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■『志音(SHION)』【小説】 
2005 12 06
Tue 18:03:51

オリジナル小説  Comment 0  Trackback 0  edit.

第二章  「生存?それぞれの刻?」
シオン編 Next 03.....
「爺さん、帰りは俺が手綱を持つよ。だから爺さんは荷台で一眠りすると良い。」
「それは良いがお前さん、来るとき眠っていたのに帰り道が分かるか?」
「あぁ、大丈夫だよ。安心してくれ。」

シオンはそう言うとトレーサーを取り出し装着した。

「なんじゃ?それは?」
「これかい?これは色んな事を教えてくれる便利な道具だよ。」
「まぁ、よく分からんがそう言ってくれるなら儂は寝かせてもらうが、道に迷ったらいつでも起こせば良い。」
「あぁ、そうするよ。」

ウナルは何となく不安げな顔を見せたが、『シオンにはこれも良い経験に成る』と言いながら荷台にその老体を横たえた。
シオンはポッドから送られてくるガイラースの地図を検索してウタリまでの帰り道を表示させながら送られてくるガイラースのデータに目を通していた。
『ガイラースはまるで一つの巨大な大陸の様に見える・・・・ユーラシア大陸に匹敵する大きさの様だな。だがこんな小さな質量で重力も大気も有ると言うことは何かのエネルギーが関与しているのは確かだが、これと言って特異な物が外界に見あたらないとするとガイラース自身が特異なフィールドを形成していることに成るが・・・・・』
シオンは考えられる限りの仮説を立てて見たがどれも想像の域を出ることは無かった。

二人を乗せた荷台を疲れた様子も無く引っ張り続けるポロルはゆっくりとザウの砂漠を進んでいく。
時折、ゆったりとした時間の中シオンがウトウトと眠気に襲われたが、それでもポロルはまるで帰る道を知っているかのようにゆっくりとだが着実にウタリの村を目指していた。

だがそんな眠気もトレーサーからの報告で吹き飛んだ。

《ポッドからの情報で前方1kmに生命反応を二つ関知しました。データーから人間と判断されます。》
「人間?映像は出せるか?」
《いいえ。現在その生命体は、岩陰に隠れている為直接の確認は出来ません。しかし一体の生命体は体温のデーターからかなり衰弱しているものと思われます。》

シオンは考えあぐねたが荷台で眠っているウナルを起こす事にした。

「爺さん起きてくれ。この先に倒れている人がいる様だが、どうする?」
「なんじゃ?こんな砂漠で倒れている者が居る?どこじゃ?」
「この先少し行った所の岩陰に二人居る。一人はかなり衰弱しているようだ。」
「お前さん、何でそこまで分かるんじゃ?・・・・まぁええ。これも何かの縁じゃ。」

シオンはその言葉に自分もウナルの穏やかで人柄の良い性格に命を助けられた事を思い出していた。

やがてシオンの誘導で二人を乗せた荷台は、トレーサーが示す岩陰へと辿り着いた。

「おーい!誰かいるか!儂等は怪しいものじゃない!困っているなら手を貸すがどうだ!」

ウナルがシオンの指さす岩に向かって大声で叫んだが、こちらを伺って居るのか返事は無かった。

「安心しろ!儂等はこの近くに住むウタリのもんじゃ!」

シオンとウナルの姿を確認したのか、岩陰から人影が姿を現した。

「助かる!旅の途中連れが熱を出して困っていたんだ。出来れば水を分けて貰えないか?」
「水だけで良いのか?良ければ儂等の村まで乗せていってもかまわんよ!」
「それは助かる!それじゃ今そちらへ行く、待っていてくれ。」

そう言うとその男は、岩陰に居たもう一人の男を担ぎ荷台に向かってきた。
シオンはその姿をみて少し驚きを覚えた。
はじめに出てきた男も鍛え抜かれた長身の体をしていたが、気を失い担がれているその男もかなり鍛え上げられた男・・・まるでギリシャ神話に出てくる戦士その者だったのである。
男は荷台にもう一人の男を寝かせると、見慣れない出で立ちをしているシオンを見つめた。

「すまん。俺の名はガオウ。それにこいつはガゼル、ある事情があって二人で旅をして居たんだが砂漠でワームに襲われ、ザクを失いどうやらこいつもワームの毒にやられたようなんだ。」
「ワームの毒?それは大変じゃ。村に行けば薬草も有るが今は持ち合わせておらん。様子から見て一刻も早く毒消しを飲ませんと・・・・・村まではどんなに急いでも4目はかかる。」
「いや、良いんだ・・・・これも運命・・・・」

