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■『志音(SHION)』【小説】 
2005 12 06
Tue 18:05:19

オリジナル小説  Comment 0  Trackback 0  edit.

第二章  「生存?それぞれの刻?」
シオン編 Next 04....
盗賊達はゆっくりと村の中へ入っていく。
「それにしても本当に寂れた村だな。こんなんじゃお宝どころか食いもんだってろくに無いんじゃないの。あぁ?嫌だ嫌だ、人間落ちぶれたく無いもんだね?。」
「頭、これからどうするんです?」
「ギッツ!村人を集めろ!言うこと聞かないようなら構わなねぇ?から叩きのめせ!」
「分かったぜ!お頭、任せてくれ!」
「おーーーーい!おめえら!よーく聞け!ここにいるギル様がおめぇらに話がある!すぐに一人残らずここに出てきな!すぐに出て来ない場合は俺様が見つけだして叩き切る!わかったか!?」

大きな声で叫ぶギッツに従うかのように6人の怪しげな連中を見つけ、恐る恐る村人達が集まってくる。

「オー!結構居るじゃねぇか!どこに隠れていやがったんだ!」

その時、村の長が彼らの前に歩み寄ってきた。

「旅のお方達、わしらになんの用か分からんがご覧の通りこの村は年寄りばかり、物騒な真似をせんでも食料と水位なら出来る限り用意させる、だから村人に危害を加えんで貰いたい。」
「ほ?う?物分かりの良い爺さんだ!だがなハイそうですかと素直に聞くような俺達じゃ無いんだ。悪いがな。」
「ではどうしろと?」
「だから言ってるじゃねぇか、全員ここに集まれってな!話はそれからだ!ジジイィ!」

村の長はとりあえず村人達に集まるようにそれぞれ指示を与え、やがて百人ほどの村人全員が怯えた表情で出てきた。

「おばちゃん、どうしたの?何でみんな集まってるの?」

ざわついた村の騒ぎにリンは不思議そうにキナに問いかける。

「リンちゃん、あんたはどこか連中に見つからないように隠れておいで。」
「うん、良いけど・・・」
「良いかい、私が呼ぶまで絶対に出てきたら駄目だよ。分かったね。」

キナはそう言うとリンを家の中に隠し扉を閉じた。

「これで村の人間は全部じゃ、わしが代表で話を聞こう。」
「ほう?、本当にジジイィとババアァばかりだな。まさか若い娘とか隠して俺達が居なくなるのを期待してる訳じゃねえよな?もしそんな事を考えているんなら辞めておいた方が良いぜ。」
「そっそんな事は無い。これで村人全部じゃ。」
「本当か??まぁ良いや。どうせ後で分かることだからな。それじゃ本題に入ろうか。見ての通り俺達は砂漠を越えて来たんで腹も空いてるし体も洗いたいそれに疲れているんでな、休めるところがほしい・・・あっと!酒もだ。」
「そのくらいならすぐにでも用意させよう。おい!・・・・」
「おっと!重要な事忘れてたぜ!この村にある金目の物全部ここに集めな!」
「金目の物と言われても・・・・・」
「良いから素直に出せば良いんだよ!」

ギルは困った顔をしている村の長を足蹴にし剣を取り出し村長の喉元にあてた。

「早くしないと一人ずつ殺していくぞ。あんな風にな・・・」

その言葉を合図に、ギッツは無造作に鎖鎌を抜いて村人めがけ投げつけた!
《シュッ!》
「ぎゃぁー!」
無造作に投げつけた鎌に斬りつけられた村人の一人が悲鳴と共に倒れ込んだ。

「何を!何をするんだ!」
「だから言われた通りにしろよ。じゃないと・・・・」
「わっ!分かった!何でも言うことを聞く!だからこれ以上村の衆に手を出さんでくれ!」
「始めっからそう言う素直な態度で居れば殺されなかったものを、あんたのせいだぜ!」

