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■幽幻戦国絵巻?せぶん 
2005 12 06
Tue 17:22:00

オリジナル小説  Comment 0  Trackback 0  edit.

■幽幻戦国絵巻?せぶん?【小説】
絵巻その一(旅立ち)
ここは出雲の国。
出雲大社を中心として、神事を司る霊的結界に守られた日の本では唯一、人並みの生活が出来る土地でも有った。
そしてこの地には、日の本随一と言われるほどの霊力を持ち人々から「姫巫女さま」と言われている一人の少女が先祖代々受け継がれた小さな社に住んで居た。
そこへ汗をかき、まるで飛び跳ねるウサギの様に小さな女の子が声を張り上げ「姫巫女」と呼ばれる少女の元へやってくる。
「さっちゃん?!大変だ?!!大変だ?!」
「なーにー?又ノンちゃんの大変?」と、全く驚くこともなく少女は微笑んでいる。
人々には「姫巫女さま」と呼ばれ、「さっちゃん」と呼ばれたこの少女名前は、真宮 咲耶(しんぐう さくや)年は15。
出雲の結界を守る八家衆・北門を守る真宮家の一人娘でも有る。
霊力の高さから年齢以上の思慮深さを持っている。

「ノンちゃん」と呼ばれるこのウサギの様な小さな少女は、李宮 希望(りきゅう のぞみ)14才。咲耶と同じ八家衆・北東門を守る百年前中国大陸から渡来し八家衆となった李宮家の次女である。
二人は赤ん坊の頃から一緒に巫女として育てられた為、姉妹の様な関係でもある。

「本当に大変なんだってばぁ?」そう言いながらぴょんぴょんとはね回る
希望を見て、咲耶は『ほんとにウサギみたい』と、微笑むばかりである。
「あ?笑わないでよ?本当に大変なんだからぁ?」微笑むばかりの咲耶に希望はほっぺたをふくらませ怒ったように言った。
「ごめん。ごめん。それでノンちゃん何が大変なの?」
「それがね?聞いて?聞いて?」そう言うとにっこり笑う希望はどう見てもまだまだ子供である。
「それがね?今度ーノンの誕生日に、とうさまが家宝の《龍金闘》をくれるんだって?」
「まぁ?それは凄いじゃないの!やっとおじさまに認められたって事じゃない」
「へへへへ?」そう言いながら、ノンは少し照れながら満面の笑顔を見せている。

《龍金闘》とは、中国武術のトンファー、龍の牙で造られたと言われる李宮家伝来の家宝であり、武術を極め霊力の優れた者だけに継承される物でもある。

『やっぱりおじさまも何かを感じているのね』そう咲耶は心の中でつぶやいた。
「ね?ね?さっちゃん!どうしたの?」真剣な顔の咲耶を見て希望は咲耶の顔をのぞき込んで居る。
「うううん。なんでも無いよ。」そう言って咲耶は希望にいつもの微笑みを返した。
その微笑みを見て、安心したのかノンは又、庭先をぴょんぴょんはね回り喜んでいる。

『八家衆で動ける者と言えば、私たちしか居ないんだからしょうがないけど・・・ノンちゃんにはつらい旅になるかも知れないわね。』
咲耶は自分たちの運命を思い心の中でそうつぶやいた。



その夜・・・
咲耶の父・蓬莱は夕刻遅く、八家衆総本山・八主真殿より険しい顔で帰宅した。
「お帰りなさいませ。」神妙な顔をした咲耶が父を出迎える。
「咲耶、話がある。あとで本堂に来なさい。」
「はい。分かりました。」
何かを悟っている咲耶を見て、父・蓬莱は娘の運命を思い目頭にあついものを感じていた。

いつもなら汚れた家着をまとう父・蓬莱で有ったが、真新しい真っ白な宮司の衣装に着替え、本堂へと向かった。
一通りの神事を済ませた頃、これも又純白の着物姿で咲耶が本堂に入る。
その姿を見た父・蓬莱、「やはりお前も薄々は気がついておったようだな。」
「いつかはこの様な日が来ると思っておりました。父上」
いつになく神妙でそれでいて、冷静な咲耶を父・蓬莱は不憫でならなかった。
二人は神前に並んで座り、一礼をする。

「お前も薄々気がついていた事では有るが、今日正式に本山より命が下った。」
いつもは朗らかな父・蓬莱も運命の時を迎え、険しい口調で話し始めた。

「本来、我ら八家衆はこの出雲を守護すべき存在では有るが、世の中は今、長きにわたる戦乱と災いにより、自滅の道だけしか見えておらん」
「大陸から渡って来た者達の話しでも、この世界自体が乱世と言うよりまるで地獄絵図さながらの実状と聞く。」