倒れて寝ていたのかと思ったガゼルがたどたどしくも口を開いた。

「すまん。ガゼル・・・」
「お前が謝る事じゃない・・・それにこれは俺の戦士としての力の無さからきた事・・・・」

ガオウにはそれ以上何もガゼルにかける言葉が無かった・・・・・
そんな彼らを見ていたシオンは、シャトルから持ってきた携帯用医療パックを思い出し荷台を探していた。

「ちょっと良いか?俺が持っている薬の中に役立つものが有るかもしれない。俺に具合を見させてくれないか?」
「あぁ、それは構わないが・・・・」

シオンが取り出した医療パックを見てガオウは少しためらったが、一分の望みをかけてその場をシオンに空け渡し心配そうに見守っていた。

『トレーサー。彼の症状をスキャンして有効な対処法を頼む。』
《了解しました。》
じっとガゼルを見つめて何かをつぶやいているシオンを、ガオウとウナルは不思議そうに見守って居る。

《スキャン結果が出ました。サソリに良く似た毒素が検出されましたのでPH286のアンプルが有効かと思われます。》
『分かった。』
シオンはトレーサーが導き出したそのアンプルをパックから取り出し注射ガンに装填するとガゼルの頸動脈へ当てた。
「うっ・・・」
「心配するな、これは直接体の中に薬を入れる機械だ。」
「シオン、お前さんそんな事まで出来るんじゃな。」
「爺さん、これは俺の居た世界ではそんな不思議な事じゃないよ。道具さえ有れば誰にでも作れる。」
「シオンとか言ったが、お前は爺さんの息子じゃ無いのか?」
「あぁ、俺もあんた達とおなじでこのウナル爺さんに倒れていた所を助けられたんだ。」
「それで爺さんと違って変わった服を着ていたんだな。」
「変わった服・・・・あぁ、確かにこのガイラースじゃ見かけない服だろうな。これは俺が居た世界の服なんだ。」
「それじゃ、あんたはガイラースの人間じゃ無いのか!言い伝えでは聞いていたが本当に別の世界が有るんだな。」
「そう言うことだ。だからあんた達が見たこともないこういった物も持っているんだ。」
「オッ!薬が効いてきたようだな。良かった血の気が戻ってきた。」

薬で毒が中和され血の気を失っていたガゼルの体にうっすらと血の気が戻り、熱も下がって来たようだった。
《体温38℃、脈拍70、毒素は完全に中和されました。》
『分かった。』
「どうやら毒は消えた様だ。直に熱も下がるしもう心配無いぞ。」
「すまん。なんと礼を言ったらいいか・・・・」
「いや、良いんだ。困っているときはお互い様だから。」
「本当にすまん・・・この恩は命に代えても返させてもらう。」
「なに言ってんだ!せっかく助けた命を貰ったって俺はうれしく無いぜ。」
「ははっ・・・・それもそうだ・・・・」

ガゼルは毒が消えて楽になったのかそのまま眠りについた。
四人の男達を乗せ重たくなった荷台だったが、小柄なポロルは依然と気にしないかのように又ゆっくりとした足取りでウタリの村へと向かって行った。

「お前さん達、こんな辺境な土地まで何しに来たんじゃ?訳があるなら無理に話さなくても良いが」
「いや、別に隠すような事でも無い。俺達はある盗賊を追ってここまで来たんだ。」
「盗賊?」
「あぁ、ギルと言う奴が引き連れた6人を追っている。砂漠の北にあるムンカの街を襲ってこちらに逃げていったと聞いたんでな。」
「あんた達はその盗賊となにか訳ありなのか?」
「あぁ、奴らはガゼルの村を襲って村人を皆殺しにした、俺はガゼルとは昔、剣闘士仲間でな俺が剣闘士を抜けてからガゼルの村で世話になっていたんだ。しかし俺達が旅に出て久しぶりに戻ってみたら村は廃墟に成っていた。その後村を襲ったのがギルが頭をする盗賊団だと分かってそれから奴らを捜して旅をしていたんだが、やっと見つけたムンカの街で奴らと戦ったんだが、その戦いの中、ヤツらは手下を置いて姿をくらました。色々調べたら7刻ほど前にザウの砂漠を南に向かったと聞いて後を追ってきたんだ。」
「爺さん!村は大丈夫なのか?」
「心配する事もないさ。村にはこれと言って金目のものはなんもないからの。」
「いや!わからん!ヤツらはただの盗賊じゃない。人の命など何とも思わない連中なんだ。
 遊びで村人を殺した事もある。」
「それじゃ・・・・」
「あぁ!急いだ方がいいな。」