悔しさに身を震わせている村の長をギッツは不適な笑いを浮かべ見下ろしていた。

長の指示で村人達は村にある限りの食料と酒、それに金目の物を集め始める。

「これであんた等がほしい物は全部集めた。泊まる所も提供しよう。だから・・・・」
「だからなんだ?すぐに出ていってくれ?てか。ハハハハハァこれは笑える。」
「こっこれ以上何が望みなんじゃ?儂等にはもう差し出す物なんて・・・・」

長のその言葉を待っていたかの様に、ギッツはぎらついた目を輝かせる。

「あるじゃねえか。俺達は何にもない砂漠を渡って来て少々退屈してるんだ。だからよ!遊ばせてくれねぇか?」
「あっ遊ぶと言ってもこの村には・・・・・」

ギッツの目を見て村長は理解した。
『儂等の・・・・』
「そうだよ!わかりが早いじゃねぇか!はははは!」
「くっ狂ってる・・・・」

ギッツは恐怖で震えている長をあざ笑うかの様に見つめていたが、おもむろに村人に向かって叫び始めた。

「いいか!これから20数える!おめぇらはその間好きに逃げな!それとだ!俺達は6人しか居ない!俺達6人を全員倒したらおめぇらの勝ちだ!分かったか!さぁー!逃げな!!」

何がどうなっているのか状況が掴めない村人達はその場に呆然と立ちすくんでいた。

「皆の衆!逃げるんじゃ!こヤツらは儂等を皆殺しする気じゃ!早く逃げろ!」

突然の長の叫びに、何が始まったのか理解した村人達は一斉にその場を走り出した!

「逃げろ!逃げろ!ハハハハハッ!」
「お前ら!準備は良いか!?」
「へへへへへッ!これは面白いや!久しぶりに狩りができるぜ!」
「俺は酒でも飲んでるから、お前ら楽しんできな!」
「あたいはご免だよ。それより水浴びでもして綺麗にしてくるよ。」
「あぁ、好きにしな。」
「ギッツ!どっちが多く狩るか賭けようぜ!」
「おぉ!良いぜ!」

まるで人殺しを楽しむかの様に六人は各々の目標を定め奇声を上げながら走り出した!
その奇声を合図に村は一瞬で地獄絵図の様な修羅場と化して行く。

一人、又一人と抵抗する事も出来ず、鈍い骨が砕ける音、悲鳴ととも飛び散る血しぶき・・・血走った眼孔を輝かせ、まるで小動物をいたぶって楽しむかのように剣を振り回す野盗・・・・刃物を持ち出し、必死に抵抗しようと試みるが村人達には無駄なあがきでしか無かった・・・村中から聞こえる悲痛な叫びに、隠れていたリンは恐怖を覚えそっと窓の外を覗き見た・・・

その時!

「なんだ??!ガキがこんな所に隠れていたじゃねぇか?」
「・・・・・・?!」

突然扉を蹴破り現れたベアハッグにリンは恐怖で悲鳴さえ上げることが出来ずただ震えている。
『シオン・・・・爺ちゃん・・・・助けて・・・・』



シオン達を乗せたポロルは出しうる限りの力で荷台を引っ張り走り続けていた。

「もう少しだ!がんばれ!そうだ!後少し!!」

村の入り口までやっと辿り着いたポロルは力尽きたのか、その場に倒れ込んだ!