「・・・・・・」 無言で父の話を咲耶はまるで全てを知るかの様に聞いている。

「百年前、我々八家衆となったご先祖様は、この日の事を分かっておられた様だがそれがまさか咲耶、お前にゆだねられるとは思いもよらなかった。」

「・・・・・・」

全てを察している咲耶を見て、父・蓬莱は神棚に飾られた宝玉《禍つ月》を懐より本山から授かった宝玉《癒す星》を咲耶に差し出した。
「この二つの宝玉は、八家衆随一のお前の霊力を高め、守護するだろう。」
そう言って、咲耶の前に差し出す。

「父上。やはり李宮家・・・希望さんも選ばれたのですか?」
「うむ。」
「何故ですか。例え八家衆とは言え、希望ちゃんはまだ子供です。
 私一人でも・・・・・」
言葉ではそう言いながらそれが運命と知っている咲耶は言葉を飲み込んだ。

「お前の言うとおりだ。我々八家衆当主にとっても希望ちゃんには過酷と思い咲耶一人と思っていたが、李宮家当主・龍峰殿自身が納得している以上、我々にはお告げに従う以上どうすることも出来なかった。」
咲耶にも解っていた。
これが運命なんだと・・・・・。

「それで出立はいつですか?」
「5日後と決まった。」
「5日後と言えば、希望ちゃんの誕生日・・・・」
なんという運命なんだと咲耶は、希望が不憫でならなかった。

「解っている。解っているが今回の旅は、日の本だけの問題では無いのだ、大陸諸国からもこの危機を知って、派遣された者もおると聞いている。だが、先発の霊能者からは一切の連絡が無く、生きて帰っては来なかったと言うことだ。」
「実は仏教国より派遣された者が堺の港に近々到着すると知らせが有ってその者とおちあう為に5日後と決まったのだ。一人でも能力の高い者が居なければこの戦いには勝てないだろう。」
自らの力の無さに打ちのめされ、我が子を行方の解らぬ戦いに出さねばならない我が身を呪う父・蓬莱であった。

その気持ちが分かるのか咲耶が微笑みを浮かべる。
「ご安心下さい。八家武闘衆の方々も同行されるのですから。
 それにご先祖様も我々に利が有るからこそ八家衆を造ったので有りましょう。」
そう言っていつもの微笑みを父に向けた。

その笑顔を見せられ蓬莱も八家衆としてではなく、いつもの優しい父としての笑顔を見せるのであった。



「え?????ーーーー!!!」
希望のあまりにも大きな声で、父・龍峰もさすがに驚いた。
「ねっ!ねっ!ね?、さっちゃんも一緒なんだよね??!う??楽しみだなぁ?」
そう言いながら自分の運命を知ってか知らずか、飛び跳ねて喜ぶ希望であった。
「これ、これ!遊びでは無いんだぞ!命にも関わる大事な使命なんだから心して最後まで聞きなさい!!」
そう言って叱咤するが、当の本人、希望は旅が出来るだけでうれしくてしょうがなく父・龍峰も我が娘ながら情けなく思うので有った。
「大丈夫!大丈夫!さっちゃんとノンが一緒なんだからどんな悪い奴だってやっつけちゃうって!まっかせなさーい!」
こう言う時、人を勇気づける希望の笑顔は凄いと、父・龍峰は我が娘ながら関心さえ覚えるのである。
「それでだ。詳しいことは、咲耶様に一任されている。よって・・・・・」
一切耳に入っていない娘の希望を見て、龍峰はあきれ果てた。

『どう見ても子供のこの子が、霊力、武術が私以上とはどうしても思えん。』
側で同じように希望の笑顔にあきれ果てている、姉・零羅(れいら)
「希望!!大人しく聞きなさい!」
長女であり次期当主の姉・零羅もこの旅の重要さ危険さを理解して希望を叱咤するが心の中では、妹が不憫でならなかった。
『私にもっと力が有ればこの子にこんなつらい旅をさせずに済んだものを・・・』
涙ぐむ姉の姿を見てさすがに希望も喜んでばかりは居られないことを知ってか知らずか・・・・
「とーさま、ねーさま、大丈夫だよ。ノンは信じてるもん!ご先祖様が残してくれた《龍金闘》だって有るし、それにノンの力でこの国が平和になるなら本望だよ!」

今まで聞いたこともない希望が自分の使命について語る言葉に、父・龍峰、姉・零羅もいつの間にか大人になっていた我が娘、我が妹に力強さを悟っていた。

「うーんーとー・・・・」
なにやらごそごそ始めた希望に・・・
「おい!何やってるんだぁ??」いぶがしげにのぞき込む父に
「え?とね?、せっかくの旅なんだから色んな所の特産物を調べようかと」
そう言いながら、父の書斎を探索し始めた希望に・・・

『おいおい?本当にわかってんのかぁ』と、父の嘆きの声が・・・・・
「やっぱり大人になったと思った私が馬鹿だったぁ?」
二人のあきれ果てた顔をよそに、うれしそうに特産物調査をしている希望であった。