その話を聞いてウナルはポロルに鞭を打ち込んで急がせた。
のんびり歩いていたポロルだったが突然の鞭で今まで見たこともない早さで必死に走り始めた。

『サーチ!この先の村をポッドで調べてくれ!』
《了解。》
シオンはデータが送られてくる短い時間が、あまりにも長い時間に思えていた。

『リン無事でいてくれ・・・・・・』


ちょうどその頃、村の入り口に近づく6人の人影がザクに跨り村の様子を伺っていた。

「頭。何かちっぽけな村ですぜ。大した金目の物もないみたいで。」
「わからんぜ。結構こういった小さな村ほど、村の宝って言うものを持ってるもんだ。」
「そういうもんかね。あたしには薄汚い村にしか見えないけど。それよりあたしは体を洗いたいよ、砂漠なんて走るから砂で頭までザラザラしていて気持ち悪いったらありゃしないよ。」
「俺は食い物が有ればそれで良いぜ。」
「ドムルは食い物さえ有ればどこでも良いからな。」
「へへへッ!ベアハッグの言うとおり!」
「うるせーなぁ、ギッツ!頭かち割られたいのか!」
「おー!怖!」
「俺は切り刻めりゃそれで良いぜ!」
「ザハーン!殺るのは良いけどよ。仲間まで襲うのはやめろよな!俺はお前のその爪で死にそうに成ったんだからな!」
「そういやぁ、その頭の傷ザハーンにやられたんだっけな。」
「おう!そうよ!滅茶苦茶痛かったんだからな!」
「だからあたしが縫ってやったじゃないの。」
「よく言うよ!姉御!革ひもで縫われちゃザハーンに切られた傷より痛かったんだぜ!」
「良いじゃん!前より男前に見えて。ハハハハハ」
「そうかな?へへへッ」
「馬鹿かおまえは。」
「ひでーなぁ、お頭。」
「それよりギッツ!村の中を見てこい!」
「へい!」

そう言うと小柄なギッツは素早い身のこなしで村の家々を調べ始めた。

「こんな村、堂々と入って行ったら良いじゃないの?どうせまともに戦える奴なんて居ないんだから。」
「用心に越したことは無いって!」
「あーあぁ、40人も居た盗賊の頭が今じゃ用心深くなっちゃってがっかりだよ。」
「うるせえなぁ、俺だってたった二人の剣闘士にやられるとは思って無かったんだよ!」
「あぁ、確かにあいつ等は強かったな。しかし仕方がないぜ。剣闘士一のガオウが相手じゃ、それにガゼルまで居たんじゃ百人居たって同じだったかもな。」
「絶対にこの借りは倍にして返してやるぜ!」
「どうやってあいつ等をやっつけるのさ?」
「わかんねーよ!だがなどんな手を使っても息の根とめてやる!」

そんな中、村の偵察をおわったのかギッツが戻ってきた。

「おぉ!帰ってきたか。でっ、どうだった?」
「お頭ー、この村は駄目ですぜ。大した金目の物もないし、ばばぁやじじいばかりで。」
「だから言ったじゃないの。こんな村堂々と入って言うこと聞かなきゃ殺っちゃえばいいのよ!」
「仕方ねぇ、食料と水だけでも手に入れるとするか。」
「お頭!だったら遊んで良いか?」
「あぁ、好きにしな。」
「へへへへっ!久しぶりに皆殺しにしてみるかな。」
「ありゃりゃーザハーンの目が血走ってるよ。」

今は六人になった盗賊達はまるでこれから楽しいゲームでも始まるかのような不気味な笑いを浮かべ村へと入って行った。


《データが送られてきました。村の近くにウマの様な物に乗った六人を捉えました。》
「なんだって!」
「どうした?シオン。」
「爺さん!盗賊と思える六人が村に向かってる!」
「どうしたら良いんだぁ!」
「シオン、焦っても仕方がない・・・・みんな無事で居てくれる事だけを祈るしか儂等には・・・」

そうは言っては見たが、ウナルも心の動揺を隠せなかった。

『俺達が行くまで無事でいてくれ・・・・』

シオンは唇をかんで焦る気持ちを我慢しようとしたが、益々膨らんでくる不安が体中を駆けめぐって居た・・・・

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