「爺さん!俺は先に行く!」

そう言うとシオンは取る物も取らず、荷台を飛び出した。
丸腰で飛び出したシオンを制止ガオウがガゼルの武器を手渡す。

「これを使え!丸腰じゃ戦えんだろ。それにお前一人じゃ死にに行くような物だ!俺がヤツらを倒す!」
「すまない・・・」

シオンとガオウは、村へと入って行くとそこには静けさを取り戻し物音一つ聞こえない・・・

「なに?!」
「これはひどい・・・」

二人がそこで見た物は、無惨にも殺され、道に折り重なるように倒れている村人達だった。

「何故だ?!何故こんな事が出来る・・・・・・」
「ヤツらには他人の命なんて関係ないのさ。」
「だからって!無抵抗な村人を・・・・・」

その光景を見たシオンは我を忘れて叫び狂っていた。

「出て来い!!人殺し共!!」

シオンの叫びが聞こえたのか、長の家からギッツとザハーンがゆっくりと出てきた。

「なんだ?てめぇ?!?」
「お前が盗賊か!?お前達が村のみんなを殺したのか!?答えろ!!」
「うるせぇなぁ?ぎゃぁぎゃぁと、だったらどうするって言うんだよ。」
「俺がみんなの仇を討つ!!」
「なに言ってんだ!お前??お前一人で俺達を倒すって言うのか?あまりのショックで気でも狂ったか?ギャハハハハ?これは面白い。笑えるよ!てめぇ。なぁ?ザハーン!」
「あぁ、面白すぎて反吐がでりゃ?!!」
「そう言えるかな?ギッツ!ザハーン!」

シオンの後からガオウが剣を握って現れた。

「オッ!おめぇは・・・ガオウ!!なっ!何でここに・・・・」

ガオウを見たギッツとザハーンの顔色が一瞬で変わった。

「かしらー!!大変だー!ガオウが・・・ガオウの野郎が・・・」
「何騒いでいやがるんだ。せっかくの酒が不味くなるじゃねぇか・・・」

酒瓶を片手に現れたギルは、ガオウの姿を見つけると、ニタァ?と不適な笑いを浮かべた。

「これはこれはガオウ、こんな所まで俺達を追いかけてきたのか?しつこいね?そんなんじゃ女にもてないぜ。」
「戯言はそれだけか、ギル!!」
「おー怖!そんな怖い顔するなよな。長いつき合いじゃねぇか。」
「あぁ、腐れ縁もここまでの様だな。ギル。」
「さぁ?それはどうかな?おい!ベアハッグ!そのガキ連れてきな!」
「あぁ」

そう言ってベアハッグは、家の中から小さな子供を連れて出てきた。

「リン!」
「シオン!!!」
「なんだ?お前達知り合いか。このガキが言っていたシオンって言うのはお前の事か。」
「リンを放せ!」
「お前馬鹿か?ハイそうですかって、人質放す奴がどこの世界に居るんだよ。」
「卑怯だぞ!ギル!」
「良いんだぜ?。このガキと一緒に俺をぶった斬ってもよ。」
「ギル、貴様・・・・・」
「やっぱりなぁ?剣闘士一の戦士と言ってもガキが居たんじゃ手も足も出せないってか。」
「なんてやつだ・・・・・」
「儂が変わりに人質になる、だからその子を放してくれ。」

後を追ってきたウナル爺さんが怒りに我を忘れているシオンを制止ギルの前に出てきた。

「ジジイィは引っ込んでろ!人質って奴はな無抵抗でかわいげのあるガキだから価値があるんだよてめぇみたいな老いぼれは利用価値なんざねぇーのさ!」
「爺ちゃん!みんなが・・・」
「リン・・・・・」
「そうだ!爺さんにチャンスをやろう。爺さんとそうだなぁ・・・ギッツ!一対一で戦え。もし爺さんが勝ったらこのガキを返してやるよ。」
「ギル!貴様!」
「おや?せっかく俺が正々堂々とガキを取り戻せるチャンスをやろうと言うのに?俺の優しい心が分かって貰えないのかなぁ?残念だなぁ?」
「分かった。儂が戦おう。リンは儂の大事な孫娘じゃ、命に代えても・・・」
「無理だ!爺さん!爺さんがかなう相手じゃない。」
「俺にやらせてくれ!俺が爺さんの代わりに戦う!」
「シオンとか言ったな。俺は爺さんとギッツの戦いが見たいんだよ。引っ込んでな!」
「しかし・・・・」
「良いんじゃ、どうせこのままじゃ儂等にはどうする事も出来ん!一歩の望みが有るのなら儂は戦う。」

