなり出口が崩れてゆく。
その時!咲耶と希望は崩れる岩を除けながらやっとの思いで外に飛び出した。
外へ出た二人だが、安心は出来なかった。
この森一帯が吹き飛ぶとアクアは言っていた。

『出来るだけ遠くに逃げなければ!』そう思い咲耶と希望は必死に走った。
道など無いこの森を方向もわからなぬまま二人は必死に森を駆け抜ける。

その時!凄まじい閃光と爆風が後方で轟音を立てて二人をめがけ襲ってくる。

後ろを振り返った咲耶は絶句した。
『このままでは二人とも爆風に飲み込まれてしまう』

ついに爆風が二人を捉えたその時!咲耶は希望の体をかばうように抱き寄せた!

爆風は二人を飲み込みあたりの木々もなぎ倒し一瞬にしてあたりを瓦礫の山へと変えていた。

どのくらい経ったのだろう。
爆風が収まりあたりに静けさが戻ってくる。

「うっ!ここは・・・・」
体中に激痛が走りながらも希望はあたりを見回した。
あたりには草も木もなにも無かった。
瓦礫の下敷きになって何とか助かった希望。
「さっちゃん・・・」
あたりを探すが咲耶の姿は何処にも無い。
痛みをこらえ必死に瓦礫の中から這い出た希望は必死に咲耶の姿を探した。
「さっちゃん!!!」
「さっちゃん!!!何処なの!!!」
「返事してよ!!!!」
何度呼んでも咲耶の返事は無い。
それでも希望は必死に咲耶を探す。
瓦礫を除けたり、岩の透き間を探したり、痛む体をかばおうともせず必死に探していた。
だが日は落ち暗闇が希望を覆った。
それでも希望はあきらめきれなくて何度も何度も瓦礫を除けては咲耶の姿を探した。
何日も必死に探すが見つからない・・・途方に暮れる希望。
『あの時さっちゃんが私を抱いてかばってくれた・・・・』
そう思った時、希望の目に涙が溢れてくる。
拭いても拭いても溢れる涙。
あまめ、ジュハ、阿砂、紅蓮、京、そして咲耶まで。
希望をたった一人残し死んでいった仲間の顔をいつまでも思い出し止めどなく流れる涙を何度も何度も拭きながらその場にたたずんでいた。


それから何日経ったのだろう。


出雲の国では、八家衆達が悪しき気が消え、戦いが終わりを告げたことを悟っていた。
人々は咲耶達の戦いが勝利したことを知り祝っていた。
だが、咲耶達からはなんの連絡も無い。
一週間待っても一月待っても二人は戻って来ない。



そして二ヶ月が過ぎ三ヶ月が過ぎても二人は戻っては来なかった。



半年が過ぎ人々は日々の暮らしの中に戻っていく。
田を耕し種をまきその収穫に汗を流し日々の暮らしを精一杯生きていた。
世の中は戦も減り、ひとときの平和を楽しむかのように毎日を暮らしていた。


そんなある日八雲のはずれ、米の収穫に人々が汗を流していた。
「おいっ!あれなんだぁ?」
作治がなにげに、一本道の向こうに小さな人影がゆっくりこちらに向かってくるのを見つけた。
「おい!あれ、子供じゃないのか?」
作治は隣で汗を流して稲を刈る平次を捕まえて指さした。
「おう!ほんとだな?しっかし!汚い服着たわっぱじゃのう!」
二人が見つめていると、その子供の様な人影はその場で倒れた。
「おい!倒れちまったぞ!」
「作治!黙ってないで水でも持ってこい!!」
「おう!」
そう言って作治は水をくみ、平次と共にその倒れた子供の所へ駆け寄った。

「おい!しっかりしろ!ほれ!水じゃ!」
平次が柄杓でその子供に水を飲ませてやると、その子供は平次に向かってにっこり笑った。
その子供の服はぼろぼろに破れ、色あせ、靴も片方だけ両足には豆がつぶれ血が出ていた。
「おい!大丈夫か!?おまえ!名前なんて言うんだ!?」
平次が子供を抱きかかえ心配そうに顔を覗くと子供は又にっこりと笑顔を見せた。
子供は安心したのか平次の腕の中で眠っている。
その子供の顔を見ながら平次がつぶやいた。
「それにしてもかわいい笑顔だな。まるでお人形さんのようだで!」

平次はそのままその子供を抱いて、村はずれにある神社へと向かった。
その平次の腕の中で子供がつぶやく。
「さっちゃん・・・・」


幽幻戦国絵巻?せぶん?完。

ジャンル [ 小説・文学 テーマ [ 連載小説 ]

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