出立当日、咲耶と希望は出雲大社本殿に赴いていた。
境内には、旅の無事を祈る八家衆総本山八主真殿守護職達、八家武闘衆など総勢504名。
名だたる出雲守護職が集まり、まるで国を上げての式典のような壮観さを持ちながら静寂が支配する異様とも言うべきものであった。
旅の無事を祈る神事が八家衆当主らの手によりおごそかに行われこの旅の重大さを改めて人々の心に刻まれていった。
「八家衆・北門当主が娘・咲耶!八家衆・北東門当主が娘・希望!ここへ!」
八家衆総本山八主真殿・当主、八百比丘尼の声と共に、出雲大社本殿へと続く境内の人々がまるで岩が真っ二つに割れるが如く、二人の少女を出迎える。
二人の少女は無言のまま、八百比丘尼の前へと進んでいく。
知らぬ者が見ればそれは滑稽に写ったかも知れない。
未だにあどけなさが残る二人の少女にかしずき神妙な顔の大人達を。

「我々出雲を守護する八家衆が総本山、八主真の八百比丘尼の我が名により、そなた達二人に命ずる!八家衆始祖の霊力の加護の元、悪しき想念の浄化を全うすべき事を。」
そう言い放つと、八百比丘尼は祭壇より取り出した護符を二人の少女に手渡す。
二人の少女はそれを受け取ると、一礼をし脇へと控える。

「次に、八家武闘衆が練鉄、剛士、炎連、界基、央峰、朱連、甲礼、常念、才陣、紅蓮!ここへ!」
その言葉を待っていたかのように、10人の八家武闘衆らは八百比丘尼の前へ歩み出る。
「八家武闘衆より選ばれし、そなた達十名は、ここにいる八家衆の巫女を守り神命を全うすべし!」
そう言って八百比丘尼は選ばれし十名の武闘衆、一人一人に護符を授けた。
「我ら十名は八家武闘衆の名に恥じず、この任に全ての技と念と命を懸けることを八家衆が始祖の元、八家衆全ての御方々にお約束申し上げまする。」
八家武闘衆・師範、練鉄が声高らかに進言する。
そのあとに続き、師範・練鉄に呼応するが如く、九人の一糸乱れぬ声が・・・・

「御意!!」

それはまさに命を懸けてこの任を全うすべく本心より出た練鉄とそれに並ぶ10人の総意でもある。
例えたった一人残ろうとも、命をもってこの二人の巫女を守る、それが彼らの決意でもあった。

全ての儀式を終え、静まりかえった群衆を前に、八百比丘尼が口を開いた。
「われわれ出雲を守護する者として、この日の本だけではなく、この世全ての人々の未来のため私たちはこの幼き少女達に過酷な運命を託さねばなりません。本来我々当主を始め、全ての八家衆がこの子達に変わって事に当たるべき戦いなれど、苦渋を飲んで送り出さねばなりません。今は始祖が残した言霊を信じ、この子達の無事を祈り帰る場所を守ることだけが我々残された者の使命と思います。」

先ほどとはうって変わった、穏やかな母のような八百比丘尼の言葉に、群衆は涙をぐっとこらえた心の声がこの境内を埋め尽くしていた。

更に八百比丘尼は二人の少女を優しい母の様なまなざしで言葉を掛けた。
「咲耶。希望。必ず生きて帰ってくるんですよ。私たちはいつまでも待っていますからね」
そう言うと、八百比丘尼の目から涙が溢れ出た。

「比丘尼様?!沢山?!た?くさん!おみやげ持ってくるからね!」
明るく溢れんばかりの笑顔で答える希望。
「はい。楽しみに待ってるわ。」比丘尼も満面の笑顔を向ける希望に、優しい笑顔で答えるのであった。
そんな比丘尼の目に、きらっと光涙を見た咲耶は・・・・

「比丘尼様、私たちの家はここです。帰る家があるからこそ私たちは旅立てるのです。」
そう言うと咲耶は、比丘尼の手を取り、小さな声でこう言った。
(母上・・・・)

それを聞いた八百比丘尼は、娘の体を抱き、止まらぬ涙をこらえるのであった。
役職とは言え、小さき咲耶を父・蓬莱に託し、比丘尼としての役目を持つ母。
小さきながらも母の心情を感じ、気丈に振る舞うまだ幼さが残る娘。

事情を知る者にとって、その光景は使命とは言え、あまりにも残酷な運命を背負わせられた母と娘であった。


そして旅立つ時が来た・・・・。

別れを惜しんで泣く者はもう居ない。
使命を全うし、笑顔で帰ってくる一行を信じ、ただ笑顔で見送るだけだった。
涙一つ流さず笑顔で旅立つ娘達を見て、見送る者が涙を見せてはならない、そう、誰もが心の中で歯を食いしばり祈るだけだった。

そして一行は二人の少女を守るように八家武闘衆が並び、第一の目的地、堺へと遠く険しい旅が始まる。
待ち受ける苦難を知ることもなく・・・・・。


絵巻その一「旅立ち」終わり。


絵巻その二「別れ?そして出会い」へ続く。

ジャンル [ 小説・文学 テーマ [ 連載小説 ]

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