ウナルは持ってきた剣を引き抜き構えて見せた。

「ほう?爺さん!中々どうして!堂に入ってるじゃねぇか。がんばれよ!ギッツ!」
「へへへへっ!多少でも歯ごたえが無いと面白くないもんな。」

ウナルとギッツはお互いの間を計るように距離を取り始めた。
『あの鎖鎌では一瞬が勝負じゃ。どうあがいても体力ではかなわん・・・・』

「どうやら爺さん、かなりの腕の様だな・・・・」
「分かるのか?ガオウ。」
「あぁ、構えを見ればそれなりの力量は分かる。だがギッツの鎖鎌の攻撃を除けられても爺さんの体力で倒せるかどうか・・・・・」
「爺さん・・・・・」

ギッツの鎖鎌の鉄球は今ウナルを狙い円を描いて回りだした。

「へへへっ、俺の鉄球をそんな細い剣で払いのけられるのか?来いよ!かかって来いよ!」
「・・・・・・・」
「どうやら怖くて動けないようだな。ジジイィ!じゃ!こっちから行くぜ!」
《ヒュン!》
ギッツの鉄球がまるで生き物のようにウナルをめがけ飛んでいく!
《キーン!》
ウナルは微動だにせず鉄球をはじき返した。

「ほう?やるじゃねぇーか。」
《ヒュン!ヒュン!》
まるで伸び縮みでもするかのようにギッツの鉄球はウナルをめがけ二度三度と飛んでいく!

「駄目だ!このままじゃ爺さんの体力が持たない・・・・」

ガオウがそう思った瞬間!ウナルはその場にしゃがみ込み一気にギッツの足下をめがけ飛び込んでいった!

「なに?!」

ウナルが放つ切っ先がギッツの足を捉えたかと思ったその時、ギッツの体は宙を飛んでいた。

「へへへ!甘いんだよ!ジジイィ!死ねー!」

渾身の力で切り込んでいたウナルの背中をめがけ、ギッツの鎌が振り下ろされる!
《グサッ!》
「うっ・・・!」

背中に鋭い痛みを感じウナルはその場に倒れた。

「爺さん!!」
「おじいちゃん!」
「なんだ?もっと強えぇ?のかと思ったら以外と弱いでやんの!」

あまりにも拍子抜けしたのか、ギッツは止めを刺さずその場を去ろうとしていたその一瞬!
《グサッ!》
ウナルが背を向けたギッツの足に剣を突き刺していた。

「てめ?!」

ギッツはウナルの剣を引き抜き放り投げると、ウナルの腹をめがけ鎌を突き刺した!
背中と腹に深い傷を負ったウナルは血へどを吐きその場に崩れた。

「爺さん!!」

駆け寄るシオンはウナルの体を抱き寄せ何とか血を止めようとするが深い傷からは止めどなく赤い血が流れていく・・・・

「爺さん!しっかりしてくれ!今薬で・・・・」
「良いんじゃ、シオン・・・もう・・・・」
「駄目だ!死ぬな!死んじゃ駄目だ!」
「シオン・・・すまぬがリンの事・・・」
「あぁ!俺が絶対に助ける!だからまた三人で暮らそう・・・」
「そうじゃな・・・・また三人で・・・・」

ウナルはそう言い残し力尽きて動かなくなってしまった。

「爺さん・・・・・・」
「爺ちゃん!死んじゃやだよー!じいぃちゃ?ん!!!」
「あらら?残念だったな?面白い勝負だと思ったのに。」
「貴様?!許さない・・・・」
「おいおい!これは勝負だぜ。負けたのは爺さんが弱いからじゃねぇか。俺を恨むのは筋違いってもんだろ。」
「痛てて?どうすんだよ!又傷が増えちゃったじゃねぇか!」
「またシュメルに縫って貰えよ。」
「やだよ?!お頭?。またねえさんに革ひもで縫われたくねぇよ!」
「なんだって?!」
「ありゃ!ねぇさん聞いていたのか。」

洗ったばかりの髪を拭いながらシュメルが出てきた。

「せっかく水浴びしてゆったり気分で居たのに何の騒ぎだい?あら?ガオウが居るじゃないのこんな所まで追いかけて来るとは物好きだね。」
「おめぇ?今まで水浴びをしていたのか?」
「良いじゃないのさ!女はね、清潔が一番なんだよ!それにしてもガオウが居るのに何であんた達生きてんの?」
「そりゃ?ねーよ!ねぇさん!」
「なんでもな?このガキが居るとガオウは俺達に手も出せないらしいぜ。」
「へぇ?ガイラース1の剣闘士とも有ろうものが、小娘一人で何も出来ないんだ?こりゃ傑作!」

シュメルのその言葉に盗賊達は笑いが止まらないと言いたげにガオウを挑発していた。

『このままじゃどうする事も出来ない・・・どうする?』
『あの子さえ何とかヤツらから放せれば、俺が飛び込んで一撃を加えられる。』
『そうだ!俺に考えがある。俺の合図でいつでも飛び込めるようにしてくれ。』
「なにコソコソ二人で話しているんだ?このガキを見捨てて俺を斬る気になったか?」
「・・・・・・」

ガオウは剣に手をかけ身構えるだけで、ギルの挑発に乗ろうとはしなかった。

『トレーサー!ポッドの測定用レーザーを出力最大にして指定の座標にセット!』
《了解。測定用レーザーを最大出力で前方の座標に照射準備。・・・・完了。いつでも発射出来ます。》

『照射!!』

その合図と共にポッドからリンを捕まえているベアハッグめがけレーザーが発射された!
〈ピカッ!〉
「うっ!」
ベアハッグは突然右腕に痛みを感じ思わず、リンを捕まえていた手を放した!

「いまだ!」

そのシオンの合図を待っていたかの様に、ガオウがベアハッグめがけ飛び込んでいった!
《ズバッ!》
一瞬の攻撃でガオウはベアハッグの腕を切り飛ばし、返す剣でギッツの胴体を真っ二つにしていた。

「いまだ!リン!走れ!!」
「シオン!!」

あまりにも素早いガオウの動きでギル達は何が起こったのか分からなかった。

「ギル!」
「てめぇ!」
《カキーン!》

ギルはすんでの所でガオウが放つ剣を受け止めた。
リンは無我夢中でシオンが待つその場所を目指し必死に走っている。

「シュメル!そのガキを逃がすな!!」
「あぁ!分かってるよ!このガキ!!」

必死に走るリンをめがけシュメルは鋭い鞭を放つ。

《シュッ!》
「うっ!」

リンは『もう少し頑張れば優しいシオンの元に・・・』そう思った瞬間、彼女の体を鋭い痛みが走りその場に崩れた。

「リン!!」
「しまった!鞭の棘が・・・・」

あまりにも小さなリンの体はシュメルが放った鞭の先に付いている金属の棘に胸を刺され深い傷を負ってしまったのである。

「リーーーーーン!!」

駆け寄るシオンはリンの体を抱き寄せ胸の傷を必死に押さえ血の流れを止めようとしたが押さえても押さえても止めどなく流れる血をどうする事も出来なかった・・・・

「リン・・・・」
「シオン・・・良かった・・・約束通り帰ってきてくれたんだね・・・」
「あぁ、俺はずっとリンの側に居るよ。もう絶対に離れたりしない・・」
「約束だよ・・・シオン・・」
「あぁ、約束だ。」
「あれ?シオン!?どこに行っちゃったの?・・・」
「リン・・・ここに居るよ。」
「シオン・・・なんだか眠くなっちゃった・・・」
「リン!駄目だ!眠っちゃ・・・しっかりしてくれよ。リンが元気になってくれないと俺はひとりで寂しいよ。」
「そうだね・・・・シオンは私が居ないと・・・・なんにも・・・・・・・・・・・」
「リン!目を開けろ!リン!リン!おい!リン・・・・・」

にじむ涙を必死にこらえ、シオンはリンに呼びかけるが、もうすでにリンは動こうとはしなかった・・
段々と冷たくなっていくリンの体・・・・

「何でだよ!何でリンが死ななきゃならないんだ!!リンが何をしたって言うんだ!!
 この村の人たちだって誰にでも優しく一生懸命生きていたじゃないか・・・なのに・・・なんで・・」

シオンはリンの体をウナルの元へ運び寝かせると、側に転がっていたウナルの剣を握りしめ立ち上がった。

「貴様らー!!絶対に許さない!たとえこの命に代えても貴様らを殺す!!」

シオンは剣を構えると、一気にシュメルをめがけ切り込んだ!

「あんたみたいな青二才にわたしが殺られるかぁ!」

シュメルは鞭を振り上げシオンめがけ放った!
だがシオンはその鞭の攻撃さえ除けようともせず、まっしぐらにシュメルめがけ剣を突き刺した!
《ザクッ!》
肉を突き刺す鈍い音をさせシュメルが倒れた・・・・

「姉御!!貴様?!」

シュメルが倒れたのを見ていたドムルが巨大な鉄球をシオンめがけ投げつけた。

「危ない!シオン!」

その時!ワームの毒にやられ荷台で寝ていたはずのガゼルがドムルの鉄球を払いのけた。

「貴様の相手は俺だ!!」
「ガゼルかぁ!相手に不足なねぇー!」

「おっと!お前の相手は俺さまがしてやるよ!!」

そう言ってザハーンが鋭い爪をかざしてシオンめがけ斬りかかってくる。
《シュパッ!》
「うっ!」

鋭い爪がシオンの胸元をかすめた。
倒れかかったシオンだったが、怒りで痛みなど感じる事はなかった。
鋭い爪をきらめかせ次の攻撃を仕掛けようとするザハーンを気にも止めようとせず一気にザハーンの喉元をめがけ突進する。
ザハーンも切り込んでくるシオンめがけ鋭い爪を突き刺す!

二人の体はぶつかり合いその場で止まった。

シオンの胸を刺すザハーンの爪・・・

だがシオンの放った一撃はザハーンの喉を突き刺していた。

「なっ・・・なんで・・・・」

そう言い残しザハーンの体は崩れていく。

ザハーンとの一瞬の勝負が終わった時、ガオウそしてガゼルの戦いも終わりを告げていた。

「どうやらこれで俺達の旅も終わりだな。」
「あぁ、長い間済まなかったなガオウ。」
「いや、俺にとってもこいつらは仇同然だ。」

ガオウとガゼルはその場に立ちつくすシオンに目を向けた。

「シオン・・・・・」

だが二人には、最愛の友人達を失ったシオンにかける言葉が見つからなかった・・・

「リン・・・・爺さん・・・・」

リンとウナルが横たわる側へ歩み寄るシオンはそうつぶやくと、止めどなく流れる涙を拭おうともせずいつまでもその場を離れようとはしなかった・・・・・

そんなシオンを見守るガオウとガゼル・・・

「ガオウ、一つ聞いても良いか?」

おもむろにシオンが口を開いた。

「なんだ?シオン。」
「このガイラースは、こんな戦いばかりの世界なのか?」
「あぁ、残念だが、ガイラースでは戦いは大昔から終むことはない・・・」
「何故人は戦い続ける・・・」
「導く者が居ないからだろうな。」
「導くもの・・・・・・・」
「あぁ、このガイラースを治め、人々を導く存在・・・・それが現れたら戦う事も無くなるかもしれないが・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「ガオウ、ガゼル、俺に力を貸してくれないか?」

一瞬、シオンの問いに顔を見合わせる二人だったが・・・

「あぁ、お前に助けられたこの命、俺で良ければお前に全てを与えよう。」
「俺も良いぜ。どうせ俺には行く当ては無いからな。でも何をするつもりだ?」
「戦いを終わらせる・・・・・」
「戦いを・・・・?」
「あぁ、罪もない人がこんな風に死んでいくのを俺は黙っていられない・・・」
「・・・・・・・」
「シオン・・・・」
「あぁ、お前なら出来るかもな。」

そう言って三人はガイラースの空を見つめ熱い思いがこみ上げてくるのを感じていた。

その後、三人は村人達の遺体を丁重に葬り、自ら選んだ運命に向かって旅立っていった。

彼らの行き先は誰にも分からない・・・・・・


ただウタリの村から吹く風は、ガイラースに新しい風を感じさせていた。



第二章「生存?それぞれの刻・シオン編」

fin.


第二章「生存?それぞれの刻・ユリカ編」へ続く........。

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